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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第4章

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第148話 わかった!


 俺達は車でわいわいと騒いでた。

 そして、2時間くらい車に乗っているのだが、徐々に都会の雰囲気は消え、それどころか大丈夫かと思うような道を進んでいた。


「クロエ、合ってる?」

「合ってますよー」


 大丈夫かね?


「ハッ! もしや、イヴェールのメイドがラ・フォルジュの人間を誘拐しようとしているのでは!? お兄ちゃん、逃げよう!」


 ク、クロエ……?


「なんでその誘拐に私達が付き添っているのよ……」


 シャルが呆れる。


「そうだぞ、トウコ。人を疑うな」


 良くないぞ!


「あなた、さっきものすごい勢いでクロエを見たじゃないの……」


 まあ……


「というか、行くところはウチの別荘。合ってるよ」


 ホストであるユイカがそう言うならそうなんだろうな。


「なんでこんな人もいないようなところなん?」


 舗装はされているようだが、木しか見えんぞ。


「魔法の訓練とかするからね。プライベートビーチと言えば、テンションも上がるでしょ」


 確かに……


「もう着きますよー」


 クロエがそう言うと、木々に囲まれた道を抜ける。

 すると、正面には海が見え、そこまで規模は大きくないが、白い砂浜も見えた。


「おー、海だ!」

「確かにプライベートビーチだね!」


 俺とトウコが感嘆の声を出す。

 すると、ユキが身を乗り出してきた。


「見えんな……」

「目を開けろ、バカ」

「見えるわけないでしょ」


 俺とシャルが同時にツッコむ。

 すると、ユキが満足そうな顔になり、ゆっくりと目を開けた。


「海だな……綺麗だ。ユイカ、あの建物が泊まるところか?」


 ユキが言うように道路と砂浜の間には2階建ての家があった。


「そそ。あれが別荘。ちゃんと掃除してあるし、電気、水道、ガスは通ってるから大丈夫」


 それは良かったわ。

 さすがに海に入った後に風呂に入れないのは嫌すぎる。

 シャルなんて帰るとか言い出しそう。


「ユイカさん、車はその辺に停めても大丈夫ですか?」


 クロエがユイカに確認する。


「うん。ここが終点だし、私達以外には誰も来ないから適当に停めていいよ」

「クローズドサークル……今夜、嵐が来て、道が寸断される……第一の被害者は私……」


 ユキがアホなことを言っている。


「探偵役は私。犯人はお兄ちゃんね。動機は浮気がバレそうになったから」


 その場合、ユキが浮気相手になるぞ。


「真っ先に探偵を殺してやるよ」

「かかってこい!」


 トウコがシャドウボクシングをする。


「ミステリーじゃなくてバトルものになってるわよ」

「うわっ、会長がいる! バトルものだとヒロイン付きのお兄ちゃんが有利だ!」


 どちらにせよ、お前なんかに負けんわい。


「その前になんで兄妹で争うのよ? 仲良し双子なのに……」

「「仲良しじゃない。むしろ悪いくらい」」

「はいはい……その芸はもういいわ」


 いや、今のは絶対にシャルが振ってきただろ。


「皆様ー、盛り上がっているところですが、到着でーす。降りてくださーい」


 クロエがそう言うと、車が停まったので車から降りる。

 すると、すぐにシャルが日傘をさしだした。


「本当にさすん?」

「せっかくもらったし」


 シャルがお嬢様道に進んでいく……

 まあ、お嬢様なんだけどさ。

 クロエもそう呼んでいるし。


「会長がお母さんみたいなことしてる」


 やはりトウコが食いつく。


「そのお母さんからもらったのよ」

「もう姑ってるし……」


 姑ってるっていう言葉を初めて聞いたわ。


「皆さーん、こちらですよー」


 クロエがガイドさんみたいな口調で海側の方に行くのでついていく。

 すると、建物は海側に玄関があり、さらにはテラスがあって、そこでバーベキューができそうだった。


「お前の家の別荘、すごいな」

「でしょ。赤羽家唯一の別荘」


 ウチは別荘なんかないわ。


「まずは中に入りますよー」


 クロエがそう言って鍵を取り出し、玄関の扉を開けた。


「ちょっと待っててくださいね。エアコンを付けますので」


 クロエが中に入っていったのでその場で待つ。


「お前の家の別荘じゃないん?」


 どう見てもクロエがホストだ。

 鍵も持ってたし。


「今日はあのメイドさんはウチのメイドさん。全部任せた」

「ユイカお嬢様なわけね」


 しばらく待っていると、クロエが戻ってきた。


「では、皆さん、中にどうぞ」


 クロエがニコニコ顔で招いてくれたので中に入る。

 中は2階建てだが、吹き抜け構造になっており、結構広く感じる。

 ログハウスというわけではないが、木製であり、落ち着く雰囲気だった。


「こちらには客室が4部屋あります。1階と2階に2部屋ずつですね。まことに勝手ながらこちらで部屋割りを決めさせてもらいました」


 7人だし、4部屋となると分けないとな。


「俺、1人?」


 そうすると、女性陣6人だから2人1部屋で分けられる。


「いえ、ツカサ様はセットの妹さんと一緒です」

「あ、はい」


 やっぱりね……

 俺達はどこに行ってもそうだよ。


「残りはユイカさんとユキさん、私とミシェルですね。神経質なお嬢様が御一人です」

「誰が神経質よ」


 いやー……どうだろう?


「ユイカ、防音はしっかりしてるか?」


 ユキがユイカに聞く。


「話し声程度なら聞こえないけど、それ以上になるとどうかなー?」

「そこは私が防音魔法をかけますのでご安心を」


 こいつらは何を言っているんだろうか?


「クロエ、あなたがお嬢様と同じ部屋にしなさい。私が一人になるわ」


 何かを察したミシェルさんが異を唱えた。


「えー……ひと夏のアバンチュール……」

「ダメ、アウト、しょうもないことをしない」

「じゃあいいです。では、お嬢様。私と2人ということで……」

「はいはい」


 こいつらはマジで何を言っているんだろう?


「トウコ、わかる?」

「うん、私がめちゃくちゃ気まずくなるやつ」


 うーん……


「あ、俺がシャルの部屋に――」

「口に出すな、バカ兄貴」


 あ、はい。


お読み頂き、ありがとうございます。


これが今年最後の更新となります。

来年も更新していきますので引き続きよろしくお願いいたします。


良いお年を(@^^)/~~~

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― 新着の感想 ―
一年間楽しく読ませていただきました。ありがとうございます!来年もよろしくお願いいたします  m(_ _)m
じゃあミシェルさんの部屋に… そして事件につながる… 良いお年を 来年も楽しみにしています。
いいかげんカップルとして自覚してきたかな?
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