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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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194/207

第194話 ひどいよね


 日曜日は家でゆっくり過ごしていく。

 たまにミシェルさんが部屋を覗いてきながら『バーサーカー……』とつぶやいていて可哀想だったが、こればっかりは頑張ってほしいと思う。

 そして、翌日、この日は基礎学だけなため、午前中で授業を終える。

 とはいえ、夕方から対抗戦のメンツが集まるため、家には帰らずにD棟前にあるベンチに腰かけ、同じように薬草学の授業を取っていないイルメラとユイカと駄弁っていた。


「そういうわけでユイカはフルな。イルメラは悩んだけど、1戦ずつだわ」


 2人に土曜決めたことを先に報告する。


「良い場所。森での私の活躍に期待すると良い」


 木の柄の布でも持っていけ。


「私はなんでもいいわ。やりたい人に譲る」


 まあ、ロナルドもそう言いそうなんだけどな。


「なあ、このメンバー割りで大丈夫だと思うか? 若干、2名ほど文句を言わないか?」

「アーサーとヘンリーね。文句なんて無理無理。相手が悪かったとはいえ、3敗だもの。あそこまでの完敗で代わりに自分達を出せなんて言えない。言うとしたらチーム戦のロナルドのところとペア戦の私のところに自分達の長である会長を入れろってところかしら?」


 俺もそうした方が良いと思っている。


「俺やメイドのクロエ、それにミシェル先生もそう提案したが、シャルは戦いたくないから断固拒否だそうだ。リーダー特権を駆使した」

「情けない人ねー。あんなに強力な魔法を使えるし、十分に強いじゃないの……」

「性格が良すぎて無理なんだ」

「はいはい……ロミジュリうぜー」


 イルメラはそう言いつつ、ものすごくにやにやしている。


「ジュリエットって強いの?」


 自爆されて落とされた奴がイルメラに聞く。


「強いわよ。転移が使えて、上級魔法も使える。これだけで1級品だし、相当な努力が見えるわ。でも、世の中っていうのは残酷なもので同じ学年に完全なる上位互換のトウコがいる」


 可哀想なシャル……

 トウコは殴っておくからな。


「あー、ちょっとわかるな……私も似たようなことを兄の方に感じている。これしか長所がないのに勝てない……」


 お前は突っ込む癖をどうにかせい。

 いや、ミシェルさんとしているんだけども。


「まあ、あんたはあんたで突出しているけどね。私があんたの身体だったらトウコにも勝てるわ」

「……あんたはバカって聞こえた」


 トウコもな。


「いやだって、あんたって自称アサシンでしょ? なんで正面から突っ込むの? 相手をよく見て、隙をつきなさいよ」


 ホントだよ。


「ミシェルと同じことを言う……」


 そのミシェルさんは昨日、目が濁ってたな。


「トウコもだけど、そういうところがお粗末なのよ……ん? あら、オスカーじゃないの」


 イルメラが言うようにBクラスのオスカーが歩いており、イルメラの声に気付き、こちらにやってくる。


「ああ。君は相変わらず、声が大きいな、それに仲が良さそうだな」


 オスカーが苦笑いを浮かべた。


「ウチは他所のクラスと違ってアットホームなの」


 そうか?


「ウチのクラスだってほのぼのしているよ。君達も待ちか?」

「そそ。なんかよくわからないのに選ばれちゃった」

「君は選ばれるよ。対人戦では強いからな。ツカサが言わなかったら俺が名前を出していた」


 まあ、魔法大会では一番目立っていたし、圧勝で3つ取っているから誰かしらが名前をあげると思う。


「……誰?」


 ユイカが小声で聞いてくる。


「Bクラス代表のオスカーだ。イルメラやフランクと同じドイツの人間なんだと」

「あー、ソーセージの」

「そうそう。ビール」


 あと車。


「あんたらは寿司と天ぷらでしょ」

「一度、富士山を見たいと思っている」


 外国人はそう思うらしい。


「俺、富士山に登ったことないわ。あ、オスカー、ウチのクラスのユイカな。自爆され系女子」

「さすがに知ってる。自爆され系女子は初めて聞いたが」


 オスカーがまたしても苦笑いを浮かべた。

 苦笑いが似合う男だ。


「……ジュリエットの方が自爆系彼女でしょ」


 ドジっ子みたいだな。


「優しい系女子だな」

「ツカサにだけだよ……オスカー、私は特訓があったから他の試合を見てないんだけど、どういう魔法使いなの?」


 ユイカがオスカーに聞く。


「あ、俺も気になる。特訓で見てなかったから」


 特訓というか、シャルの練習を見ていた。


「俺はそこまで特殊な魔法使いじゃない。君らと同じ強化魔法を得意とする接近戦タイプだ」


 あ、そうなんだ。


「そうなると、本当に接近戦タイプしかおらんな」

「ああ。粒ぞろいだとは思うが、ウチが足元をすくわれることになるとしたらその辺りだろうな。だからシャルリーヌさん、トウコさん、ユキさんに期待だ」


 いやー、シャルは辞退しました。


「別に負けても良いと思うけどね。勝っても特に何かあるわけでもないし」


 イルメラがやる気がなさそうなことを言う。


「同じようなことを魔法大会前にも言ってたけど、いざ始まると誰よりも乗り気だったのがこの人」


 ユイカがイルメラを指差す。


「昔からそういう奴だな」

「お祭り系女子だもんな」


 体育祭とか文化祭で張り切って仕切る奴。


「その何とか系女子をやめなさいよ」


 モブだのお粗末チビだの、ひっでーあだ名を付けていたお前が言うか?


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ここまで言われるってことは トウコとユイカは基礎スペック本当にすごいんだろうなぁ
こいつら仲いいなw
やはり面白い
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