10.ヴァイスの宣言
「諸君待たせたな。バルバロを会議に参加させるのに少してこずってしまってな」
俺がバルバロを引きづりながら会議室に入るとざわざわと一気に騒がしくなる。「なんでバルバロが……あいつは領主様のお気に入りじゃ……」「あの乱暴者をヴァイス様が倒したって言うのか?」「ヴァイス様が変わったっていう噂は本当だったのか……」などの声が聞こえてくる。
俺はそんな彼らの言葉が収まるのをまってから咳ばらいをして注目を集めさせる。
「今回の会議の議題をまだ諸君には全て説明していなかったな……命じていた中間報告と共にこのバルバロの罪を明らかにし、断罪することである。今回このバルバロは会議をふざけた理由で欠席したばかりでなく、私の館のメイドに乱暴をしようとした。そして私が調べさせた結果他にも様々な罪状がある。その罪として、この男の治安隊長をクビにして新しい人間を治安隊長とする!! 前任の治安隊長はどこにいる?」
「それは……私ですが……」
「そうか、君だったか」
怪訝な顔をしたトイレ掃除担当のカイゼルが手を挙げる。俺はそんなカイゼルの肩を叩いてステータスを眺める。
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カイゼル=アンダースタン
筋力 70
魔力 40
知力 50
スキル
上級剣術LV3
守護者の盾LV3
ユニークスキル
正義の心LV3
己が正しいと思った戦いに参加するとステータスが10%アップ
職業:トイレ掃除担当
主への忠誠度
70
前領主の時は治安隊長兼ヴァイスの教育係だったが、領主になったヴァイスに意見を言ったとこにより左遷された。正義感が強く、領民の好感度は高い。
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ステータス結構高いな!! てか、治安隊長じゃなくなったのってヴァイスとバルバロのせいじゃん!! 絶対バルバロにそそのかされてやらかしてんじゃん。そりゃあ、カイゼルも怪訝な顔をするわな。
俺は頭が痛くなるのを感じながらもみんなに宣言をする。
「カイゼル……今まですまなかった……図々しいかもしれないが、君にひどい事をした私に再び力を貸してくれないだろうか?」
「ヴァイス様、そんな頭を上げてください。私の方こそ、前領主を事故で無くしたばかりなのに剣術をならえだの、領主としての自覚を持てだの色々と言いすぎたと反省していたのです……このカイゼル、再びチャンスをいただけるのならばヴァイス様のために剣をふるわせていただきます」
「ありがとう、カイゼル……」
すげえ、忠誠心だな。左遷されて結構辛い思いもしたはずなのに……てかさ、ヴァイス……お前の周り結構いい人に囲まれてたじゃん。もっとそういう人たちの話を聞いていれば……いや、そんな余裕はなかったよな……だからこそ俺が変えるのだ。
俺は彼にお礼を言ってから他の参加者にも聞こえるように大声で言った。
「皆の物聞いてほしい!! 今までの俺はどうしょうもない領主だったと思う。尊敬している両親の死、馴れない領主としてのプレッシャーなどもあり、苦難から逃げてしまった。その結果お前達に理不尽に当たり散らし、バルバロの様な人間の増長を許してしまった……その件に関しては何も言い訳はできない。だが、俺はもう逃げはしない!! 宣言しよう。俺はこれから領地のために全ての力を注ぐと!! 皆にはそれを見届けてほしい!!」
みんなの反応は様々だ。何をいまさらと冷めた目をしているもの、わずかな期待を込めているもの、館内で仕事をしているものほど俺にもしかしたらと期待をしてくれているようだ。
たった一週間だが俺の努力は無駄ではなかったようだ。そして、ここからが本番である。あとは行動で証明するしかないだろう。
「それで……最初はどうするつもりですか?」
「ああ、手始めにこれより領地内で行われている犯罪組織の摘発をしようと思う。幸いにも情報源にはあてがあるんでね」
俺は気絶しているバルバロを足蹴にしながらにやりと笑った。
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