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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第4章

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第163話 腕は不安に思おう!


 トウコとの演習が終わり、部屋に戻ると誰もいなかったのでセレスちゃんの部屋に向かった。


「セレスちゃーん、いるー?」

『いるよー。ちょっと手が離せないから勝手に入ってー』


 セレスちゃんが許可をくれたので扉を開け、中に入る。

 セレスちゃんは何かの書き物をしており、セレスちゃん以外には誰もいない。


「あれ? トウコは?」

「来てないよ。リディのところじゃない?」


 そっちだったか……


「何してんのー?」


 デスクについているセレスちゃんのところに向かいながら聞く。


「んー? ちょっとした書類だよ。エリクだけじゃ辛いだろうから手伝い」


 セレスちゃんは偉いなー。


「セレスちゃんはこれからどうするの?」

「これから? 将来のこと?」

「そうそう」

「あんまり考えてはないね。多分、誰かと結婚するんだろうけど、結婚してもラ・フォルジュを手伝うことになると思う」


 セレスちゃんも結婚するのかー。

 まあ、セレスちゃんはしようと思えばいつでもできるわな。


「そっかー」

「ふふっ、お姉ちゃんと結婚したかった?」


 子供の頃にそんなことを言った記憶がある。


「うーん、8歳上か……」

「おい……」


 すぐ陰るなー。


「ごめん、ごめん」

「ツカサ君にアドバイスするけど、年上の女性に年齢のことでからかったらダメだよ」

「はーい」


 はんせー。


「でも、急にどうしたの?」

「さっき婆ちゃんにエリク君を頼むって頼まれちゃった」

「あー、その話ね。そんなに重く考えなくてもいいよ。エリクが困ったら助けてあげてっていう程度だから」


 まあ、困ってたら助けるけども。


「俺、就職に困ったら逆に助けてほしいんだけど」

「それはエリクも助けるでしょ。でも、自分のやりたいことをした方が良いよ。まだ1年だし、これから見つければいい。ツカサ君は成績も上がっているようだし、未来は明るいと思うな」


 セレスちゃんは優しいなー。


『セレスちゃーん、お兄ちゃんいるー?』


 トウコの声だ。


「いるよー」


 セレスちゃんが答えると、扉が開き、トウコとリディが部屋に入ってくる。


「やっぱりセレスちゃんのところにいるし」

「ツカサ君、お姉様のことを好きすぎるでしょ」


 リディがむくれている。


「リディとはデートがあるからなるべく会わないようにしようと思っただけだ。待ち合わせデートっぽいだろ」

「すんげー嘘」


 トウコは黙ろう。


「セレスちゃんに相談事があったんだよ」

「ふーん……」

「何だよ」

「いえいえー。お兄ちゃんさー、可愛い系の服とエロかっこいい系の服だとどっちが良い?」


 何だ、それ?

 あ、リディか……


「可愛い系」

「ほら、お兄ちゃんもこう言ってるよ」


 トウコがリディに言う。

 やっぱりデートで着る服だ。

 どう考えてもリディは可愛い系だろう。


「うーん、もう一回考えてみる。トウコちゃん、来て」


 リディはトウコの腕を引っ張り部屋から出ていった。


「ツカサ君、絶対にリディの服を褒めるんだよ」

「わかってるよ」


 さすがにわかる。

 俺でもわかる。


 俺はその後もセレスちゃんと話をしながら過ごしていく。

 そして、夕方になると、夕食を食べ、部屋で過ごした。

 トウコは風呂に入ったが、俺は入らずに待つ。

 すると、時刻は11時になり、お出かけ用に服を着たリディがセレスちゃんと共にやってきた。


「お待たせー。ツカサ君、行こ!」


 リディが俺の腕を引っ張ってくる。


「わかった、わかった。じゃあ、行ってくるわ」

「いってらっしゃい」

「こっちはもう夜中だからあまり遅くならないようにね」


 俺とリディは部屋を出ると、ゲートがある部屋に向かう。

 そして、ゲートをくぐると、屋敷についたので外に出た。


「明るいなー」


 本当に体内時計がバグりそうだわ。


「商業区に行こー」


 リディがそう言って、手を握ってきた。


「そうだなー。リディ、似合ってるぞ」


 リディは可愛らしいワンピースの服を着ており、髪も結んでおしゃれをしている。


「ありがとー。ツカサ君もかっこいいよ」


 普段の格好だけどな。

 いや、普段からかっこいいってことか。

 可愛い子だわ。


「何か見たいものでもあるか?」


 転移の魔法陣がある建物を目指しながら聞いてみる。


「あのね、魔道具が売ってる店に行きたいんだ」


 魔道具……

 俺が最初に行ったあのデパートのことだろう。

 間違ってもシャルが好きな怪しい市場ではない。


「行ったことないのか?」

「アストラルは子供を連れてこないって暗黙の了解があるんだよ。理由は昨日言ったやつ」


 子供はべらべらしゃべるからか。


「じゃあ、アストラル自体にあまり来たことがないのか」

「最初に来たのは今年の3月だね。ウチがギスギスしてた時」


 ギスギス?


「ケンカでもしてたのか?」

「ツカサ君をどうするかで揉めてた」


 ……ごめんね。


「ウチも暗かったなー。あの合格発表の時の夕食の空気はマジでヤバかった」


 あのトウコが一切、顔を上げずに黙って食べてたくらい。


「魔法学園に通えるようになって良かったね」

「そうだなー」


 最初は腕の不安や授業の難しさにどうしようかと思ったが、今は何も思わなくなったし、楽しいと思う。

 シャルのおかげだろう。

 うんうん。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
セレスちゃん、ツカサの初恋のお姉さん(きょにゅー美女)でシャルちゃんムカムカですよ
デート中に他の女の事を考えるのは失礼だぞツカサくん
シャルもだけど、お互いどうするつもりなのかね?2人とも周り(主にメイド)がチャカしてるだけで本人達にどこまで恋愛感情があるのかもよくわからんが
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