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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“威”8

襲撃の情報も減っていき平和が続き金曜日、姉妹の喧嘩は何とか治まり研究所暮らし意外は普段通りになっていた。しかしこの中で黒鴉だけは別の理由で不機嫌でイライラしていた。翔とは目を合わせないように動き見かけてもすぐにどこかへ行ってしまう。その事を朝食時に翔は黒姫に愚痴る。

「俺、なんか悪いことしたかな…」

「多分神華さん関連じゃないでしょうか?」

「えぇ…なんでそれで当たるのが俺なんだ…」

関係薄そうな所からの理不尽な八つ当たりの目標にされたと知り翔は肩を落とす。

「土日で何とか話して和解?をしましょうか」

(踏み込まない方がいい気もするんだが…)

黒姫の配慮に不安定な黒鴉を相手にして大丈夫かと思案する。


翔が仕事に向かった後にヨロズとツムギが黒姫の所に欠伸をしながら現れる。既に前日に顔を合わせていた黒姫とヨロズ、二人が黒姫の相席に着く。ヨロズが新聞を開きながら呟く。

「上層部がボランティアを送るの辞めたみたいねぇ」

「そうなのですか?」

黒姫の質問にツムギが間延びした口調で答える。

「襲撃は減っているし、動きが少ないんだよねー」

博士二人は適当に注文を取ってまた欠伸をする。

「終わりだと思いますか?」

黒姫の疑問にヨロズが新聞を畳み首を横に振る。

「あり得ないね、ワタシ達をクローンで復活して中途半端に色々使って…今更手を引くと思うか?」

「だねぇ…静かなのが怖いくらいだよ」

ツムギもウンウンと頷き黒姫が疑問を投げ掛ける。

「今来てる機械は…?」

「布石、いや捨て石…かなぁ?」

そのツムギの言葉に能力封じの秘密兵器の扱いに黒姫は戸惑う。

「機神を捨て石に?!」

「そうだね、目的は実効支配、破壊目的じゃないから…だな」

ヨロズが上位世界の目的を話していると朝食を取りに神威がやれやれと言いたげにやってくる。

「諸君おはよう、下らない話だな、神だけ排斥して世界を手にするなんて」

ツムギが神威の言葉に当時を振り返って意見する。

「神が不安定だからじゃぁないか?」

その言葉を神威が鼻で笑う。

「不安定?君の目は節穴か?少なくとも今は竜の下…いや彼のお陰で非常に安定している」

「Kか…確かに神斎がすこーしだけ丸くなってたけどさぁ」

納得したのかどうか微妙な濁し方をツムギがする。

ヨロズが笑いながら神威に流し目をする。

「どのみち頭の固い連中だ、お手て繋いで仲良くなんて頭にはないだろう、そう思わないか?」

「植民地が念頭にあるなら和解などないだろう…我も下に見られているなら相応の対応をしてやるさ」

物騒な話しに黒姫が苦笑いしてその場を去りたいと願ってしまう。

黒姫は話を終わらせる為に質問をする。

「次の一手は誰で来ると思いますか?」

ヨロズもツムギも口を揃えて答える。

「神華だね」

神威がその言葉を聞いて渋い顔をする。

「うむむ、厄介だな…」

「えっと…何が厄介なのですか?」

黒姫が分かっていない様子に皆呆れヨロズが答える。

「精神操作、向こうで資料読んでるでしょ?」

(半年以上前だしちょっとしか見てないや…本人からも聞いてないし…)

黒姫は誤魔化すように笑い「ちょっとだけ…」と答える。

「他人の研究にも興味示さなきゃダメだな」

ヨロズはまだ若輩者(じゃくはいもの)な黒姫に優しく諭して説明をする。

「彼女の力、ある程度なら国家規模で扇動、撹乱を起こすこともできる、個人ならある程度の洗脳も可能よ」

「そんなに…」

知人の知られざる本気に黒姫が驚愕する。

ツムギが追加で説明する。

「実演はしてないから分からないけどねぇ…動物実験では群れ程度なら易々と操ってたよ」

今後の戦いの陰湿さを考えて黒姫は気分が悪くなるのだった。

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