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115.スカーレットとバイオレット

「久しぶりね、姉さん。こうして会うのは何年ぶりかしら?」

「……五年ぶりかしら……元気そうで何よりね、バイオレット」



 緊張感に満ちた姉妹の再会を俺たちは見守っていた。といってもアムプロシアや、バイオレットが変なことをしてきたら即座に戦えるようにはしている。



「牢屋を見たわ……なんであんなことをするの?」

「あんなこと……? ああ、あいつらね……姉さんは知らないかしら? 生き物はね、壊れていくさまがとても美しいのよ。どんな芸術品よりも、どんな宝石よりも、生き物の死に抗う姿って美しいの……それを見たいからじゃ納得いかないかしら?」

「……」



 嬉々とした表情で語るバイオレットに俺たちは言葉を失う。牢屋で見た拷問されていた人間や魔物は何かの実験でもなく、情報を得るためでもなく、ただ快楽のために行われていたのである。

 もちろん、俺はこいつの本性を知っていたが、ゲームのテキストではなく、現実に拷問されているところを見て、こうして楽しそうに語られると吐き気を催す。



「ねえ、バイオレット……昔のあなたは優しい子だったじゃないの? あなたが歪んだのが私のせいなのだったら……」

「姉さんのせいだったらどうするというの? 一緒に謝ってくれる? だけど、被害者は許さないでしょうね。どうするの……? そうしたらどうするの、私を殺すつもりかしら?」

「それは……」

「もういい、スカーレットよ。彼女とは話さない方がいいだろう。なにがあったかは知らないが、これだけの罪を背負ったのは君の責任ではない。彼女のせいだ」



 なんといえばいいかわからず困惑し、ダークネスにかばわれるスカーレットに対して、バイオレットは興味を失ったようにため息をついた。



「ああ、つまらないわね……肉親を殺されたっていうのに、私を殺そうともしないなんて……これじゃあ、楽しめないじゃないの。あの時殺さなかった意味もないわね……」

「え……バイオレットそれはどういう……」

「スカーレットもういい聞くな!! 剣よ、風竜の加護の元、舞え!!」

「ぐへぁ!!」



 姉妹の会話をダークネスの剣が切り裂こうと飛んでいくが、バイオレットはまるで盾でも扱うようにして、アムプロシアを使って受け止める。

 そして、彼女はスカーレットに嘲るような笑みを浮かべた。



「決まっているでしょう? 私に復讐しようと一生懸命なあなたが無残に私に殺されるときにどう輝くかなって楽しみにしていたのよ。なのに思ったより甘ちゃんでがっかりだったわ……ばいばい、あなたたちはもう死んでいいわよ」



 その言葉と共に建物を支えていた柱が爆発して崩れていく。まさか、事前に魔法をしかけていたのだろうか?



「ああーーー俺は燃えている!! 俺は生きているぅぅぅぅ!!」

「うっさい、早く行くわよ」



 天井が崩れていく中、バイオレットとアムプロシアが逃げていく。追いかけようとするもやつらが通った通路かは天井が落ちてきてふさがれてしまう。



「俺たちもさっさと逃げるぞ!!」

「スカーレットは私に任せろ!!」



 そうして、俺たちも急いで脱出しようとするのだった。そういえば誰か忘れているような……


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