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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“螺”8

作戦の為に奥多摩のとあるエリア、既に封鎖が進み自衛隊が忙しなく動いている中で改良型装甲車で到着した翔達は黒鴉の指示を受けていた。

「住人は少ないから敵の数も少数と思うわ、霧を晴らしたら自衛隊員達とは別ルートで中央を目指すわ」

アキトがメンバーを確認して質問をする。

「俺や翔はわかるが…」

ツムギや他の適当に見繕った覚醒者達を見て不安そうな目をする。

「博士や一般人じゃないか…」

揃ってアキトに対して抗議するが黒鴉が制止する。

「ツムギは妹と一緒に後方支援、自衛隊達と合わせてドローン撮影で情報収集よ、他のメンバーだってアキトに比べたら劣るかもしれないけど実績あるわ!」

アキトは黒鴉の言葉を聞いて頷いて黒コートの内側から幾つかの人形を取り出すと覚醒者達に配り始める。

「な、なんだこりゃ!?名刺代わりか?」

受け取った全員が出来の悪い人形に渡してきたアキトを嘲笑する。

「身代わり人形だ、化物になりたくなかったら煙に向かって投げろ」

「アキト、まだ変異方法が煙と決まった訳じゃないわよ?」

「違うなら諦めろ」

黒鴉の指摘にアキトは冷たく言い放って黒鴉と翔にも人形を手渡す。

「人形ね…木の枝とかじゃダメなの?」

「変異させるにはそれなりの器が必要だ、まぁ俺の経験則だがな」

アキトは手をヒラヒラさせて霧の方に向かって行く。

「ちょっと!何勝手に動いてるのよ!?」

「調べ物、時間までに戻るさ」

自分勝手に動くアキトに黒鴉は怒り心頭だがチームワークをこれ以上乱さない為に今一度行軍ルートを伝える。

「三人一組、市街地を自衛隊が押さえるから森林から私達は進軍するわ」

「道無き道かよ!?」

トンでもルートに翔がツッコミをするが黒鴉はスルーして話を続ける。

「中心点が目標、ドローンは先に状況確認して逐次報告ね」

黒姫とツムギは頷いて自衛隊のテントに向かう。

問題はアキトに小馬鹿にされた覚醒者達だった。

「あんな奴と組めるかよ!」

「チーム分け自由にやらせろ」

黒鴉の笑顔だが青筋の立った表情に翔は冷や汗を流す。

深呼吸して震える声で黒鴉は提案を行う。

「班分けは任せるわ…でもルートは私が指示するから」

地図を取り出して同意を求め渋々納得させる。

結局班分けは固定面子を望む覚醒者達に合わせて翔と黒鴉とアキトが組まされる。

「結局アンタ達と組むのね…」

「実力示せばいいだろ?」

翔の言葉に黒鴉は力強く頷いて冷たい笑みを浮かべる。

「頭領として実力を見せつけないとね」

「と、頭領ねぇ…はは」


霧を前にアキトは色々と試していた。

氷雨を使い氷結させて氷を採取したり何かの紙を取り出して霧に触れさせたり行っていた。

「あとは敵の皮膚片と…」

神楽からの指示メモを確認して面倒臭い指示に頭を抱える。

「原因の方のは流石に俺では無理そうだな…」

ぶつぶつと独り言を呟いきながら近場の自衛官に話しかける。

「変異者の死体とかもう焼いちゃってます?」

「私にはちょっと…上官は向こうのテントにいますのでそちらで聞いてください」

「あー、分かりました。ありがとう」

面倒臭いなと頭の後ろを掻きながら指示されたテントに向かう。

モニタリングの説明を受けていた黒姫とツムギと合流してアキトも画面を覗き込む。

「あ、アキトさん?どうしたんですか」

「神楽に頼まれてたお使いだ」

メモをヒラヒラさせるとツムギが気だるそうに聞く。

「霧の調査ぁ?博士ごっこかい?」

「そんなとこだ、あとは変異者の皮膚片と中心点から色々とサンプルが欲しいってさ」

「うげぇ、死体のサンプルとか本気じゃん…」

アキトは真面目な顔をして答える。

「治療方法など確立させるなら必要だろう?」

「治療なんてできるんですか!?」

黒姫も驚くがアキトは苦笑いする。

「例えだよ、どうなるかは分からない…さてと仕事するか」

アキトは二人と別れて上官と話す。

「残念だが死体を残すリスクは負えない…既に焼却済みだ」

「そうですか…戦いながら回収するしかないな…」

だが既に焼き付くしたと聞いて肩を落とすのだった。

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