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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第1章

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第015話 比べるまでもない


 翌日からは午前だけでなく、午後も授業がある生活が始まった。

 朝4時に起き、学校に行く。

 そして、午前、午後と授業を受け、夕方までフランクやセドリック、たまにイルメラやノエルと話をし、帰宅する。

 こんな生活を送っており、早起きにも学校生活にも慣れてきた。

 だが、授業の難しさだけは一向に変わらない。


「むずい……」


 木曜の放課後、教室に残った俺は頭を抱える。


「想像通りだったわね。4月の最初の週のユイカを見ているようだわ」

「確かにユイカさんも頭を抱えていましたね……」


 同じく教室に残っているイルメラとノエルが呆れた。


「そのユイカはどこだ? 4日経ってもまだ見てないぞ」

「風邪引いて寝込んでいる」

「ちょっとこじらせちゃったみたいです」


 風邪かい……


「バカは風邪を引かないんじゃなかったっけ?」

「あんた、引いたことないの?」

「あるな……」


 普通にある。


「じゃあ、バカも風邪引くわよ」

「バカかどうかは置いておいて、来週には出るそうですよ」


 じゃあ、初対面は来週か……


「ツカサ、明日の午後はどうするんだ? つまらん歴史の授業だし、町でも行かないか?」


 フランクが誘ってくる。


「明日……」


 あ、ダメだわ。

 明日の午後はシャルと呪学の授業を受ける約束をしている。


「明日の午後は用事があるからパス」

「用事? 家の用事か?」

「いや、呪学の授業を受ける」

「あー……そういや解呪がどうのこうの言ってたな。でも、明日、呪学の授業なんてあったっけ?」


 フランクが他の3人を見る。


「さあ?」

「Dクラスにはないですね」

「というか、あんたほど呪学が似合わない男はいないわね」


 イルメラはもしかしたら褒めているのかもしれない。


「Aクラスの3年がやるんだってさ」


 シャルが言ってた!


「Aクラスか……」

「まあ、Aクラスなら……」

「Aクラスの人は穏やかですもんね」

「いいんじゃない?」


 この反応は何だろう?


「マズいクラスでもあるのか?」

「えーっと、別にマズくないぞ。どのクラスのどの授業を受けても良いしな。ただ、ウチとCクラスは仲が悪い。特に1年が悪い」


 Cクラス……


「なんで?」

「そりゃウチのトップとCクラスのトップが犬猿の仲だから。あと派閥かな……」

「派閥は知らんが、犬猿の仲ってラ・フォルジュさんとシャル?」

「それ」


 まーた、名門かい。

 どっちとも関わり合いがある俺がめんどくさいことになってんじゃん。

 同じ国なんだから仲良くしろよ。

 フランクとイルメラがそう言ってただろ。


「そんなに仲が悪いの?」


 同じフランス出身のノエルを見る。


「色々とあるんです……」


 ノエルが苦笑いを浮かべた。


「あと、生徒会長の取り巻きがうざい」

「鼻につくよね」


 イルメラとセドリックがうんうんと頷くのでじーっと見る。


「……何よ?」

「言いたいことはわかるけど、あいつらと話をすればどんな感じかわかると思うよ」


 それを聞いて話をしたいとは思わない。

 でも、シャルがなー……

 うーん、まあいいか。


「その辺のことはよくわからんが、とにかく、明日は呪学を受けるわ」

「難易度が一年の比ではないが、頑張れ」

「目標のために頑張るのは良いことだよ」

「よくわかりませんが、頑張ってください」

「3年になったらノート見せて」


 良い奴らだと思うが、全員『無理だろうなー』って顔になってる。

 まあ、悲しいことに俺もそう思うんだけどさ。


 俺達はそのまま教室を出て、寮に向かう。

 そして、女子と別れると、男子寮に戻り、この日は早めに帰宅した。


「明日は……どうするんだろう?」


 シャルと約束はしたものの、あれから連絡を取っていないのでよくわからない。

 俺は着替え終わると、隣の部屋に向かい、扉を開けた。


「ノックしろー」


 ベッドで漫画を読んでいるトウコが文句を言う。


「トウコさー、女子にいきなり電話してもいいもん?」

「んー? なんで? コクるの?」


 電話でコクるわけないだろ。


「いや、明日約束しているんだけど、その話をしたい」

「それならしてもいいんじゃない? 大事なことじゃん」


 それもそうか。


「邪魔したなー」


 用事が済んだので部屋を出ていく。


「だから閉めれー」


 うるさいので扉を閉めると、自室に戻り、電話をかけた。

 呼び出し音がずっと鳴っているが、出ない。


『もしもし?』


 もしかしたらアストラルにいるのかと思ったが、普通に出てくれた。


「どうもー。電話してよかった?」

『別に暇してたから構わないわよ』


 問題ないらしい。


「それでさー、明日なんだけど、午後から呪学の授業があるじゃん? 予定とか大丈夫?」

『ええ。大丈夫よ。どうせ帰ってもやることないし』


 暇なのかな?

 魔法学園に部活とかないんだろうか?


「じゃあ、お願い。どっかで待ち合わせしようよ。なんかクラスメイトの話を聞くと、一人で他所のクラスに行くのが不安になった」

『あー……Dクラスだっけ? ごめんね』


 シャルは何かを察し、謝ってきた。


「いや、シャルが謝ることじゃないと思うけど……というか、よくわかんないし」

『ちょっと揉めてるのよ……ハァ』


 シャルが暗い声でため息をつく。


「大丈夫?」

『ええ……Aクラスは問題ないと思うけど、そう言うんだったらAクラスの校舎の前で待ち合わせしましょう。そこから一緒に行けばいいわ』

「じゃあ、それで。授業の10分前でいい?」

『いいわよ。じゃあ、明日ね』

「ありがとー。また明日」


 電話を切った。


「ふむ……」


 どこに問題がある子なんだろうか?

 ガチで良い子なんだが?

 うーん……美人で優しいシャルとトウコか……

 うん、きっとトウコが悪いんだな。

 あいつ、口悪いもん。


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― 新着の感想 ―
[一言] >「派閥は知らんが、犬猿の仲ってラ・フォルジュさんとシャル?」 シャルだけ愛称で呼んじゃってるけど誰も突っ込まない
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