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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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第177話 この子の方がお姫様感があるな…… ★


 私は一度家に帰ったのだが、気になったのでイルメラの部屋に向かう。

 すると、イルメラの部屋にはノエルとユイカがいた。


「どう?」


 イルメラの部屋にあった剣を持ち、3人に聞く。


「とりあえずは大丈夫だと思うわよ」


 イルメラが頷いた。


「そう……」

「トウコさー、ツカサと兄妹なことをなんで隠してたの?」

「午前中のイルメラの反応を幼稚園の時からずーっと経験しているから」


 トウコちゃんってお兄さんと同じ顔だね……うるせーわ。


「あ、そう……」

「私やお兄ちゃんのことはどうでもいいわ」

「お兄ちゃん……ぷぷっ」


 イルメラが笑う。


「ケンカ売ってる? ぶっ潰すわよ?」

「ごめん、ごめん。でもまあ、確かにあんたとツカサはどうでもいいわ。問題はツカサと会長よ。実際のところ、どう?」


 お兄ちゃんと会長……


「くっつく確率99パーセント。すでにお母さんは諦めてる」

「諦めるってそんなに? あんたのお母さんってラ・フォルジュでしょ?」


 もはや納豆をかき混ぜ、ワイドショーを見ているただのおばさんだが……


「長瀬さんちのツカサ君といえばバカの代名詞。でも、そんなバカが基礎学とはいえ、90点を取ったんだよ。ぜーんぶ、会長のおかげ」

「会長のおかげって?」

「ユイカとノエルと同じような感じ。なんでか知らないけど、会長って日本にいるのよ。それで毎週末、お互いの家に行き合って勉強している」


 お兄ちゃんは会長に武術を教えていると聞く。


「彼女じゃん。ってか、会長って日本にいるの? フランスの人でしょ」

「さあ? 私もその辺はわかんない。なんか聞いちゃいけないオーラがあるから」

「うーん……ノエル、知ってる?」


 イルメラが同郷でイヴェール派のノエルに聞く。


「思い当たる節はあります。でも、すみませんが、私の口からは言えません」


 ノエルはわかるんだ……


「あんたはイヴェール派だもんね」

「それもありますが、ちょっと複雑ですので……」


 なんかあるな……


「そこまで興味ないし、いいわ。それよりもツカサと会長はもうダメね。もうくっついているも同然じゃん」

「特に会長がひどいね。あの人、あからさまだから」


 一緒に海に行ったユイカを見る。


「うん、すごかった。私達と話す時はしかめっ面なのにツカサと話す時は満面の笑み」


 家でもそうだけど、何あれ?


「嫌な女……」

「それだけ聞くと、そうですね……」


 まあ、私達が錬金術のことを無視するからってのもある。


「それとさー、ウチの親がうるさくて、外にはお兄ちゃんと行けって言ってきてるのよ。本当はその相談をしたかったの」


 さすがに誘拐未遂の話は言えない。


「あ、そうなの?」

「そう。なのにイルメラが大きな声でベラベラと……」

「ごめーん。この学校、そういう話があまりないし、盛り上がっちゃった」


 真面目な子が多いからな……

 そりゃウチの両親が有名になるわけだわ。


「トウコさんが町の外に出る場合はお兄さんと必須ってことですか?」


 ノエルが確認してくる。


「そう言ってる。逆もしかり。お兄ちゃん、バカだけど強いからね」


「まあ、あんたとツカサがいれば軍隊でも潰せそうだしね」

「絶対に戦いたくなかった2人ですね……」

「多分、ノエルは大丈夫だよ。私でも攻撃するのをためらうもん」


 戦闘狂のユイカもらしい。

 私もためらう。

 攻撃手段を持っていない端っこで震えているヒーラーだもん。


「だといいんですけど……夏休み中に考えていたんですけど、ツカサさんと会長、トウコさんとユイカさん、ユキさんとロナルドさんの3組って多分、冬の魔法大会でもコンビを変えないと思うんですよ」

「じゃない? ロミジュリコンビ、お粗末チビコンビ、かっこつけコンビね」


 誰がお粗末チビコンビか!


「そうなるとまた同じような組み合わせになり、アーサーさんとヘンリーさんのところにイルメラさんが入ったりしませんよね?」


 圧倒して3勝したからな……


「……さすがにないんじゃない? ってか、1対1ならなんとかできるけど、さすがに2対1は無理よ」

「でも、アーサーさんとヘンリーさんコンビよりはなんとかなりません?」

「そりゃかませモブコンビよりはね……でも、勝てるイメージが湧かない。お粗末チビコンビの手数に対抗できないし、かっこつけコンビの連携にも対応できない。ロミジュリコンビに至ってはナイトの方に瞬殺される光景が目に浮かぶ」


 お兄ちゃん、速いからなー。


「ツカサに転移の奇襲は通じないからね。後ろにも目があるもん」


 ユイカの攻撃を難なく捌いていたしね。


「あいつ、なんなん? 一人で勝てるでしょ」


 イルメラが呆れた。


「究極の戦闘特化型ですよね。呪学を学ばれているようですけど……」


 そういや、なんでお兄ちゃんが呪学なんだろう?

 会長に付き合っている感じでもないし……


「妹を呪いたいんじゃない?」


 イルメラが笑う。


「なんで兄に呪われないといけないのよ」

「優秀な妹がムカつくから」


 だったら勉強しろよ。

 頭が悪いのはそうだが、それ以上に勉強してなかったからでしょ。


「兄はどうでもいいわ。それよりも外の話。兄と2人は嫌」

「お兄ちゃんっ子なくせに……」


 ユイカがぼそりとつぶやいたので睨んでおく。


「別に外に行くのはいいんじゃないの? 私は別に男子連中と行ってもいいし。というか、この前もツカサとユイカで熊を狩ったわね」


 あれか……

 イルメラの嫌なところが前面に出たやつ。


「私は人が多い方が良いです。このメンツ、獲物を見つけたら急にいなくなったりしますし……」


 ごめん……


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― 新着の感想 ―
会長ツカサ以外の前で素出せて無いからなぁ しかめっ面なのも見栄張ってるだけやしほんま不器用な子やで
>このメンツ、獲物を見つけたら急にいなくなったりしますし…… リードの付いてない犬みたいね 田舎で野生動物の痕跡見つけると一目散にどっか行く
イルメラのいやなとこはよ
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