第22話 1534年 4歳 堺出立と一対六の決闘だぞ
前回は九島という凄腕商人との出会いがありました。
さて今回はどのような出会いがあるのでしょうか?
◆出発の朝
朝が来た。
俺は四歳だけど、中身は三十二歳の元自衛官だ。
今日は堺を離れ、京へ戻る日になる。
俺『小西、世話になった。商品は三か月以内に店に届くようにする。』
小西『堺を出るまでお見送り致します。』
店を出ると、金城三兄弟とその配下十五名が揃って頭を下げた。
金城『おはようございます、若様。我ら十八名、今後ともお世話になります。』
続いて九島弥太郎が兄弟九名を連れて挨拶する。
あの時助けた女の子も混じっている。
続いて赤目だ
赤目『若様お世話になります。我ら生き残り男女82名命を若様に捧げます。』
しかし赤目の後ろには3名しかいない。
俺『残りの者はどこにいる』
赤目滝『残りは小隊に分け、すでに先行しております。』
忍者が列を成して歩くわけにもいかない。
よく考えて動くものだ。
◆土手での決闘
しばらく進むと、土手の上で一対六の決闘が行われていた。
野次馬の数も多い。
ひとりの侍――黒澤(仮名)は落ち着き払っている。
まるで黒澤映画から飛び出したような、絵になる武芸者だ。
六人が黒澤を半円状に取り囲む。
正面には明らかにリーダー格。残る五人が間合いを詰め、包囲が完成する直前――
黒澤は振り向かずに背後を斬った。
背後の敵は、足運びと殺気で位置を読まれていた。
首を断たれ、崩れ落ちる。
黒澤はそのまま斬り伏せた敵の懐側へ踏み込み、包囲の外へ抜ける。
これで敵は正面配置を失い、陣形が一度崩れる。
直後、追ってきた二人。
黒澤は狙って太ももを斬る。
歩行不能。
二人はその場で戦線を離脱。
――残り三人。
三人は距離を取り、今度は不用意に踏み込まず、再び半包囲を作る。
次は三方向同時攻撃を狙っている。
黒澤は待たず、先に正面へ踏み込んだ。
正面の刀を受け止め、同時に金的を蹴り上げる。
体勢が崩れた瞬間に顔面を斬る。
正面を突破し、そのまま左右の二人の背後へ回り込む。
三方向攻撃は、成立する前に崩された。
黒澤が低く言う。
「――逃がしてやる。逃げろ」
二人は動揺し、連携を失ったまま斬りかかってきた。
黒澤は足元の砂を蹴り上げ、一人の視界を奪う。
視線が切れた瞬間、その一人を斬る。
――最後の一人。
黒澤はもう踏み込まない。
間合い、踏み込み、太刀筋、すべてを見切った上で動く。
打ち合う必要はなかった。
一瞬の踏み込みで手首を断ち、武器を落とす。
安全を確保してから、
最後の首を落とした。
――六人、制圧。
すべてが
・数を減らす
・陣形を崩す
・正面を割る
・背後を取る
という戦術の積み重ねだった。
だが静寂は続かない。
◆島田勘兵衛をスカウト
騒ぎを聞いた取り方が二十名ほど押し寄せてくる。
俺『小西、あの侍はこのままだと?』
小西『堺は復讐でも死罪ですな。』
もったいない。
俺は黒澤に声をかけた。
俺『俺は越後の上杉龍義。お主、なかなか出来る。このままでは死ぬぞ。家来にならぬか?』
黒澤『お断りいたす。』
即答かよ。死罪だぞ?
俺『大業物を与える。もっと強くしてやる場もある。』
黒澤『……強くなれますか?』
俺『間違いなく強くなる』
ついに黒澤は折れた。
そこへ取り方が到着。
小西が頭を呼び出し、ひそひそと話し、こっそり金を渡す。
小西『若様、この分はツケで。』
助かった。
黒澤『某の名は――島田勘兵衛と申す。』
こうして俺は、京へ戻る前に、とんでもない剣客を一人拾うことになった。
強すぎる島田勘兵衛を迎え、戦力がさらに増しました。
次回は京へ向かう道で、僧兵六十名との初戦になります。




