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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“螺”11

翔達が司令部に到着した時にはもぬけの殻となっていた。

「誰も居ないじゃない!テントもボロボロだし…!」

黒鴉が顔面蒼白になって黒姫の名前を呼ぶが返事がなくへたり込む。

「絶望するのは早いぞ、血飛沫も死体も怪物だけ、襲撃されて移動した可能性がある」

「…!そうよね!追いかけるわよ」

黒鴉は元気を取り戻して二人は市街地側に移動開始する。


翔達が到着する少し前、無線が不調になりドローンも使えなくなり混乱する本部、戦闘音が近くなり非戦闘員達に不安が広がっていく中で黒姫が立ち上がりナイフを取り出す。

ツムギが勝手に動こうとする黒姫を止める。

「ちょ、ちょっと!大人しくしてた方がいいって」

「皆が心配です、私も…!」

「そういうのは軍人さん達に任せなって!」

しかしテントを突き破り現れる獣の変異体にツムギは舌打ちしながら拳銃を取り出して無言で発砲する。

眉間を撃ち抜き動きが鈍るが尚も動こうとする怪物に何発も続けて生物としての急所を撃ち抜いて文句を呟く。

「戦場なんて真っ平ごめん被るね、早く帰って遊びたいよ」

周囲は眠たそうな青年の豹変ぶりにドン引きしつつも戦闘態勢を整えるように指示を出して忙しそうに武装を始める。

「霧を晴らしたら化けもんが続々やってくるなんてさ、テリトリーか何かだったんじゃない?…あ、僕にも銃貸して、ハンドガンじゃ足りないよ」

「いや、規則が…」

司令官は困惑するがツムギは適当な人物から借りて観察を始める。

「予備の弾も、うん、じゃあやっつけてくる」

「えぇ?!ツムギさん!?」

黒姫がやる気になったツムギに驚いていると襲いかかる怪物をサイトも除かずにパパッと倒して肩を押さえる。

「痛ぁー、肩外れそう…」

滅茶苦茶な撃ち方に当たり前だと言いたげな全員、しかし襲撃が続きふざけていられなくなる。

あわただしく全員出撃して黒姫も後に続き市街地へ向かう。


森を進むアキトは倒れた覚醒者二人を見つけ足を止める。

「おい!大丈夫か!?他の奴は?…む」

背中に無数の太めの羽が刺さり既に絶命していた。

(あのデカい鳥か?襲撃されて市街地側に逃げてきたのか…南無三)

羽を数本回収している間に死肉を漁りに来た獣達がアキトを襲撃してくる。

「仏さん荒らされたら寝覚めが悪いな…でなくてもお前達は掃除はしなくちゃな」

素早く刀を抜き氷雨を呼び出して軽く蹴散らしていく。

状況の不利を悟って逃げ出そうとする犬型の怪物も氷柱で貫き倒して上空にいると思しき鳥の怪物を睨み死体を荒らされないように氷付けにする。

(荒らされるよりはマシだろ…悪いな)

アキトは軽く手を合わせて移動を再開する。

森を抜けるとひっくり返り炎上し黒焦げの車や倒されたゾンビや覚醒者達と同じように鳥に撃ち殺された人達が目に写る。

(思った以上に酷いな…)

アキトは手早くサンプルを回収しながら無事の自衛隊を探す。

「誰かいないかー?」

ポツポツと残ったゾンビを倒していると物陰から生き残りがアキトの前に小石を投げて合図する。

アキトは無線が復活してないのを確認してからゆっくり近付いて生き残りと合流する。

「大きな音を立てないでくれ、あのデカブツに気付かれる」

奥の負傷者を見てアキトは謝り状況の悪さを確認する。

「悪かった…他の生き残りは?」

「分からん、連絡が取れん、しかしあのデカい鳥はなんなのだ?」

「多分だが猛禽類が変異したんじゃないか?、他に熊や犬もいたぞ」

その時、激しい銃撃音がしてアキトが合流を提案するが全員が目を背ける。

「まだ味方がいる合流しよう」

「我々は弾薬もキツく負傷者も多数、すまないが動けない…」

アキトは舌打ちをして敵がいないのを確認して外に出る。

「行ってくる、まだ諦めるなよ」

奮闘しながら飛び出していくアキトに触発され負傷者達が立ち上がり合流する機運が高まり全員が移動を開始する。

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