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第11話 実戦とヴァイスの力

「じゃあ、行くぞ」

「ヴァイス様がわざわざ行く必要はないのでは……? あなたは領主なんですよ。身の危険を晒す必要はないと思うのですが…」

「心配してくれありがとう、ロザリア。だけど、これは俺の領主としての器を見せる戦いでもあるからさ。それに……俺の事は守ってくれるんだろ? 信頼しているぜ」

「もう、そんなことを言われたら、何にもいえなくてなってしまうじゃないですか」


 

 そう言って唇を尖らしているロザリアはいつものメイド服ではなく、動きやすい軽装の鎧を身に着けている。俺達はバルバロと色々とお話をして、彼の私兵がいる屋敷の前にきていた。最初は渋っていたが命を助けると言ったら簡単に口を割ってくれた。



「では、皆の物待機せよ!!」



 俺の言葉共に連れてきた兵士たちが一斉に目の前の屋敷の前に整列をする。正直兵士たちの質は心配だったが、カイゼルを慕う者たちが結構いたこともあり、彼が治安隊長に戻ると決まると士気があがったのだ。

 まあ、それだけじゃないんだろうけどな……俺は、彼が他の兵士たちに頭を下げてまで俺に協力してくれるようにお願いしてくれたことを知っている。



「ふふ、ヴァイス様……戦場をかけた昔を思い出しますね。では、私は作戦通りに……」

「ああ、頼むよ。こっちは俺に任せてくれ」



 俺はカイゼルが何人かの兵士を連れてく確認してから、大声を張り上げる。ここはゲームでやったステージと同じだ。まあ、数年前なので多少の差異はあるだろうがそれでも大体の構造は理解をしている。



「俺は領主ヴァイス=ハミルトンだ!! 貴様らのリーダーであるバルバロはすでに捕獲をしている。貴様らの罪はわかっている!! 私の大事な領民を苦しめた罪は軽くはないが、今投降をすれば命だけは助けてやるぞ。降伏しろ!!」

「な……あの無能領主かよ!! あいつはバルバロ様の言いなりなんじゃ……」

「は、幸い兵の数は大したことない。返り討ちにしてやるぞ!!」



 俺の言葉に館にいる連中がざわざわと騒ぎ始める。結構近いから聞こえるんだよぉぉ。無能で悪かったな……

 それにヴァイスだって頑張ってたんだっての……俺が少しムッとしていると、隣から凄まじい悪寒を感じた。なにこれ怖い。



「ヴァイス様……あいつらは不敬です。殺しましょう」

「あの……ロザリアさん……キャラ変わってません? まあ……あいつらも戦う事を選んだようだな!!」

「でも……あいつらはヴァイス様の事を無能って……あなたの辛さも知らないくせに!!」



 俺が隣で殺気のこもった視線で槍を作り出したロザリアにちょっとビビっていると、あいつらが返答とばかりに矢を打ち込んできた。

 もう……待つ必要はないな。元々戦力もあいつらが油断するくらいの人数で来たのだ。俺が悪には容赦しなくなったとと知ってもらう機会にはちょうどいい。



「皆の者、突撃だぁぁぁぁぁ!!」



 俺の言葉と共に兵士たちが突撃をしていく。そして、その中にはもちろん、俺もいる。今回戦場で指揮をした。それだけでも、十分領民たちは見直すだろう。だけど……それだけでは足りないのだ。この領土はこのままではゲームと同じ時代には戦争に巻き込まれる。

 それまでにその戦争に生き残れるだけの力が必要なのだ。特に目立つ者の無いこの土地でそれを達成するには領主のカリスマは必要だろう。それに……俺も実戦経験を積んでステータスをあげる必要がある。



「思ったよりも苦戦せずに済みそうですね、ヴァイス様」

「ああ、不意打ちな上に、こっちは腐っても正規兵だ。基礎能力が違う。それに……」

「うおおお。いい所を見せて出世をするぞ!!」

「カイゼル様の復帰戦だ。情けない所を見せれるかよ!!



 俺が事前に提示した褒賞とカイゼルの存在のおかげで予想以上に士気が上がっている。これなら負けることは無いだろう。

 俺の思った通りどんどんと相手を追い詰めていき、屋敷に突入した俺達は敵を館の隅の方へと追い詰めていく。そろそろだな……



「さて……戦況は決したと思う。お互いこれ以上に戦いは無駄だと思うが……」

「くそが……てめえは何もしていないくせに……」

「ふむ、確かにそうだな……このまま、一方的に負けて納得がいかないだろう。お前がリーダーか。俺と一騎打ちをしろ。もしも俺が負けたら、俺を人質にして逃げるといい。そのかわり負けたら……お前らの悪事を白状してもらうぞ」

「領主様!?」

「へぇ……」



 俺の言葉に兵士たちが信じられないとばかりと驚愕の声をあげて、相手が嘲りの笑みを浮かべる。ロザリアは……事前に説得していたのに無茶苦茶不満そうな顔をしている。

 そして、俺を煽っていた相手が剣を抜きながらやってきた。



「その言葉は嘘じゃないだろうなぁ。俺が勝ったら……」

「もちろんだ、お前達とは違うんだ。俺は品行方正な領主で名を売っているんでな。約束は守るよ。だから……」

「そうかよ!!」



 俺の言葉が言い終わる前に相手が剣を振り上げて襲い掛かってくる。完全な不意打ちである。相手は完全に勝ったとか思っているんだろうなぁ!!!



「なんで……」

「俺の方が強いからだよ。言ったろ? 俺は品行方正な領主様だって言ったろ? お前らのやりそうなことはわかるんだよ」



 俺は影の手に握られた剣に背後から腹を貫かれ口から吐血している相手に答えを教えてやる。こいつもゲームには登場していたから、だいたいのステータスは覚えているのだ。

 特殊能力も特になくバルバロよりも弱いので、彼に使った不意打ちは通じると思ったのである。



「まだだ……まだ、終わっていない……」



 目の前の男はその言葉と共に俺達の後ろの壁が轟音と共に破壊されて、何者かがやってくるのを見て勝利を確信した笑みを浮かべたが、その人影の正体に気づくと絶望に染まる。




「ヴァイス様の言う通り隠し通路に潜んでいた敵兵を全滅させました。流石です……どうやってそんなことまで……」

「よくやってくれたな、カイゼル。相手の援軍を倒してくれて助かったよ。言ったろ。俺はお前らのやることはわかるってさ。で、何が終わってないんだ?」

「そんな……せめて、お前の首だけでも!!」

「ヴァイス様!?」



 窮鼠猫を噛むの如く手負いのリーダーが必死の形相で俺に斬りかかってくる。せめて俺の首を……とか思っているんだろうなぁ?

 こいつらはヴァイスが苦しんでいる時にバルバロと共謀して散々好き勝手をしていたのだ。お前らに怒る権利はないんだよ!! 

 俺は周囲の視線が集中しているのを確認しているのを確認してから、奥の手を放つ。



「影の暴君よ、断罪の鎖を我に貸し与えよ!!」



 その詠唱と共に俺の頭の中にイメージが……湧くことは無かった。当たり前だ。これはまだ……いや、ヴァイスがゲームで使う事の出来なかった魔法なのだから……

 だから、俺はゲームで何百回もみた映像をイメージし、ヴァイスならばこれくらいできるだろうと何千回もイメージした光景を詠唱とリンクさせる。



「なんだ。これはぁぁぁぁぁ!?」

「ヴァイス様……上級魔法をどうやって……それはまだフィリス様でも到達していないレベルですよ!!」



 俺の影がまるで巨大な獣の様に形どり、その一部が闇よりも更に深い深淵の様な黒色の鎖となり、敵を束縛する。そのあきらかな異質な魔法にロザリアだけでなく、皆がしんじられないとばかりに静まった。

 ふはははははは、これが俺のゲーム知識とヴァイスの魔法の才能による合作だ。本来この魔術はフィリスがゲームの中盤に覚える魔法の一つである。このゲームを死ぬほどやりこんだ俺は詠唱どころか、その結果だって死ぬほど見てきたのだ。イメージなんて余裕である。

 とはいえ……実力以上をつかったせいか頭がふらつく……連発はできないだろう。だが、気を失う前にやることがある。



「これが俺の……ヴァイス=ハミルトンの力だ!! 皆の者俺が口だけではないという事は信じてくれただろうか……急な領主の交代、皆が妹の方が良いのではと思っていることは知っている。だが、俺はこれからお前らに示すしよう。このハミルトン領の領主にふさわしいのはこのヴァイスであると!!」

「うおおおお!! あれは上級魔法だぞ!! エリートの宮廷魔術師くらいしか使えないはずなのに……」

「ヴァイス様すげえ……!! ひょっとしたらフィリス様よりも……」

「なんなんだよ、こいつ……聞いていた話と全然違うじゃねえかよ……」

「勝てるはずがないだろ」



 頼みの援軍が全滅している事を知った上に俺の上級魔法によって仲間の士気は上がり、敵の戦意はとうとうゼロになったようだ。ぞくぞくと武器を捨てて降伏してくる。ゲームではこの増援のせいで挟み撃ちにあって苦しめられたんだよな。と思い出しながら俺が勝利を宣誓する。



「これで賊共は捕えたぞ!! 俺は神に誓おう。もう、我が領民を苦しめる連中をのさばらせるようなことはしないと!!」

「「おおーー!!」」



 俺の言葉に兵士たちも呼応してくれる。そうして、初陣は圧倒的な勝利を得たのだった。




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