表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/207

第109話 たまには真面目でもいいじゃない。メイドだもの。


 シャルと別れ、家に帰って漫画を読んでいると、ゆっくりと扉が開かれる。


「ふっふっふ……」


 ノックもないし、トウコだろうなと思っていると、アホが不敵な笑みを浮かべていた。


「何だよ?」

「どうやら悪の生徒会の長は想像通り、男に泣きついたようだね」


 何言ってんだ、こいつ?


「生徒会なんてないぞ。シャルが一人で雑用をしているだけだ」


 あと、何のキャラか知らんが、どう見てもお前が悪側だ。


「マジレスはいらない……我が双子の兄もやはり女を取ったな」


 話が通じねー……


「お前、高校生にもなってそういうのやめろよ。こっちが恥ずかしいわ」

「『奴は長瀬さんちの最弱よ』って言うまで待ってよー」


 四天王かな?


「何がしたいんだよ」

「お兄ちゃん、会長と組んだんだね」


 トウコが普通に戻り、床に座った。


「そうだな。ジェニー先生に二度見されたけど」

「仲が悪いことで有名なイヴェールとラ・フォルジュだもん。そりゃそうでしょ」

「仲が悪いのは家だけだろ。なんで俺がそれに付き合わないといけない? ラ・フォルジュ派の中にも嫌な奴はいるだろうし、イヴェール派に良い奴もいる。お前が無理やり町の外に付き合わせているノエルはイヴェール派だぞ」


 可哀想に。


「まあ、そうだけどね。実の妹より敵の女を取る兄もいるし」


 まーだ根に持ってやがる。


「それで何だよ? 用件はそれだけか?」

「対戦表は見た?」

「見たよ。お前、シャルを殴ったら殺すからな」


 ユイカはコブラツイスト。


「いや、演習じゃん」

「リベンジって燃えてただろ。シャルがガチへこみしてたぞ。可哀想に……」


 すげー及び腰だったし。


「本当に泣きついたんだね……」

「他に友達いないんだってさ」

「それについては何も言えないけど、友達がいても会長の性格上、弱みは見せないだろうね」


 多分な。

 学園ではいつも仏頂面だし。


「お前、マジでやんの?」

「当たり前じゃん。リベンジ云々は置いておくとしてもやるからには勝たないと。あと、ユイカがやる気満々」


 あいつめ……


「お前、他の2組は知ってるか?」

「知らない。誰あれ? 日本人っぽい名前もあったけど」

「調べんのか?」

「そんなものは不要! 力でなぎ倒す!」


 こいつが勉強できるのは多分、神様が調整をミスったからだな。

 どう見てもバカの言動だ。


「あっそ。これだけは言っておく。絶対に飛ぶなよ」

「それは空気を読むよ。タイミングわりーって思ったもん。騙してないのに規定変更のせいで会長を騙したっぽくなってるし」


 さすがにどうかと思うわ。


「あと、負けても俺を恨むなよ。己の弱さを嘆け」

「ほう? 魔力しか能のない劣等の分際でこのスーパーエリートウコ様に勝てると?」


 なんでいつも悪役側なんだよ。

 あと、スーパーエリートウコ様は上手いようで上手くないぞ。


「魔力しか能がないのはお前の相方もだろ」

「……そうだった。テイク2! ほう? 裏口入学のバカ…………ユイカもじゃん」


 そうだな。


「ふん。スーパーエリートウコ様がバカップルを成敗…………」

「お前、もうしゃべんな」


 嫌なことを思い出したわ。


「ふ、ふん。こうなったら特訓だー」


 トウコは立ち上がると、部屋から出ていった。


「あいつ、マジでアホだな」


 とりあえず、明日の勉強会もウチじゃない方が良さそうだわ。


 俺はシャルに電話し、明日の勉強会をファミレスに変更することを伝えると、読書を再開した。


 翌日は魔法大会のことを一旦、忘れ、シャルといつもの勉強会をする。

 というのも、魔法大会のせいで来週と再来週は勉強会が開けないことに気が付いたからだ。

 テストもそう遠くないのでシャルに教えてもらいながらいつものおさらいに加え、予習もしていった。


 そして、日曜日。

 俺は朝から家を出ると、シャルの家に向かう。


 シャルの家に着くと、呼び鈴を鳴らした。

 すると、メイド服のクロエが扉を開け、門扉までやってくる。


「おはようございます。本日はよくおいでくださいました」

「なんで真面目に仕事してるの?」


 いつものおふざけが見えない。


「そんな純粋そのものの目で見ます? 普通でしょう」


 あなたが普通ではないからでは?


「シャルは?」

「リビングで待ってますよ。どうぞ、どうぞ」


 クロエが門扉を開き、招き入れてくれる。

 そして、家に入り、リビングに案内されると、シャルが座って待っていた。


「おはー」

「おはよう。わざわざ来てもらって悪いわね」

「まあ、ウチにはトウコがいるからな。対策会議にも普通に参加してくるぞ、あいつ」


 バカだもん。


「トウコさんは軽いからね。まあ、座りなさい。クロエ、コーヒー」

「かしこまりました」


 クロエがキッチンに向かったのでシャルの対面に座る。

 すると、シャルが数枚の何かの紙を取り出した。


「何これ?」

「対戦相手の情報をまとめてみたの」


 マメだなー。

 さすがは何冊も本を書く人だわ。


「ようやくやる気になったか?」

「ええ。やるからには勝つしかない。相手が誰であろうと、怯まずに立ち向かうのがイヴェールなのよ」


 昨日までのシャルを見てなかったらかっこいいと思うんだけどねー……


「切り替えができたみたいで良かったわ」

「決まってしまったことだからね。正直、昨日の夜は生徒会長なんて雑用係をするんじゃなかったと後悔したわ」


 まあ、魔法大会に出たくなかったから生徒会長になったのに結局出るハメになったからなー。

 やり損だ。


「別にいいじゃないですか。生徒会長になったからツカサ様と出会え、こうして一緒に戦うことになったわけです。それはとても素敵なことだと思いませんか?」


 コーヒーを持ってきてくれたクロエがテーブルにコーヒーを置きながら言う。


「クロエ、今日はどうしたんだ? なんか変だぞ」

「そうね。普通に良いことを言ってる。風邪でも引いた?」


 いつもはしょうもないことを言うのに。


「……息ぴったりですね。熟年夫婦みたいです」


 あ、いつものクロエだ。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
[良い点] 双子芸に加えて熟年夫婦芸も習得したか
[一言] トウコさんの扱いはこれで良いのかと 巫山戯た言動には、割り切れてない兄への情が残ってるから お姉ちゃんへの助力を請えば、生牡蠣よりチカラが抜けたかも でもそういうテーマの小説ではありませんで…
[良い点] これラフォルジュさんに勝ってお礼にイヴェール本家にご招待の流れでは
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ