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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“威”12

色々な悩みを抱える中で翔は直近のお化け屋敷回避で頭が一杯になっていた。

黒姫はひきつる笑顔の翔を見て状況を察する。

「えっと…お化け屋敷は無理しなくても…」

「な、何のことだ」

下手くそなはぐらかしに黒姫が同じ事を言うと翔が折れて半泣きになる。

「たすけて」

「入らなければ良いだけじゃないですか」

翔は前方を行く二人をチラッと見る。

「大丈夫ですよ、多分」

楽しんでいる二人を見て巻き込まれる予感を黒姫も感じ取る。

そんなこんなで絶叫マシン巡りをしながら件のお化け屋敷の所にやってくる。

「来たわね!浜松!」

黒鴉が調子を取り戻したのか胸を張って翔を出迎える。

「うわ、出た!」

翔の第一声に黒鴉が鼻を鳴らす。

ツムギとヨロズは面倒事に絡まれる前にさっさと入っていく。

「さぁ!一人で行きなさいよ!…あ、でも驚く顔見たいかも…悩むわ!」

一人で盛り上がる黒鴉の横から周防がペコペコ頭を下げる。

「さぁ浜松!一人で行って無様な叫び声上げるか私と行って無様な顔を激写されるか選びなさい!…黒姫は甘やかすからダメよ?」

黒姫は口を尖らせて「えー」と不満そうな声を出して看板を指差す。

「…姉さんカメラ禁止ですよ」

「じゃあ無様な顔は見せられないわね!さぁ行きなさい浜松ぅ!」

翔は身構えながら全力で拒否する。

「嫌だ!絶対行かねぇ!」

その時建物内からツムギの驚く声が聞こえてくる。

一瞬全員の視線が建物に向きすぐに翔に戻り隙を見て黒鴉が翔の腕を掴み引っ張る。

「行くわよ!一人が怖いなら私も行くわ!愉悦に浸らせなさい!」

「嫌だ!やめろ!あーっ!」

ぐいぐいと中に入っていく二人を黒姫と周防が見送る。

「いいんですか?」

「あの姉さんを止めるのは無理です」

諦めた表情の黒姫にボソッと周防は呟く。

「一緒に行けばいいのに…」

ツムギとヨロズが出て来て少しヘロヘロになっていた。

「いやぁ、アナログのびっくりも楽しいものだねぇ、情けなく声が出てしまったよー」

「ツムギ博士の声でびっくりしたぞ…暗い場面と音響そして怖い人形…これが化学反応か…」

「違うと思うよ?」

盛り上がっている二人に黒姫が声をかける。

「お疲れ様です」

「Kは?」

ツムギがキョロキョロして聞くと同時に翔と黒鴉の悲鳴が聞こえてくる。

全員が「あちゃー」という様子で二人の帰りを待つ。

黒鴉がフラフラの翔に肩を貸しながら出てくる。

「もう!しっかりしなさいよ!」

外に出て日の光を浴びて翔はやりきったとへらへら笑ってガックリと脱力する。

「翔君!」

黒姫も肩を貸して何とか引きずってベンチに座らせる。

「Kってこういうの苦手なのかい?」

ツムギが良いものを見れたとニコニコする。

「はい、翔君はオバケ苦手なんですよ…」

周防は翔を心配するが博士二人は面白いことを聞いたようにニヤニヤする。

「そういえばそっちのお姉さんも声を上げてたような…」

「ああ!?」

黒鴉が凄みツムギが慌てて口を閉じる。

「別に私はビビってなんか無いわよ…まぁ傑作な顔を見れたから満足よ」

強がっているが翔と同じくらいそういうのが苦手なんだなと知られる。

「少し気が晴れたし私は別のものに行くわ、おほほ」

誤魔化すように笑いながら黒鴉は周防を連れて行ってしまう。

ツムギ達も翔の回復を待ってられないと二人で回りに行ってしまい黒姫と二人ベンチに座り翔は恨み言を呟く。

「嫌な予感はしてたんだ…くそう、黒鴉が待ってるとは…」

「皆行っちゃいましたし…ゆっくりしましょう」

「お化け屋敷の隣でかぁ?」

翔はスッと立ち上がり頬を叩いて背筋を伸ばす。

「誰か来る前にさっさと行こう!」

「はい、ではどこ行きましょう?」

「…任せる」

地図やら何やらが記憶から消し飛んだ翔はため息をついて黒姫に任せることにするのだった。

その他メンバーの遊園地での様子は短編集へ…

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