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The End of The World   作者: コロタン
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エピローグ

  俺達が実家に帰り着いてからは、今まで以上に忙しい日々が続いた。

  地元の友人や知人、親戚などが連日俺の帰りを祝いに来てくれたのだ。

  友人からさらに見た目が怖くなったと馬鹿にされ、さらには若く可愛い嫁を貰う俺を僻んだ・・・。


  


  1ヶ月後、俺と美希、そして隆二と由紀子は小さいながらも、式を挙げた。

  俺達を祝おうと、多くの人が来てくれた。

  自衛隊からは玄蕃陸将、田尻一佐、酒井二佐、櫻木二尉、玉置二尉が来てくれた。

  美希と由紀子は終始笑顔で、とても嬉しそうにしていた。

  ちなみにブーケトスは、美希の投げたのを玉置さんが、由紀子が投げたのを渚が取った・・・。

  2人ともバスケ選手かと思える見事なリバウンドだった。

  渚は、俺達の結婚式の数日後、元気から告白され、付き合い始めたそうだ。

  なかなかお似合いだと思った。




  結婚式から2ヶ月後、我が家に嬉しいニュースが舞い込んだ。

  美希が妊娠したのだ。

  美希が体調を崩し、慌てて病院に連れて行くと・・・。


  「おめでとうございます!3ヶ月ですよ!」


  そう医者に言われたが、頭がパニックになってすぐに理解出来なかった。

  美希の妊娠が判ってから、美希と千枝の間に変化があった・・・。

  千枝が美希の事をお母さんと呼ぶようになったのだ。

  理由を聞いてみると・・・。


  「お姉ちゃんはお父さんのお嫁さんで、赤ちゃんが出来たんだよね?お姉ちゃんがお母さんになるなら、私もお母さんって言わないと、赤ちゃんが困るから!それに、お姉ちゃんは今までも、お母さんみたいに優しかったから!!」


  だそうだ・・・。

  美希はその言葉を聞いて、涙を流した。

  母として認められたのが嬉しかったらしい。




  俺達が九州に帰り着いてから1年が経った・・・。

  それからも、由紀子と美希の出産や俺のリハビリ、再就職など色々と慌ただしい毎日を送った。

  俺は今、実家の仏壇に線香をあげている。


  「夏帆、悠介、慶次・・・九州に帰り着いてから、あっと言う間に1年が経ったよ・・・。君達が居ないのが残念だけど、俺達はしっかりと生きていくよ・・・」


  仏壇には、祖父母の遺影だけでなく、夏帆達の写真も飾ってある。

  悠介以外はまだ遺骨は無い。

  自衛隊の反攻作戦も開始されているが、夏帆達はまだまだ先になりそうだ。

  俺は仏壇に線香をあげ、リビングに戻った。


  「お父さん、何してたの?」


  リビングに入ると、千枝が聞いてきた。

  千枝は今大きなベビーベッドの前に陣取っている。

  ベビーベッドでは、俺と美希の子供がスヤスヤと眠っている。

  元気な双子の男の子と女の子だ。

  名前は、悠枝(ゆうし)夏菜枝(かなえ)だ。

  男の子は悠介と千枝、女の子は夏帆と千枝から1文字づつ貰った。

  千枝から貰った理由は、この子達と千枝は、血が繋がっていなくても家族であると覚えていて欲しいからだ。


  「お仏壇に線香をあげて来てたんだよ」


  「えーっ・・・。言ってくれたら私も行ったのに・・・!」


  千枝がむくれてしまった。


  「ごめんな、後で一緒に行ってやるから、許してくれよ・・・」


  「仕方ないなぁ・・・」


  最近の千枝は、少しだが我が儘や文句を言って来てくれる。

  親として認められている感じがして嬉しい限りだ。

  千枝はあれから小学校に通い始めた。

  千枝は可愛いので、学校でもモテるようだ・・・。


  (千枝は渡さんよ・・・。千枝が欲しければ、俺を倒して貰おう!!)


  俺はそう考えつつ千枝の頭を撫でた。

  千枝は嬉しそうにしている。


  「あら、どうしたの千枝?」


  母と一緒にキッチンで料理をしていた美希が顔を覗かせ、千枝に聞いた。


  「後でお父さんとお仏壇に線香をあげに行こうって話してたの!お母さんも行くよね?」


  「じゃあ、料理が済んだら一緒に行こうかな」


  美希は少しだけ考えてから言った。

  美希は普段は俺の両親の農業を手伝っている。

  渚と由紀子も一緒に手伝ってくれている。

  隆二と元気は、俺と同じ仕事をしている。

  その仕事は、街の警備組織だ。

  半年ほど前に出来たばかりだが、自衛隊や警察と連携を取りながらサポートをしつつ、街の警邏をしたり、教育機関の警備などが主な仕事だ。

  自衛隊と警察は、空港や港など、奴等の侵入経路の警備に徹底出来るように、という事で玄蕃達から頼まれたのだ。

  一応公務員扱いらしく、福利厚生もしっかりしている。

  俺は、なぜか九州支部の局長に任命された・・・。

  玄蕃、田尻、酒井の推薦らしい。

  危険が無いわけではないが、それでも前よりかなりマシだ。


  「よし、準備出来た!」


  俺が考え事をしていると、美希が料理を終えてリビングに戻ってきた。

  今日はこれから渚達が家に来て、九州に帰り着いて1年を祝うパーティーをする予定だ。


  「じゃあ、線香をあげに行こうか!」


  俺は美希と千枝を連れて仏間に向かった。



  ピンポーン!



  俺達が廊下に出た所でインターホンが鳴った。

  俺が玄関を開けると、渚達だった。

  彼等は、それぞれ料理の差し入れなどを持っていた。

  渚は、俺や美希達、それと母から料理を教わり、真剣に努力を続けた結果、かなり上達した。

  俺は渚達も一緒にと料理を小皿に取り分けて、仏壇に線香をあげた。


  「慶次が悔しがってる姿が想像出来るな!」


  「兄貴と悠介は、渚さんがちゃんと料理出来るようになったって知ったら驚きそうですよね!」


  俺と隆二の言葉に、皆が笑っていた。




  俺達はリビングに戻り、俺の両親と共に席に着いた。


  「誠治、何か言えよ!おまえが居たから俺達は帰って来れたんだ。だから、何か一言挨拶しれよ」


  元気がいきなり振ってきたので、俺は焦った・・・。


  「じゃあ・・・。俺達が帰って来てから、1年が経った。あの騒動があってから、俺達は大切な人達を失い、それでも諦めずになんとかやってこれた・・・。色んな人達の助けもあったけど、何より、ここに居る皆んなが一緒に居たからだと思う。奴等についてや、街の復興支援など、まだまだ問題は山積みだが、それでも諦めずに乗り越えよう!俺達に出来る事は少ないかもしれないが、自衛隊や警察も頑張ってくれているし、地域の人達も我慢し、努力している。皆んなと協力して1日でも早く平和を取り戻し、死んでしまった人達が安心して見ていられる日を目指そう・・・!」


  俺は挨拶を終え、皆がグラスを持った。


  「じゃあ、帰還1年を祝して・・・乾杯!」


  「乾杯!!」


  皆はグラスに注がれていた酒やジュースを飲み干した。


  (俺は、彼等と共に生きよう。新しい家族も増えた。仲間も出来た・・・。まだまだ問題は山積みだけど、彼等と一緒なら乗り越えられる。夏帆や悠介、慶次・・・それと、俺が殺した彼等のためにも、頑張ろう・・・)


  俺は楽しそうに料理を食べる仲間を見ながら、心に誓った・・・。


  

  この話で終わりになります。

  ゾンビ物の映画はハッピーエンドが少ない作品が多いので、少しでも幸せなエンディングにしたいと思いこのような最後にしました。

  作品に掛かった期間としては1ヵ月ちょっとでしたが、読んでくださった方々のおかげで、何とかラストまで書く事が出来ました。

  ジャンル別日計ランキング等に載ることが出来ましたのも、皆様方のおかげだと思います。

  また何かしら別ジャンル等書く事があると思いますが、その時はまたお付き合いいただけたら幸いです。

  ありがとうございました!

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