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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“斎”10

「いやー至れり尽くせりー」

結局ツムギの現代の服と家系の大盛全部乗せラーメンで金が飛んでしまい翔の懐が寒くなる。

「トホホ、こりゃ仕事どころじゃねーな」

「K、その仕事とはなんだい?」

本当の事を言うべきか悩む翔を見てツムギは更に首を突っ込もうとしてくる。

「この世界って誰の世界なんだい?君詳しいみたいだけどプロトタイプじゃないよね?」

「…アーキタイプだ」

「成る程!ヒトもいるし言語も通じるし…文明レベルはまだまだだけど成る程、成る程ぉ」

そんなツムギも食事だけは満足したようでお腹を撫でる。

「食文化は凄いね、あんな満足感久々だ!」

翔は意を決して現状と神々の叛乱のあった日にツムギ達は死んだ事について話す事にする。

「ツムギ博士、実は話しておかないといけない事があるんだ」

真剣な表情をする翔にツムギはあっけらかんと聞き返す。

「んー?改まってどうしたんだい?」

「神々の現状と今何が起きているか、そして…」

ちゃんと説明しようとするとツムギはムッとする。

「K、神の居場所を知っているのか?騙してたなんて酷いなぁ」

口振りから敵か味方か半々といったところ。

「真実を聞いて博士がどちらにつくか次第だ…返答次第じゃ…」

「その言い方、まぁ元から君は神の味方みたいだったし…裏切り者だよ?」

楽観的過ぎるのかツムギが翔を指差して笑う。しかし睨まれてツムギは諦めたように溜め息をつく。

「ふぅ、真面目な話みたいだし茶化すのはもう止めとくよ」

「博士達は皆死んだ、そして何らかの手段で蘇って神の捕縛を命じられてるようだ」

「…あー、成る程ね…記憶が曖昧だったり急に知らない博士共に命令されたのもそれかぁ」

思い当たることがあるのか蘇った事に対してあんまり驚いていないようだった。

「神が自身の世界に引きこもって手出し出来なくて昔の知人使おうってことね?」

ツムギは箱を取り出してくるくる回す。

「こんな神の真似事しちゃって…僕が神斎に会っても言うこと今更聞かないってぇ…参ったなぁ」

黙る翔にツムギはまた笑顔に戻り茶化すように語る。

「もしかしてKは僕に何か期待してる?なーんも知らないよ、こんな技術は僕も…多分他の博士も」

ニヤケ顔をするツムギは箱を翔に投げ渡す。

「クローンか…仕事を終えたらどうなるか、ボランティア達は巨万の富かもだけどきっと僕らはー」

悲劇の主役を振る舞うツムギを無視して気になる単語を尋ねる。

「ボランティア?」

「ほら僕らみたいにこっち来てる連中、んまぁ神を誘き出す為の餌だと思う…まぁ生きて帰れたら…あ、彼らも結局消されるかな?!はは傑作」

ツムギは自身をクローンだと自覚してつまらなそうに周囲を見渡す。

「僕はどっちが勝とうがもう興味無いかなぁ」

「なら、皆に会わせてもいいか…心変わりするなよ?」

警告しながら翔が携帯を手に取り研究所にいる竜司に通話する。

『む、翔君?どうかしたのか?』

竜司の声が聞こえたのかツムギが驚く。

「えぇ!もしかしてアーキタイプ!?」

『…誰だ』

気に障る呼び方に通話先の竜司の声色が変わり殺意すら感じるものになる。

「ツムギ博士、竜司さんが覚えているかは知らないが」

『何?!…馬鹿な!?』

「説明は後で、迎えの車をお願いします」

翔の言葉に信用出来るのかと怪訝そうな対応をされるが竜司は仕方なさそうに了承する。

「うへぇ、いきなり大物…Kってどんな立場?使い捨て職員じゃなかったの?」

翔が質問に答えようとするが周囲に飛竜や蛇等の魔物達が出現して遮られる。

「博士、あんたに死なれると台無しになる、離れないでください!」

「お、頼もしいねぇ」

翔は刀を呼び出してどうするか考える。

(車が到着するまでに片付けるか…引いて合流地点変えるか…)

白昼堂々の襲撃に近場に居た覚醒者達も駆け付けてくる。

「迎えが来るまでに撃破する!焰鬼!雷怨!」

精霊を呼び出して刀を構える。空中を飛ぶ飛竜を雷怨の雷撃で落とし翔と焰鬼は地上の蛇を対処する。ツムギは手を叩いて応援して翔はもうちょっと緊張感持ってくれと嘆く。

すぐに騒ぎに気付いて応援に来た覚醒者達も上手く立ち回り魔物を各個撃破している。

「流石だねー。さて、僕はどうするべきか…K、僕は…」

ツムギは銃を取り出して撃鉄を起こし照準をゆっくり翔に向ける。

そして引き金に指を掛けて叫ぶ。

「伏せろ!」

翔は咄嗟に頭を下げツムギが放った弾丸は翔を狙って横から飛び出した蛇に命中して頭部が吹き飛ぶ。

翔は急に発砲したツムギにひきつった顔を向ける。

「いやー危なかったねぇK!」

「危ねえのはどっちだよ!やっぱり縛るか!?」

謝りながらも銃には自身あるんだよねとツムギは笑う。

他の人達の加勢もあってその場は人的被害もなく収めることに成功する。

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