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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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第178話 厳重注意


 翌日からはフルの授業が続いていく。

 2週間だけの夏休みだったが、それでもやっぱり夏休み明けは辛かったし、本当ならまだ夏休みなのになーと思いながら授業を受けていった。

 俺とトウコが兄妹であることがバレたものの、イルメラやフランク達のおかげで特に絡まれるようなことはなかった。

 ただ、寮でアーサーとすれ違った時はとんでもなく睨まれた。


 そして、金曜になり、午前中の授業を受けると、昼になったのでフランク達と寮で昼食を食べるために立ち上がる。


「長瀬君、ラ・フォルジュさん、ちょっといいですか?」


 入口の方にはジェニー先生がおり、手招きしていた。


「例の件か?」

「じゃない?」


 フランクとセドリックが顔を見合わせる。


「悪い。2人で食ってくれ。俺は午後から呪学があるし、こっちで食べるわ」

「わかった」

「停学はないと思うから安心して」


 ジェニー先生のもとに向かうと、前の方でイルメラ達と話していたトウコも向かう。


「「何でしょう?」」


 狙ってないのに揃ってしまった。


「ぷぷぷ、双子だー!」


 イルメラ、うぜー。


「や、やめなよー」

「………………」


 ユイカがニヤニヤしながら棒読みで諫め、ノエルがそっぽを向いた。

 他のクラスメイトもけっしてこちらを見ない。


「2人共、ここではなんですから私の部屋に来てください」


 ジェニー先生は普通だ。

 さすがは聖職者である。


「弁当を食べながらでもいいですか?」

「私も午後からも授業があります」

「ええ、いいですよ」


 俺達は教室を出ると、ジェニー先生の部屋に向かう。

 そして、部屋に入ると、先生がソファーの方を勧めてくれたのでトウコと並んで弁当を開いた。


「「いただきまーす」」


 うん、美味しい。


「あの……わざとやってます?」


 俺達は示し合わせて、部屋に入ってからまったく同じ動きをしている。

 さらには弁当の中身もまったく同じだったりする。


「「笑わなかったから……」」

「笑いませんよ。笑うようなことではありません」


 それはそれで……


「それで」

「何の」

「用」

「ですか?」


 秘技、強キャラ双子。


「それ、やめなさい」

「「はーい」」


 これはわざとではない。


「ハァ……呼んだのは他でもありません。ラ・フォルジュさん……トウコさんが男子寮に入ったことです。女子寮はもちろんですが、男子寮も女子が入ることを禁じています」


 知ってる。

 なんなら常習犯で身ごもった女の中身である俺達が一番知ってたりする。


「それは仕方がないじゃないですか。私だって行きたくて行ったわけじゃないです」


 まあ、そうだろうな。


「もちろん、事情はわかっています。ですが、まだ今回の件は表立っていませんし、学校も町もこれからのことを検討中なのです。ですので、今回のことは兄妹だからということもありますので厳重注意で済ませます」

「ということにするわけですね?」


 そういう風に他に生徒に示すわけだ。

 さすがにお咎めなしは不自然だから。


「ええ。実際は注意することなんてありません。あの状況における御二人の行動に非はありません。むしろ、護衛を付けなかったミシェル先生の落ち度です」


 まあ、あの人はヨハンさんを追ってたから。


「だから説教中に飯を食ってもいいわけですね」

「ええ。しかし、まさかこんな形で御二人が兄妹であることがバレるとは思いませんでした」


 そりゃねー……


「先生、実は俺達も夏休みが明けたら明かすつもりでした。両親からなるべく2人でいるように言われたんです」

「ですね。だって、それこそ恋人になっちゃうじゃないですか。会長と男を取り合うみたいなことになるのはごめんです。ましてやそれが兄」


 なんかお前が盗ったみたいに見えるな。

 嫌だわー。


「なるほど……確かに2人でいるのが一番安全かもしれませんね。こちらも配慮してたんですが、それも不要になりそうです」

「色々とすみません」

「配慮って?」


 トウコがジェニー先生に聞く。


「色々とありますが、一番はこの前の魔法大会です。トウコさん……あなた、大声で叫びすぎです。お兄ちゃんだの、妹だの、兄だの……あのままでは観客に丸聞こえでしたよ?」


 あー、確かに。


「あれ? でも……」

「私がこれはマズいなと思い、音量を下げる魔法を使いました。今となっては意味がなかったですけど……」


 おー、ゴーレムをボロボロにされて涙ぐむイメージしかないけど、すごい魔法を使ってる!


「せんせー、ありがとー」


 ありがとー。


「はいはい……まあ、新たな問題も出てきましたけどね」

「他所の町です?」

「それは私ではなく、ミシェル先生や校長先生が考えることです。それではなく、あなたとイヴェールさんです。ものすごい嫌な話をしましょうか?」


 えー……


「じゃあ……」

「先生方は2代に渡って、問題を起こしそうだなって言ってます」


 2代……


「ウチの親ですか?」

「ええ。私は年代的に被ってませんし、あなた達の親御さんはかなり上の先輩なのでよく知りません。ですが、他の先生達はよく知っています」


 ジェニー先生、若いもんな。

 多分、20代。


「私は関係ないですよ。デキちゃった学生結婚のウチの親もロミジュリで駆け落ちしそうな兄夫婦も知りません」


 駆け落ちなんかせんわ。


「ミシェル先生は何て?」

「下手にお互いが別の相手と結婚しても不倫しそうって言ってましたね」


 昼ドラか!


「あの人、ラ・フォルジュ派だよな?」

「うん。しかも、親戚でお兄ちゃんのお嫁さん候補」


 どう考えてもお嫁さんになる気ないだろ。

 第三者として楽しんでいる親戚のねーちゃんだ。


「ツカサ君、節度ある学生生活をお願いしますよ」


 俺、なんでこんなことを言われないといけないんだろう?

 絶対に両親のせいだと思う。


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― 新着の感想 ―
これ真に危機感持ってるのはシャル親なんじゃ? 対立相手かつ前例の息子が跡取り娘に接近って良くない目でしか見れないよな
一卵性三生児なキャラを思い出させるね
これまでのエピソードからツカサから一線超える事は無さそうって信じてる。 ただ決断力が有りすぎるから、それがシャルと自身の為に最善なら超えるだろうと信じてる。 2人には幸せになって欲しい。
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