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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“楽”11

次の休日、黒鴉と周防のロケに翔と黒姫が様子見で着いていく事にする。

黒鴉は数日のコミュニティの対応で大分疲労感が出ていた。

「あーちゃんヤバそう…」

「大丈夫…大丈夫だから」

そんな黒鴉を見兼ねた黒姫がヘアバンドを取り出す。

「黒姫…あんた…」

黒鴉が冷や汗をかきながらじっと見つめる。

「スタジオ撮影じゃなければ!行けます!」

装着の効果音が聞こえてきそうになるくらいキメ顔しながら黒姫は姉に扮する。

「…なんか色々と一波乱ありそうだな」

「私の体調のせいで…」

黒姫の事を心配する二人で見送る。

翔が携帯で時間を確認して黒鴉に。

「今日の予定は?」

「普通の散歩ロケよ」

台本をヒラヒラさせて翔に見せてくる。

「どれどれ…地域密着ロケ第三弾?そんなに人気なのかこれ?」

「キャラ受けでいけるものよ?」

「…てかこれ黒姫知ってるのか?」

黒鴉が「ヤベッ」っと呟いたのを見て翔は急いで黒姫に台本を届ける。

ロケの邪魔にならないように翔はまた戻ってきて黒鴉の不注意を気にする。

「全く…疲労か?全員からの反応はどうだったんだ?」

「ダメね…全員には意図がしっかり伝わらなかったわ…少しは聞き入れて貰えたのが救いかしら」

翔も自分の情報拡散能力の無さを嘆く。

「俺も河内達を通して話してみたが…あまり効果無かったな」

「お父様も苦労してそう…」

二人揃ってため息をついてスタッフが「仲良いですね」と口走って二人が声を合わせて否定する。

「「ないない!」」

苦笑いで返され二人は顔を見合わせてからそっぽを向く。

「こいつ妹の旦那…いや、彼氏だから!」

「スキャンダルになるから余計な事言うなよ…」

「うっさい!」

ギャーギャー喚く黒鴉の様子を黒姫と周防が呆れる。

「あーちゃん結構元気そうで良かった」

「姉さん…?」

嫉妬の炎がメラメラと黒姫から立ち上る。

「く、クロさん落ち着いてー」

「そ、そうですね…すー、はー」

深呼吸して落ち着いた黒姫はにこやかに周防と撮影の準備に入る。

「嫉妬されてたぞ」

「っ!…勘弁して欲しいわ」

遠巻きに察知した翔が黒鴉に話すと肩を落としながらスタッフの中に入っていく。


平和に進んでいき幸せそうに食事を取る周防と黒姫が微笑ましい画になる。

「何度か敵に割り込まれて大変だったけど今日は無事終わりそうね」

黒鴉もホッと安堵しておにぎりを頬張る。

「ケータリング旨いな」

「なんで部外者のアンタも食ってるのよ!?」

翔もおにぎりを食べて中身の具材に感心する。

「普通の焼鮭じゃない?」

「…昆布」

「あら渋いわね…」

中身の当たり外れで黒鴉は翔の昆布に苦笑いする。

撮影を終えた二人がやってきて周防がおにぎりを見て一つ手に取る。

「まだ食べるの?」

「はい!残すのは良くないですから!」

パクパクと小気味良く食べる周防に和む。

黒姫が姉に件の話を宣伝すべきだったか尋ねる。

「武器の話すべきでしたか?」

「いらないわよ、タレント業と覚醒者としては話別だから」

周防がおにぎりを飲み込み話を聞いてくる。

「武器?何の話です?」

黒鴉が何かを思い付いたように敵の武器の鹵獲の危険性を伝える。

「な、なんと…恐ろしい話ですね、私も情報拡散してみますね!」

「ミナってどのくらいSNSとかしてるんだ?」

翔の疑問に周防は携帯を見せる。

フォローされている数の多さに黒鴉が顔をひきつらせる。

「え?…あー、そ、そんなにいるんだー。あはは」

「ご飯の写真とか載せてるだけなんですけど…そんなに凄いんですか?」

「タレント業でやっていればそれだけ影響力が…?っく!」

周防はニコニコと笑顔で友達の役に立てると喜び情報を拡散する。

「政治的なメッセージになって今後の進退に影響無いと良いんだけど…」

翔が不安そうに呟くが周防は「大丈夫です」とユルい感じで受け流す。

そこに出迎えに荻原がやってくる。

「ロケバスで帰らないのか?」

「直帰で研究所で仕事よ?わざわざそっちに乗る必要無いわ」

荻原は女性に囲まれてる翔に青筋立てた笑顔を向ける。

「よぉ、黒鴉ちゃんとミナちゃんだけだと思ったんだけどなぁ!」

「荻原、大人しく帰るわよ?」

黒鴉の命令を威勢良く快諾して翔達を車に乗せるのだった。

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