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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“華”4

翔と暴走する黒鴉が戦闘をしている中で地下奥深く、極秘の研究室で機械を必死に操作しながら神威は独り言のように小言を話す。

「全く!竜も神華も!我に面倒事ばかり押し付けおって!まーだ出力が足りん!」

画面を見て八割程のメーターを示す。

後ろの乗り込み式の大型機械を見て歯軋りしながら更に独り言を呟く。

「先見の明かただの空想か、神華…君の考えは正しかったし竜もよく許可したよ…信頼か…」

神威は神華が姿を消した日を思い返す。


研究室の一室で神華は竜司と神威に自身の能力について相談する。

「なーにぃ?能力を強化!?ムリムリ!我だって自身の力を強化したくたって出来んのだ」

神華が丁寧に頭を下げるが神威は大袈裟に反応して首を横に振る。

竜司も困った様子で訳を尋ねる。

「一体何故急にそんなことを?」

覚悟を秘めた強い眼差しで神華は説得するように語る。

「アタシの力は知ってるわね?…それが悪用されればどれだけ危険かも」

竜司も神威も顔を見合わせて危険性は納得するが敵側の悪用の実現方法を疑問視する。

「敵の考えはどうでもいいの…守る手段を用意する必要があるのよ」

「しかし力の強化はむ…」

神威の言葉を遮り竜司は一つ確認をする。

「強化の方向性によっては可能なのでは?」

「方向性か…彼女の力の性質を理解出来ればモノによっては、いや保証はできんぞ!?」

二人の考えに神華が答える。

「どこで何が起きても対処出来るように範囲を広げたい」

「しかし君が悪用する可能性は…」

神威の疑いの言葉に神華が鋭い目付きになり竜司に真剣な眼だけで訴える。竜司はその様子に理解を示し了承し神威に開発を任せる。

「わかった、神威君に一任させる、悪用の心配があると言うなら緊急停止ボタンでも付ければいいだろう?」

「はぁ!?また無理難題を…」

竜司の一任の言葉に神華は付け加えて言う。

「皆には秘密で、お願い」

「むぅ…何ゆえ?」

神威が面倒臭いなと感じつつ理由を尋ね神華は真顔で答える。

「周りは信用が出来ない、そしてもしもの時の奥の手として用意したい」

竜司は疑いの話を聞いて何かを感じたのか神威に極秘の施設を託す。

「信用出来ないか…分かった地下の奥の研究室を使うといい」

「やれやれ…神華、君は姿を消す覚悟はあるんだな?秘密にするなら完成…いや実行までは隠れてもらうぞ?」

神威の言葉に神華は複雑な表情をした後に真剣な面持ちで頷く。


視点は戻り神威が機械の中に籠っている神華に語りかけるように独り言を呟く。

「カスパーが来たと聞いた時、君の心底複雑な表情、我は愛を知らぬが覚悟が上回った所は賞賛する」

機械の様子を確認しているが未だに準備が整わないのを悔しそうに爪を噛みながら見つめる。

『まだか!俺もだが黒鴉がヤバイぞ!』

「うるさい!あと少しだ!武器を取り上げて押さえ付けるなりしろ!」

九割のゲージを確認して通信先の翔を怒鳴り付ける。

「黒鴉、竜の血を継ぐならもう暫く耐えろというのだ!…おのれ、時間稼ぎさえ出来ていれば間に合ったと言うものを!」

予定通りに行かず最悪の展開に対して怒り、何かの裏切りを予期しながら貧乏ゆすりをする。

やっと準備が出来て大きな音と共に機械の電飾の光が明滅する。

「頼むぞ神華、失望させてくれるなよ!」

神威が鬼気迫る表情でスイッチを押す。

機械の中で神華は強く叫び訴える。

「怒りや憎しみや欲に捕らわれないで!武器を捨てて!争いはやめて!」


音もなく光もなく、しかし世界を何かが包み込んでいく…

その日、世界は静寂で充たされ争いが消えた…

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