表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/207

第190話 ミシェル「嫁と姑だ……」


「ちょっとあなた達は黙ってなさい。シャルリーヌさん、話というのは再来週の対抗戦のことですね?」


 母さんが勝手に話を始める。


「はい。校長先生より1年生の中から10人を選抜するように言われました。そうなると、必然的にツカサ君とトウコさんが入ります」

「まあ、そうでしょうね。まず選ぶのはこの2人。次点でユイカとユキさん」


 ミシェルさんが頷いた。


「ミシェル、ウチの子はそんなにか?」


 父さんがミシェルさんに聞く。


「はい。戦闘ならこの2人に勝てるのは1年どころか2、3年でもいません。校長先生が1年のみと決めたのはその辺りのこともあるかと思います」


 そうなの?


「下手に2、3年を入れると上下関係でギクシャクするからか。ましてやリーダーとなるであろう生徒会長のシャルリーヌさんも1年」

「はい。だったら先日、経験した1年のみで挑んだ方がいいです。負けても言い訳できますしね」


 なるほどー。

 ウチは本気を出してないスタンスか。


「え? 私、リーダー?」


 シャルが怪訝な顔で聞いてくる。


「「会長ー」」


 トウコと口を揃え、拍手した。


「魔法大会も逃げられなかったし、生徒会長なんてやる価値なくない?」


 おかげで皆、シャルの名前を呼ばんしな。

 きっと卒業しても会長だ。


「シャル、次期当主じゃないの? 武家の名門がリーダーとして皆を引っ張れよ」

「そうね……」


 嫌そう……


「母さん、参加してもいい?」

「ぶっ潰したーい。私、お兄ちゃんが学園に入ってから良いところがないもん」


 メッキなんか被るからだ。


「それについてはミシェルを引率に出すという条件で了承しました」


 あ、そうなんだ。


「ミシェルさんが引率するの?」

「前のことがありますから先生方も信用できません。そのためのミシェルです」


 ウォーレス先生ね。


「ミシェルさん、大丈夫かな?」

「こういう人こそ裏切りそうだよね」


 な?


「そこは信用してね……」


 まあ、ミシェルさんは大丈夫か。

 トウコが攫われた際に駅に案内してくれたのはこの人だし。


「では、ツカサ君とトウコさんにも参加してもらいます。ミシェル先生が言うように2人が出るか出ないかで大きく変わりますので」


 シャルが話を戻した。


「バカをしないと良いけどな……」

「シャルリーヌさん、どうか、ツカサを……いや、ウチのバカ2人をお願いします」


 嫌な親……

 自分達の子をまるで恥のように言う。


「え? あ、はい……」


 シャルがちょっと動揺しながらも頷いた。


「なんで私もバカにカウントされているんだろう?」

「お前、自分で頭が良いと思ってんの?」


 勉強ができるバカとはお前のことだ。


「お前よりは良いわ」

「みーんな、お前のことをバカだと思ってるぞ」


 というか、ガキ。


「私がお姉ちゃんになる時が来たか……」


 トウコがゆっくりと立ち上がった。


「もうその言葉がバカだわ。今度は確実に落としてやるよ」

「レイプ魔め」

「あ? 魅力ゼロが何言ってんだ?」


 シャルの家で修行してこい。


「……これをですか?」

「あなたしかいません」

「が、頑張ります」


 母さんのシャルを見る目が仇敵の家とは思えんな。


 その後、シャルが帰ったのでミシェルさんを交えて、夕食を食べた。

 夕食を終えると、部屋に戻り、漫画を読む。

 なお、ミシェルさんがトウコの部屋に行き、レッスンだ。


 隣の部屋からユイカの声も聞こえるからイルメラも呼んで説明しようかなと思っていると、電話が鳴った。


「シャルか……」


 スマホにシャルの名前が表示されていたので迷わず通話ボタンを押す。


『あ、ツカサ、さっきも会ったのにごめんね。そのまま話そうかと思ったけど、クロエを待たせてたから……』

「いや、いいよ。わざわざ来てもらってありがとう」

『そればっかりは仕方がないでしょう。先に校長先生に確認すれば良かったわ。あ、まだあの女……ごめん、ミシェル先生はいる?』


 そんなに嫌いなのかね?

 まあ、裏切って、トウコとユイカについたしな。


「隣の部屋でバカ2人にレッスンしてると思う。ミシェルさんもいた方が良い? 必要なら呼んでくるけど」

『ううん。いらない』


 そう……

 まだ棘があるな。

 一緒に旅行に行った仲なのに……

 まあ、ミシェルさんはずっとフリーズしてたけど。


「それで用って?」

『今回の件についてちょっと説明しようと思って。かなり大事なことだから』


 ジェニー先生の部屋で集まった時に後で電話するって言ってたやつか。


「代理戦争云々?」

『それ。前にアストラルの代理戦争は説明したでしょ?』


 聞いたな。

 あまり理解はしてないが、要はこっちの世界で争いをするのはやめよう、だ。


「それが今回のことに繋がるの?」

『誘拐事件のこともあるけど、最近は情勢があまり良くないってことも言ったでしょ? そんな状況で今回の争いみたいな対抗戦だからユキさんはよく思ってないのよ』


 なるほどな。

 ユキってボケるし、バーサーカー3号だけど、当主らしくちゃんと周りを見ているわ。


「オスカーはガス抜きって言ってたよな?」

『学校対抗の争いを敢えてすることで直接的な争いを避けようとしているんじゃないかってことね。オリンピックやワールドカップと一緒』


 スポーツに熱狂しようってことか。

 しかし、そこでサッカーが例に出るところはフランス人って感じがするわ。


「効果あるの?」

『さあ? ただ以前の代理戦争と違うのは国ごとに分かれていないこと。これは大きいと思う。誰だって同郷の人間と争いたくないからね……ウチやそっちは置いておいて』


 ヨハンさんがバカにしてたなー……


「競技の会場となる運営委員会がいる町っていうのは?」

『町って言ったけど、本当に何もないわ。そして、そこだけは絶対に争いが起きないのよ』


 フラグに聞こえるんですけど……


「本当に大丈夫か?」

『さすがにね……まあ、何かあった時のミシェル先生でしょ』


 うーん、裏切る裏切らない以前にあの人って大丈夫なんだろうか?

 魔力も高いし、強いんだろうけど、活躍しているところを見たことないぞ。


「クロエは来るの?」

『さすがに来ないわよ。学校行事だもの』

「それもそっか。来週、集まるんだよな?」

『そうね……ケンカしないかしら? 特にそちらのお姫様』


 暴力姫ね。


「知らんなー。あいつ、お嬢様のメッキが剥がれたことでまだキャラを確立できてないっぽいんだよ」

『何をしたって無駄なのにね。性格が好戦的すぎるもの』


 ホント、そう。

 そして、同じようなイルメラさんがいるんだよな。

 なんか入学したての頃を思い出す。


「一応、トウコとイルメラにも言っておくけど、そっちも頼むわ。なんかアーサーには睨まれたし」

『マチアスのことがあるからね。そういうのを持ち込んでほしくないんだけど、仕方がないと言えば仕方がないかも。どういう競技になるのかはまだわからないけど、チーム編成も考えないと……』


 ミシェルさんや父さんはああ言ってたが、1年は1年で派閥とかがあるから揉めているんだよな。

 シャルも大変だ。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

私が連載している別作品である『左遷錬金術師の辺境暮らし』のコミカライズが連載開始となりました。

ぜひとも読んでいただければと思います(↓にリンク)


本作共々、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ