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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第4章

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132/207

第132話 魔法大会も終わり……


 日曜も終わり、月曜となった。

 この日の基礎学の授業は実技があったので座学が終わった後に演習場で実技を行う。

 そして、一通りの実技が終わると、自由時間になったのでいつもメンバーが集まった。


「一昨日はあんなに大盛況だったから誰もいない演習場は寂しいわね」


 イルメラが観客席を見る。


「お祭りが終わった後は寂しいもんだ」

「そうだね。まあ、イルメラの試合は盛り上がっていたから特にそう感じるのかも」


 まったく盛り上がっていなかったフランクとセドリックがうんうんと頷いた。


「イルメラさんと組んで良かったです! 私、イルメラさんと結婚したいと思いましたもん」

「あんた、何言ってんの?」


 ノエルの言葉にイルメラが呆れる。


「でも、実際、イルメラはすごかった。相手もけっして弱くはなかったのに一人で完勝してたもん」

「確かにすごかったな」


 今度はユイカと俺がうんうんと頷いた。


「あんたらバケモノに言われても嬉しくないわ。トウコもだけど、同じ人間とは思えないわよ」


 ひでー。

 槍で無双してた女にここまで言われるか?


「私は普通」

「俺も普通」

「普通って何かしら?」


 イルメラがノエルを見る。


「私は最後の試合を見て、トウコさんを含めた3人と当たらなくて良かったとつくづく思いましたよ。あとAクラスのユキさん」

「ユキねー……あれもバーサーカーだったわね。ねえ、日本人ってバーサーカーしかいないの?」


 俺は違う。


「アサシンだってば……華麗な動きを見たでしょ」


 ユイカはまだアサシンと言い張っている。

 そういう家の人間で暗部でもあるらしいから気持ちはわからないでもない。


「ユイカは無視するけど、イルメラに言われたくないな。高笑いしながら槍を振り回している姿はバーサーカーだったぞ」


 あの大車輪は無駄としか思えなかったが、観客は盛り上がっていた。

 正直、かっこいいと思った。


「あれはワルキューレって言うんですよー。素敵でした」


 ノエルが完全にイルメラ贔屓になっている……

 お姫様ポジだったからだな。


「褒めるな、褒めるな。冬の魔法大会も同じような感じだったら組んであげるわよ」

「もう王子様にしか見えませんねー」


 そういや冬もあるのか……

 またシャルと組むかな……


「ご機嫌だねー」

「仕方ないだろ。正直、今回の大会で一番株を上げたのはこいつとAクラスのユキだしな」


 セドリックが笑うと、フランクが答えた。


「そうかい? 同じ3勝のツカサや会長は?」

「ツカサも会長も元々、決闘で知れ渡っているからな。もちろん、トウコやユイカ、ロナルドも強いことは皆、知ってた。想定以上の戦いをしたのはイルメラとユキだ」


 イルメラは転移という奥の手があり、ユキはそもそも手の内を明かしていなかったからか。


「確かにね。ユキは家を復興させたいから名前が売れて良かっただろうね」

「だろうな」


 多分、ユキは名前を売るためにあの大会に出たんだろうな。

 そして、2敗したもののそれは成功したということだろう。


「冬の魔法大会とやらもあれらとやるのかね?」


 結構、嫌なんだけど。

 もっと楽なのが良い。


「組む相手によるんじゃないか? イルメラはノエルと組むっぽいし、そうなると、どうせユイカとトウコが組むだろ」


 そうなるかもな。

 トウコは友達と組みたいって言ってたし、ユイカしか残ってない。


「お前は?」

「その時考える。セドリックは悪くなかったが、やる気なさすぎてな……」


 確かにそんな感じだったな。


「フランクは良いパートナーだったよ。また組みたいね」


 楽できるからって顔に書いてあるな。


「ユイカはトウコと組むん?」

「もう約束した。私達はリベンジに燃える悪鬼になったのだ」


 こいつら、リベンジばっかりだな。


「お前らバーサーカー3人衆は防御を覚えるべきだ。攻撃一辺倒で動きが単調すぎるからどんなに速く動いても相手にならんわ」

「むぅ……防御……」


 嫌いって顔に書いてあるわ。


「ユイカさん、リベンジもいいですが、その前にテストを頑張りましょうね」


 ノエルがユイカの後ろに回り、両肩に手を置いた。


「テスト……」


 ユイカが絶望した顔になる。


「勉強しないと負けますよ。魔法大会だけでなくテストまで負けていいんですか?」

「いやー、今回はやる気が出ないんだよ。50点でいいわ」


 嘘だけど。


「こう言っている」


 ユイカがノエルを見上げながら俺を指差すと、ノエルが首を横に振った。


「どう見ても嘘つきの顔です。それに向こうの家庭教師が許さないでしょう」


 正解。


「テスト前に勉強してないわーって言ってくるあれか……よくいた。そして、仲間だと思っていて結果が返ってくると、敵だったいうことに気付くやつだ」


 トウコが良くやるやつね。

 あいつ、中学の時はいっつもリビングでテレビを見ており、俺がいる前だと勉強をしているそぶりを見せなかった。


「今日から頑張りますよ」

「きょ、今日から? 明日からでいいのでは?」

「今日からです。明日も同じことを言う気でしょ」


 そう思う。

 俺もそう思っているもん。


「わ、わかった。頑張る」

「そうです、そうです。会長には負けられないのです」


 シャルはシャルでなんかノエルに対抗意識を持ってたし、俺とユイカより家庭教師のシャルとノエルの方が燃えている気がする。


「そうだ……またロミジュリコンビが相手だ。ことごとく、立ちはだかってくる」


 こっちもお前とトウコがことごとく、立ちはだかってるよ。


「ねえ、ロミジュリって何?」


 イルメラがフランクに聞く。


「知らん。ツカサ、ロミジュリって何だ?」

「知らね」


 俺に聞くな。


今週は土曜日も投稿します。

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― 新着の感想 ―
戦い方を考えさせる意味では、同じ組み合わせ不可なんじゃないですかね。
次の話をしているのを見ると パーティー人数が変わって意図が覆されるフラグかと思えます 夏が2倍なら冬は3倍になってそう
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