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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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184/207

第184話 皆、次を考えている


 翌日はユキ、ロナルド組とワニ狩りだが、昼からなのでゆっくり眠る。

 とはいえ、時差が3時間あるため、10時には出ないといけないので8時という普通の時間(?)に起きる。


「あー、また体内リズムを戻さないとなー」


 朝食の納豆をかき混ぜながらぼやく。


「夏休みで見事に崩れちゃったね」


 トウコも納豆をかき混ぜながら同意した。


「ひと月前の俺は土日でも4時に起きてたんだぜ?」

「すごいねー」


 我ながらようやったわ。

 これを戻すのに数週間はかかりそうだ。


「こればっかりは諦めてください。それよりも今日は町の外でしたね。気を付けてください」


 すでに朝食を終え、コーヒーを飲んでいる母さんが忠告してくる。


「例の誘拐犯? ワニ?」

「どっちもです。というか、ワニ狩りって何です? お母さんが学生の頃はそんなことをしている学生はいませんでしたよ」

「そりゃお母さんがお嬢様だからでしょ。どうせ町の外に出たことないんじゃない?」


 そんな気がする。

 傘をさしているような人だし。


「ありますよ。夕方の湖が綺麗でしたね。あそこでお父さんに告白されたんです」


 あそこには二度と行かないことにしよう。


「「聞きたくないわー」」

「ちなみに、一回は断ったんですよ? でも、お父さんが強引だったから――」

「「ごちそうさまー」」


 納豆とみそ汁とご飯をかきこみ、立ち上がった。


「相手の迷惑にならないようにしてくださいね。あとあまり服を汚さないでください」


 母さんがそう言って、ワイドショーを見だしたのでリビングを出て、準備をする。

 そして、運動着に着替えると、寮に行き、部屋から出た。


「おっ、来たか」


 声がしたので休憩スペースの方を見ると、ロナルドが座って待っていた。


「待ってたのか?」


 ロナルドに近づきながら聞く。


「俺は寮生だからな。日本は地味に大変だろ?」

「3時間だなー……寮生にもなれない微妙な時差だ」


 ユイカは寮生みたいだけど。


「ユキも通いだが、たまにすごい眠そうな顔をしている時があるな」


 うん……目を瞑ってるじゃん……


「それ、寝てんじゃね?」

「そういやそうだ。いつも眠そうというか寝てる顔だったわ。ははは」


 ロナルドが笑う。


「まあいいや。行こうぜ」

「あいよ」


 俺達は階段を降り、寮から出ると、丘を降りていく。

 すると、男子寮と女子寮の分岐点に和服と運動着の女子がおり、なんか運動着の方が和服の顔の前で手を振っていた。


「ユキとラ・フォルジュの嬢ちゃんか……何してんだ?」

「見えてるかの確認だろ。俺も一昨日やった」


 なんであいつも同じことをするのかねー?


「あー……俺も昔、やったかも……」


 昔……


「ユキっていつからああなの?」

「小学校高学年くらいかな……」


 絶対に中二病って思われただろうな。


「ん? ロナルドとツカサ君か」


 分岐点に近づいていくと、ユキが気付いた。


「よう。今日も目を閉じてんな」

「アイデンティティさ」


 へー……


「あ、ロナルド、知ってると思うけど、スーパーエリートウコ様ことトウコ・ラ・フォルジュな。なんと俺の妹だ」

「知ってる。元々、知っているし、魔法大会でも戦ったわ」


 お前はユイカとやってたけどな。


「トウコ、ユキの従兄のロナルドだ。同い年に見えんよな」

「全然見えない。絶対に20代後半だと思う」


 なー。


「はっきり言う兄妹だな」

「だってなー?」

「うん。子供がいてもびっくりしない」


 ホントだわ。


「まあ、従妹の私が言うのもなんだが、こいつは中学の時からこんなんだったから私の一番下の幼稚園の妹を見てくれた時なんか親子だろって思った」


 ユキがしみじみと頷く。


「お前まで言うか……」

「まあ、良く言えば大人っぽいってことだ。この双子は中学生みたいだし」


 目を閉じている中二病になんか言われた……


「自分だって海ではしゃいでいたくせに」

「スイカ投げてつばめ返しとかしてたな」


 ノリノリだった。


「たまには羽目も外したくなるさ。普段は人に会ったりと忙しいからね……」


 出た、地雷……


「当主様はすごいね……」

「ある意味、一番自立した大人だったわ……」


 ユキの両肩には白川家が乗っているのだ。


「挨拶も済んだし、行こうぜ」


 空気を読んだロナルドがそう言ったので俺達はゲートに向かう。


「ロナルドとユキは冬の方の魔法大会も組むのか?」


 歩きながら話題を変える。


「まあ、そうなるんじゃないか? 私は相性的にロナルドみたいなタイプと組むと強いんだ。君でもいいけど、唾が付いている男はやめておく」

「お義姉ちゃんが泣いちゃうよ」


 泣きはしねーよ。

 誰と組もうか悩み、暗くなるだけだ。


「ロナルドもユキか?」

「そうなるな。俺は別に誰と組もうが問題ないが、勝ちにいくならにはユキだろう。おたくらをどうにかしないといけないがな」


 負けたもんな。


「ユイカは惜しかったな」

「あの小石は想定外だった。前情報では飛び道具はないって話だったのに」

「でも、対策はできただろ?」

「ああ。赤羽の嬢ちゃんは双剣使いだからな」


 指弾を使う時は絶対に片方の剣を消す。


「トウコの方も対策ができる。接近戦に持ち込めば強力な魔法はないから斬ってやる」


 ユキが含み笑いを浮かべた。


「かかってこい。あの程度の剣なら真っ向から叩き潰してやる」

「おー、怖い」


 トウコは本当にバカだなー。

 お前の実力をわかっているユキが真っ向から挑むわけないだろ。

 絶対に挑発のような攻撃を仕掛け、徐々に後退する。

 そして、追ってきたところを後ろから千剣だ。

 ユイカもそれでやられたって言ってたし。


「まあ、時間はあるからな。お互いにこの前のようなことはないだろう。そうやって切磋琢磨し合って伸ばすのが魔法大会の趣旨だ」


 ロナルドが頷く。


「確かにそうだね。私もユイカも師匠を付けたのだ」


 ミシェルさんね。


「頑張ってくれ」

「一番頑張るのは君のところだよ。3勝したから一番狙われる」

「そうだな。そして、おたくらは一番対策がしやすい」


 接近戦しかできない俺と遠距離戦しかできないシャルね。


「それは最初からわかっていたことだろう」


 俺とシャルは例の決闘で手の内を晒しているからこいつらはちゃんと対策をしてきていた。


「そうだね。でも、戦ってみて確信したよ。今やったら絶対に勝てるね」


 ユキがまたしても含み笑いを浮かべた。


「そうか?」

「愛ゆえにだよ」

「何だそれ?」


 イルメラって本当に的確なあだ名をつけるわ。

 ホント、かっこつけコンビ。


「まあ、時間もあるし、教えてあげよう。君らはお互いのことを庇いすぎ。特にジュリエットがマズいね。千剣で君を狙い、転移を止める。それで一斉放射をすればジュリエットは落とせるよ。彼女は君を庇いながら防御ができるほど器用じゃないしね」


 言いたくないけど、あの3組6人の中で一番弱いのがシャルだからな。

 魔法は強力だし、転移はすごいが、それしかない。

 クロエが言っていた通り、あの狭い演習場では接近戦ができないシャルは圧倒的に不利なのだ。


 うーん、ミシェルさんは裏切ったし、六連覇のクロエと相談だなー。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

今週は金曜も投稿します。


よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
妻の理解が深いな
それでもなんとかしてくれそうな六連覇さん
ただ最悪主人公一人になったあとでも普通に勝ったりしそうだな まあただそんな状況になるの許さなそうでもあるけど…
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