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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第49話 1536年 6歳 武芸大会始めるぞ ⑦ 物真似男

前の試合で、

俺は「殺人教団の教祖」を迎え入れた。


次に現れたのは、

剣でも槍でもない武器を持つ男だ。

⑩ 物真似男(修正版)


次の試合を見た。


片方の男が、やや劣勢。

だが――どこかおかしい。


審判の口が、動いていない。


その瞬間。


「――終了!」


確かに、審判の声が響いた。


優勢だった男が、反射的に手を止める。

その一瞬。


劣勢だった男が踏み込み――

逆転。

一本。


次の瞬間、会場が爆発した。


「ふざけるな!」

「今の反則だろ!」

「審判、何やってる!」


罵声の嵐。


俺は即座に言った。


「……あの男を、スカウト小屋へ」


スカウト小屋。


男は落ち着いた様子で立っていた。

俺が口を開く。


「名前は?」


次の瞬間――


清水

「清水新明です」


……俺の声だ。


安田

「無礼であるぞ!」


即座に――


清水

「無礼であるぞ!」

(安田の声)


安田

「やめろ、お前!」


清水

「やめろ、お前!」

(安田の声)


安田が半歩前に出る。


「――もうやめろ」


空気が止まる。


「次、誰かの真似をしたら、

 賞金は無しだ」


清水は青ざめ、慌てて平伏した。


清水

「も、申し訳ありません!」


「聞く。

 何のために、この大会に参加した?」


清水

「……病気の子供のためです」


「物真似は、どうやって覚えた?」


清水は一瞬だけ迷い、

それから正直に答えた。


清水

「病気で伏せっている子供を、

 笑わせたくて……」


清水

「覚えていくうちに、

 才能があると分かりました」


……最後の一言、

また安田の声だった。


安田が無言で睨む。


俺は咳払いを一つ。


「北爺」


北爺

「は」


「こいつ、黒子で使えるか?」


北爺は清水を一瞥し、即答した。


北爺

「夜。

 敵城で門を開けさせる時に使えますな」


「だろうな」


俺は清水を見る。


「登れ」


清水

「……はい?」


「木登りの試験だ」


特殊技能持ちだ。

油まみれでツルツルの木――

そこまでの無茶はさせない。


普通の木にした。


清水は一度、深呼吸し、

――スルスルと登った。


速い。

無駄がない。


あっという間に合格。


「物真似ができる。

 忍び込める。

 声も使える」


「十分だ」


「採用する」


清水は、何度も頭を下げた。


物真似男。

だが――

戦場では、立派な武器だ。

今回は少し軽めの回でした。


声真似という一芸でも、

使いどころ次第で武器になります。


さて、次はどんな人材が来るのか。


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