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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
56/783

コード“楽”7

「ダーメーだー!」

黒鴉の言伝てを話すも竜司は断固拒否する。

「一応理由を聞いても?」

一応と銘打って食い下がる翔。

「一つ、機械兵と同じ方法で解決する話ではない事。二つ、同じ手法が通じるとは思えない事。三つ、そもそも武器は事足りているはずだ」

竜司の説明を受けて翔は頷く。

「娘は事を急いてる節がある。すまないが手綱を握ってやってほしい」

翔は自分を指差してやっぱり?と言いたげな表情を見せる。

「まぁ君くらいしか出来んだろう」


正直不安だと言いたかった所だが仕方なく引き受け黒鴉に状況を伝える。

「お父様がダメと言っても箱さえあれば…」

懸念通り無茶をしようとする黒鴉に軽くチョップをする。

「親父さんはお前の心配してダメって言ってるんだよ」

「ふん、説得受けて掌返し?」

さっきはやるって言ったと黒鴉は子供のように拗ねて横を向き愚痴る。

「どうせ私は理解されないわよ」

ひねくれた言い分に翔はイラッとするが冷静な言葉で返す。

「何か有ってからじゃダメなんだ、まずは機能や危険性を理解するべきだ」

「何か、ねぇ…この思考のモヤモヤの正体かしらね…なんなのかしら」

黒鴉は一生懸命思い出そうと唸る。

「武器を取り出して…精霊が産み出せて…」

整理するように起きた事を呟く黒鴉に翔は思ったことを答える。

「都合がいい?」

「うーん?その答えが分かりそうなのに…んもう!」

態度を普段通りに戻して結局思考が纏まらなかったのか黒鴉は背中越しに手を振りながら去っていく。

(モヤモヤか…様子を見てたアイツにしか分からない何かが?…俺まで悩んでどうすんだ!?)

翔は雑念を振り払うように首を横に振って夜も遅くなりさっさと寝ようと欠伸をしながら自室へ向かう。


翌日、翔の目が覚める前に扉の方が騒がしくなり黒鴉が飛び込んでくる。

「浜松ぅ!分かったわ!」

「ね、姉さん!まだ起床時間じゃ…」

黒姫が後ろから頑張って姉を止めようとしていたがプライバシーもへったくれもなく黒鴉が寝ている翔をゆっさゆさと揺らす。

「ふ、ふが?な、なんだぁ?」

寝ぼけている翔に黒鴉は容赦なくビンタして目を覚まさせる。

「あだだ…」

「翔君ごめんなさい…止められませんでした」

ゆっくりと意識がハッキリしていき眼前の黒鴉に驚き情けない悲鳴を上げる。

「ひゃあ!黒鴉!?」

「やーっと起きたか寝坊助!」

翔はゆっくりと携帯の時計を見て目覚ましの時間までまだあることを見て文句を言う。

「やっと…ってまだ時間あるじゃねぇか!」

「うっさい!ノックされたら起きなさい!」

「無茶言うな!」

口論になりそうになって黒鴉は翔の口に手を当て本題を伝える。

「昨日のモヤモヤ、分かったわよ!」

翔は呆れながら確認する。

「…急ぎか?」

「まあまあ急ぎかもね」

怒りたい翔もアワアワしていた黒姫も真面目な表情になる。

「ちょっとあの後気になって覚醒者達のコミュニティで調べたのよ」

黒鴉は携帯の画面を見せてくる。

そこには敵から取得した武器が便利で得意気に写真を載せているメッセージがちらほら見える。

「敵が武器を使うようになって明確に分かるようになって皆トロフィー代わりに取得しているのよ」

精霊の使役方法は広まってないしと翔は欠伸する。

「まぁでも精霊使えるの…金森さんと葉山さん位だろ?」

「違うわよ!問題はこっち!」

黒鴉はとあるメッセージを見せる。

『マジ俺にピッタリだわ!』『使いやすくて便利♪』『自分の使う武器で助かる』

翔もピンとくる。

「武器の内容か…」

「私は相手がポピュラーな剣が出て来たからすぐに気付かなかったけど…」

黒鴉は剣を呼び出して手に取る。

「そう、しっくり来るの…バハムート並みに…」

黒姫が首を傾げる。

「何が駄目なんですか?偶々では?」

「浜松が聞いたお父様の言葉を加味してようやっと理解したわ…」

黒鴉はせっかく手に入れた剣を放り投げいつもの剣を取り出して破壊する。

「ごめんね、ウィスプ…」

唖然とする二人に続けて答える。

「敵向けじゃなく私達向けの武器を出す、私達に武器を持たせるのが目的なんじゃないかしら」

「…だからっていきなり破壊する事は…」

「疑わしきは罰せよ…そこは徹底させてもらうわ」

名残惜しそうに壊れた剣を見つめる。

「そもそも機械兵の時に見捨てた敵に武器を提供するなんて…それこそ都合がいい話だったわ」

黒鴉は悔し涙を拭いながら翔の部屋を出ていく。

翔も黒姫もその様子を辛そうに見つめ今後の事を考えるのだった。

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