第35話 1535年 5歳 よし農具を作るぞ
前回、兵士募集はうまくいかなかったものの、龍義は思いがけず重要な味方——事務員の真田を得た。
今回 農具を作る回です
去年、農家を回っていて確信した。
この地域の農業は——驚くほど原始的だ。
実った稲穂をそのまま地面に叩きつけ、籾を落とす。
効率も悪いし、米も傷む。
そこで俺は気付いた。
江戸時代には当たり前だった農具が、
今の戦国にはまだ存在していない。
だったら——
先に俺が作ればいい。
売れる。
喜ばれる。
生産性が上がる。
良いことだらけだ。
俺は次の四つの農具を選んだ。
一、備中ぐわ
土を深く耕せる鍬。今までの倍の深さまで掘れる。
二、千歯扱き
稲穂から籾を落とす脱穀道具。
作業速度はこれまでの何倍にもなる。
三、唐箕
風の力で籾と殻を選別する道具。
人手が一気に減る。
四、唐棹
麦や大豆の脱穀用の連枷。
豆が潰れにくく、商品価値も上がる。
この四つの図面を、領内の鍛冶屋八件に渡した。
無論、秘密保持の話はたっぷりしてある。
各製品、五十ずつ。
合計二百の試作だ。
事務員真田が来たので早速と手伝わせた。
真田は農業の知識があったので驚いてくれた。
真田「若様は何でもできますね、あれだけの大量の給与計算を一人で今までやってこられたんですものね」
俺「そうだよ、大変だったよ。安田は手伝ってくれないし、なー安田」
守役安田は素早く逃げた
龍義の“内政ターン”が本格的に動き出しました。
兵も商人も大事ですが、最終的に国を支えるのは土地と人。その基礎を整える回です。
ここまで読んでくださり感謝です!
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