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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第4章

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第164話 デート


 転移の魔法陣を使い、商業区に来た俺達は手を繋ぎながら魔道具を売っているデパートにやってきた。


「ツカサ君、見て、見て! 水がイチゴ味に変わるグミだって!」


 そうか、そうか。

 俺はコーラ味に変わるやつを買った。


「買ってもいいぞ。俺はワニ狩りでめっちゃ儲けたからな」


 トライデント代のために貯めているのだが、中一の従妹に奢るくらいの余裕はある。


「ツカサ君は本当にすごいね! 魔法大会でも優勝したんでしょ!」


 優勝というものはなかったが、3勝したし、優勝でいいだろう。


「まあな! 悪の帝王を倒した」

「あ、悪の帝王? そんなのが学園にいるの?」

「ああ。暴力姫というあだ名で恐れられているトウコ・ラ・フォルジュだ」

「トウコちゃんじゃん……暴力姫って……」


 リディが引いている。


「あいつはパリジェンヌを目指して、おしとやかなお嬢様ぶってたんだが、素があれだからメッキが剝がれつつあるんだよ」


 特に魔法大会がマズかった。

 あいつ、興奮するとすぐに暴言を連発する悪い癖がある。


「トウコちゃん、明るいからね。健康的でポジティブな女子のままでいいのに」


 あれをここまで良く言えるのが本当のお嬢様だろうな。

 やはり親の差か教育か環境か……


「そうだな。そういうのが好きな男子もいるだろう」


 俺は嫌だけどね。


「ツカサ君は彼女とかいないの?」

「いない。別にモテないし」


 トウコもな!

 あ、でも、中学の時にクラスの男子にコクられたって自慢してたわ。

 死ね。


「えー、ツカサ君はモテるよー」


 親戚のおばちゃんが言いそうなセリフだわ。

 もっとも、伯母さんは絶対に言わないけど。


「どの辺が?」

「かっこいいしー、大人だしー、明るいしー、行動力もあるから引っ張っていてくれそう! あと、知らない世界に連れていってくれそう!」


 知らない世界……ワニ見る?


「そんなこと言われたことないわ」

「そう? ツカサ君って魔法使い業界にはいないタイプだし、誰にでも明るく接するからモテると思うなー」

「ふーん……」


 その気になっちゃうじゃないか。


「あ、ツカサだ」

「本当だ。なんか手を繋いでいるぞ」


 声がしたので振り向くと、ユイカとユキの紅白コンビがいた。


「何だ……お前らか」

「何だってひどくない?」

「ってか、その子、誰?」


 ユキがリディを見ながら聞いてくる。


「従妹だ。デート中なんだよ」

「へー……どう見ても日本人じゃないな。ラ・フォルジュか」

「そういや、夏休み前にデートするって言ってたね」


 言ったな。


「リディ、同級生の赤羽ユイカと白川ユキだ。トウコの友達だな」

「こんにちは。リディ・ラ・フォルジュです」


 リディが丁寧に頭を下げて自己紹介する。


「血を感じない……」

「フリーダム兄妹と従妹とは思えない」


 フリーダム兄妹って俺とトウコか?

 フリーダムなのはトウコだけだろ。


「なあ、俺がモテると思うか?」

「は?」

「それを聞いた時点でモテないよ」


 確かにナルシストっぽかったな……


「リディがモテるって言うからさ」

「うーん、普通?」

「うん、普通」


 普通か……

 良い感想なのか、悪い感想なのか。


「リディ、やっぱりダメだわ」

「そ、そんなことないよ。ツカサ君は明るいから一緒にいて楽しいもん。私は暗いから一緒にいるだけで楽しくなれる」


 リディって暗いかな?


「「あー……」」


 ユイカとユキが口を揃えた。


「何?」

「いや、別に」

「全然、気にしないでいいよ」


 気になるんだが?


「まあいいや。お前らは何してんだ? デートか?」

「そんなところ。暇だからな。君はパリだったっけ?」

「そうだな。今、夜の11時だぜ?」

「夜のデートか」


 めっちゃ太陽が出てるけどな。

 いや、あれが太陽なのかは知らんけども。


「若干、眠いわ」

「大変だな……トウコは? 一緒じゃないのか?」

「デートって言ってるだろ。なんで妹が付き添うんだよ」


 セットにすんな。


「ふむ。それもそうだな。では、デートの邪魔をしたら悪いし、我々は2階に行こう」

「そうだね」


 ユイカが頷く。


「2階?」

「今日は槍を見にきたんだ。ワニが儲かると聞いたから」


 確かに儲かったな。


「ロナルドにやらせろよ」


 あいつの槍の腕は一級品だ。


「ワニが怖いってさ」


 アメリカ人のくせに。

 ワニはいっぱいいるだろ。

 ワニを調べたから知ってるんだぞ。


「線の細いやっちゃ」

「どちらにせよ、そこまでロナルドを頼れんよ。ではな」

「ばいばい」


 ユキとユイカは2階に上がっていった。


「ツカサ君、トウコちゃんの友達って言ってたけど、ツカサ君も仲良いの?」

「あいつらは魔法大会で戦った2人だな。もちろん、俺が勝ったけど」


 すごかろう?


「へー……なんで目を閉じてるのかな?」

「それは知らん」


 槍を見にいくって言ってたけど、その前に目を開けろよってツッコみたかったわ。


「変わった人だねー」


 ユイカはユイカで変わってるけどな。


「リディ、買い物が終わったらカフェでも行くか?」

「行きたーい」


 やはりカフェが正解か。

 俺も2階の武器屋に行きたかったが、リディは絶対に嫌がるだろうしなー。


「じゃあ、行くか」


 俺とリディは会計を済ませると、店を出て、前にもシャルと行ったカフェに行くことにした。


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― 新着の感想 ―
当然シャルちゃんと出くわして、「私なんでこんなに落ち込んでるの?」って言わせる迄がラヴコメの王道だよな
今回も読んで楽しかった 続きまってますよ~
一緒にいると明るくなれる、のところは微妙に共感できそうだったのかね……? それはそうと、ユキはお目め閉じてるのいつも突っ込まれるね。本人もネタにしてるところあるから、これも挨拶みたいなものか。口に出…
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