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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第4章

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第153話 満喫


 シャル特製の打ち上げ花火を投げ終えると、市販の花火で遊んだ。

 そして、別荘の中に戻ると、一度、解散し、各自が風呂に入る。


 シャワーは先に入らせてもらったので今度はトウコに先を譲り、入らせる。

 トウコが上がると、風呂に入り、1日の疲れを癒した。


「んー?」


 風呂から上がると、トウコがいなかったので部屋を出る。

 すると、トウコとユキがトランプをしており、その横でミシェルさんがチェス盤を眺めながら頭を抱えていた。

 トウコとミシェルさんは部屋着に着替えているし、ユキは浴衣だ。


「2人でトランプか?」


 3人のもとに近づくと、トウコの手札を見ながら聞いてみる。


「あ、お兄ちゃんもやろ。2人でババ抜きしてもつまんない」

「だろうな」

「よし、仕切り直そう」


 ユキはトランプを回収し、シャッフルしだした。


「ユイカとシャルは?」

「ユイカはまだお風呂に入ってるね。ジュリエットは知らない。呼んできてくれ」

「わかった……ミシェルさん、大丈夫ですか?」


 ピクリとも動いてないぞ。


「大丈夫……お嬢様のところに行くならクロエにゆっくりお風呂に入るように言って」

「あ、はい」


 立ち上がると、シャル、クロエの部屋に向かった。


「シャルー、クロエー?」


 ノックをしながら声をかける。

 すると、ちょっとだけ扉が開かれ、片目だけのシャルが見えた。


「……何?」

「風呂から上がった?」

「ええ。さっきね」


 顔が半分しか見えないが、いつものサイドテールを下ろしているからそうだと思う。

 ついでに言うと、いつぞやにも見た高そうなシルクっぽい寝巻を着ている。


「トランプしよーぜ」

「トランプ……着替えるから待ちなさい」


 シャルもトランプをやるようだ。


「あ、クロエにゆっくり風呂に入るように伝えて。ミシェルさんがチェス盤を見ながら固まっているから」

「あの人も諦めないわねー……わかったわ」


 シャルが頷いたのでトウコ達のもとに戻り、待ちながらトランプをする。

 そして、シャル、ユイカも来たので5人でトランプをすることにした。


 トランプで遊んでいると、やっぱりメイド服のクロエがやってきて、ドヤ顔をしているミシェルさんの対面に座る。


「若いんですからトランプではなく、王様ゲームでもしたらどうですかー?」


 クロエがそう言いながらすぐにチェスの駒を動かす。

 ミシェルさんが固まった。


「王様ゲームって……とんでもない地雷がいるんだけど?」


 もちろん、トウコ。


「いや、私にメリットがなさすぎるから! なんで実の兄と王様ゲームをしないといけないの!」


 トウコも嫌なようだ。

 当たり前だけど。


「そう当たりませんって」

「当たるんだなー、これが」

「そう、当たる。双子の運命だね。英語で言えば、双子ディスティニー」


 ディスティニー!


「どっちみち、嫌よ……神経衰弱をしましょう」


 シャルがそう言って、トランプを置いていったので皆で神経衰弱を楽しんだ。

 ただ、ユイカが『なんでさっき開いたカードを忘れるの?』とか『なんでさっき開いたカード開くの?』と皆に言われてて、可哀想だった。


 …………覚えてねーよ。




 ◆◇◆




 俺達は夜遅くまでトランプで遊ぶと就寝した。

 翌日の午前中も海で遊ぶと、昼前にはシャワーを浴び、クロエが用意してくれた昼食を食べる。

 そして、皆で片付けをし、帰ることにした。


 車内では行きと同じような席順で座り、車に揺られる。

 隣を見ると、シャルが目を閉じており、寝ていると思われる。

 前の方ではクロエとミシェルさんが目隠しチェスをしていたが、数分前からミシェルさんが完全に黙ってしまっていた。

 後ろの方では朝も騒いでいたトウコがスヤスヤと寝ており、ユイカは窓の外を眺めている。

 トウコを挟んだ反対側のユキも窓の外を眺め……?


「ユキ、起きてる?」


 つい声をかけてしまった。

 すると、ユキがこちらを向く。


「起きてるが?」

「あ、起きてたんだ……」


 ユイカが驚いたような表情でユキを見た。

 なんかしゃべってないと思ったらユイカもユキが寝ていると思ったようだ。


「紛らしいから目を開けろよ」

「君は私の瞳が好きだねー」


 ユキはいつものボケをかましながら目を開ける。


「海はどうだった? 楽しかった?」


 今回のホストであるユイカが尋ねる。


「楽しかったよ。誘ってくれてありがとう。良い思い出ができた……」


 ユキがそう言って微笑みながら窓の外を眺めた。


「……転校すんのか?」

「……実家の関係?」

「あ、いや、すまん……冗談になってなかったな」


 冗談かい……


「自分の家の状況をちゃんと考えてボケろよ」

「今のはさすがにね……」


 どう見てもこれが最後の遊び的な雰囲気だった。


「すまん、すまん。私は3年間通うよ。魔法が戦闘に特化しすぎているから他のことも学びたいんだ。当主たる者、色々なことに目を向けないといけないからな」


 そう言って、目を閉じた。

 これはわかりやすいボケだな。

 目を向けたいなら開けろよ。


「セドリックも広く浅くって言ってたわ」

「そんな感じ。その中でも友人もできたし、言うことないね。良い学校だよ」


 良い学校か……


「授業が……」

「勉強が……」


 そこがちょっと……


「頑張りたまえよ。あれだったら教えてやるぞ?」


 こいつも地味に優等生なんだよな……

 バーサーカーの癖に……


「シャルリーヌ先生がいる」

「ノエル先生がいる」

「そうかい……じゃあ、先生に感謝するといいよ」


 いつもしとるわい。


「ノエルも誘ってあげたら良かったかな? すんごいし」


 すんごいね。


「フランスから来ないだろ。あと、ノエルは絶対に泳げんぞ」

「いや、浮きそうじゃない?」


 …………浮くのか?

 いや、シャルとうるさいトウコが起きる前に話題を変えよう。


「お前らはこの後の休みはどうするんだ?」

「ゴロゴロ」

「私もそんなところだね。君は?」


 ユキが聞いてくる。


「母方の実家」


 その前にシャルの家に行くけど。


「ラ・フォルジュか」

「かっこいい人いない? できたら魔力が高めの人が良い……あ、君でもいいよ」


 旦那探しか。


「前に父さんに俺の子は優秀な魔法使いの可能性が高いって言われたけど、バカが生まれる可能性も高いと思うぞ」

「……やっぱりいいや」


 そんなに嫌?


「え? 私の子も?」


 ユイカが気付いてしまったようだ。


「そりゃそうだろ」


 お前もバカなんだから。


「ツカサと私の子は激バカ?」


 悲しいことを言うな。

 マイナス×マイナスでめっちゃ賢い子が生まれるかもしれんぞ……いや、ないか。


 俺達はその後も話をしながら車に揺られ、俺とトウコの家で解散となった。

 この日はさすがに疲れていたので早めに休んだ。


 この2日間は一番良い夏休みだったと思う。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
良い水着イベントでした。やはり主人公以外に男がいないと純粋に楽しいですね。
ご両親がぽんこつだと反面教師で勉強頑張るのでは?
パッパとマッマや祖父母、従兄妹は激バカじゃないから子どもで来ても大丈夫な可能性高い・・・ハズ・・・きっと・・
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