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第1話 推しの悪役貴族に転生した件について

「ヴァイス様、ヴァイス様ご無事ですか!! 絶対目を覚ましてくださいね……あなたが死んだら私は……」

「それにしても、領民に刺されるなんて……まあ、この馬鹿領主のせいで治安は悪くなるし、税は上がっていますから気持ちはわかるけど……」



 聞こえてくるのは二人の女性の声だ。一人は心配をしてくれているのはわかるが、もう片方はの女性はむしろざまぁみろといった感じでぼやいている。まあ、話を聞いている限り、ここの領主はクソなんだろうなっていうのはわかる。

 問題は……ここって日本だよね? ヴァイスって誰だよ。外人の名前じゃん。そもそも領主って……まるでゲームじゃ……



「メグ!! 主が傷で苦しんでいるんですよ。その言い方はあんまりじゃないでしょうか? ヴァイス様の目が覚めた時に、痛み止めのポーションと代えの包帯を持ってきてください」

「全くロザリアはいい子すぎるよ。こいつの専任メイドなんてやってて……殴られたりもしたんでしょう? なのに……」

「いいから無駄口を叩いていないで早く行ってください!!」

「もう、わかったよ……こんな領主のどこがいいんだか……」



 その言葉と共に誰かが外へと出たのだろう、扉が開く音がした。

 まあ、そんなことはいい。ロザリアにヴァイスだと……? 俺は聞き覚えのある言葉に体を動かそうとすると、腹部に激痛が走った。いってぇぇぇぇぇぇ!! 何だこれぇぇぇ!!

 聞き覚えのある外人っぽい名前……刺されたという領主……俺の腹の激痛……そして、ヴァイスという名前……そこから導かれる答えは……



「よっしゃああああああ、異世界転生きたぁぁぁぁぁ!! 誰か鏡を持ってきてくれないか!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁ」

「にぎゃぁぁぁぁ、頭が割れるように痛いぃぃぃぃl!!」



 俺が痛みを我慢しながら目を見開いて、起き上がろうとすると、ちょうど俺の様子を見ようとした水色の髪の少女と頭と頭がぶつかってしまいゴチンという音と共に激痛が走った。



「ヴァイス様……大丈夫でしょうか? 手鏡ならありますが……」



 そう言うと頭をおさえているメイド……ロザリアが俺にそっと鏡を差し出してくる。自分も頭が痛いとだろうにこちらを心配してくれているようだ。

 先ほどの言動といい、まったく……この子の忠誠心は素晴らしいよな。だからこそ、彼女を待ち受けるゲームでの末路を思い出して、俺は一瞬暗い感情に支配されそうになるが取り繕う。



「ああ、ありがとう、ロザリア」

「え?」



 俺がお礼を言って手鏡を受け取ると、なぜかロザリアが驚愕の表情で固まる。いったいどうしたんだ? 俺なんかやっちゃいました?



「ヴァイス様がお礼を言った……」



 ああ、そうか……やはりこの時期のヴァイスなんだな……お礼を言っただけで、この反応ということで俺は色々と察してしまう……そして、俺は鏡に写った自分の姿を見て先ほどまで考えていた推論が正しかったと確信する。

 短く整えられた黒い髪に、本来はそれなりに整った顔のはずなのに、頬はげっそりとしてどことなく病的な容姿、ゲームと比べるとまだ幼いが、俺の知っているヴァイスで間違いないだろう。

 そしてこれがゲームと同じならこれは……俺は指をパチンと鳴らして宣言する。



「ステータスオープン」


---------------------------------------------------------------------------------------------

ヴァイス=ハミルトン


武力 40

魔力 50

技術 20


スキル


闇魔法LV1

剣術LV1


職業:領主

通り名:無能悪徳領主

民衆の忠誠度

10


バットステータス


軽度のアルコール依存症

定期的にアルコールを摂取しなければ集中力がダウンする。魔法使用時に威力の低下。


栄養失調

暴飲暴食によって、健康の状態が悪化している。武力がステータスよりも-2



異世界の住人


異世界からの来訪者であるがために、この世界特有の文化に関して不慣れ。魔法などの理解度がダウン。



推しへの盲信リープ オブ フェース


????

-----------------------------------------------------------------------------------------------



 うわぁ……バットステータスばかりである。初期のステータスこそ、敵キャラだからだろう平均30の主人公よりも高いが、色々とひどいな……だが、これで俺は確信する。


 この世界は俺のやっていたシミュレーションRPG『ヴァルハラタクティクス』か、それを元に作られた異世界なのだろう。そして、こいつはヴァイスという序盤の敵だ。

 主人公は彼を倒し、圧政に苦しむ民衆を助け、それがきっかけに英雄への道を切り開くきっかけとなる序盤の踏み台領主なのだ。

 彼から解放された民衆たちは主人公に涙を流して感謝をして忠誠を誓う反面、なんとか主人公たち逃げ出したヴァイスだったが、民衆に見つかってリンチにされて処刑されるという哀れな末路なのである。

 ちなみに武力は接近戦での戦闘力、魔力は魔法を使った時の威力などに影響して、技術はスキルを閃いたり、成功率などに影響する。


 なんで俺が破滅フラグ満載のヴァイスに転生したのかはわからない……だけど……もしも、神様がいたら俺はこう言うだろう……

 


『推しに転生させてくれてありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』



 手を打たなければ数年後に俺は民衆にリンチをされるだろう。だが、そんなことはどうでもいい。だって、俺がそんなことはさせないから……自分の中の心の中に熱いものがこみ上げる。だって、俺の手で推しを救う事ができるのだ。



 何度二次創作や妄想で彼を救う話を考えた事か!! 設定資料集まで買っていた俺は彼がこうなるのにも事情が色々という事を知っている。俺と彼の境遇は似ていた……そして調べていくうちに彼にはまったのである。俺が近くにいたら絶対彼を救ってみせるそう思っていたのだ。

 


「クックック、はっはっはっはーーーー!! これがヴァイスの匂い!! ヴァイスの顏!! そう、俺がガンダム……じゃなかった。ヴァイスだ!!」



 俺は興奮のあまり腹部の痛みも忘れて、自分の匂いを嗅いで、再度鏡を見て顔を確認した。さっすが貴族!! 今は不健康そうだけどイケメンだね!! 

 そして、固い笑顔を浮かべているロザリアの手を取る。



「ロザリア……これまで辛い思いをさせて悪かったな。一緒にヴァイスを救おうじゃないか!!」

「ひぃ……」



 俺が喜びの笑いかけるとロザリアがドン引いた声であげた。やっべえ、俺がヴァイスだったわ。そりゃあ、いきなり指パッチンして「ステータスオープン」とか言ったり、笑いだしたり、変な事をいいだしたらそんな顔もするわ。



「だれかぁぁぁぁぁぁ、ヴァイス様の頭がおかしくなった……いや、元からおかしかったですけど!!」

「ちょっと言いすぎじゃない!? てか、話を聞いてくれぇぇぇ!! うぐぉぉぉ」



 俺は悲鳴をあげて部屋を出て行くロザリアを止めようとしたが刺されたであろう腹の傷が痛んで、ベッドの上で悶える事しかできなかった。



『お前に……なにができるんだよ……クソみたいな俺の状況じゃあだれだって……』



 何か声が聞こえた気がしたような気がしたが俺の意識はそのまま深く沈むのであった。

という新作を投稿してみました。異世界転生の悪役に転生物です。悪役好きの主人公が推しの悪役に転生したので、ゲーム知識を使って破滅フラグを防ぐ感じです。


本日はもう一話投稿いたします。



面白いそうだなって思ったらブクマや評価いただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
これヴァイスの魂はどうなっているんだ? 魂が生きている、ようは一つの身体に魂が2つある共存系の物語ならともかく、そうじゃないのなら処刑されるまでは生きている筈の推しを主人公が殺した事になると思うのだが…
[良い点] え!?共存タイプ!? 悪役転生系好きなので楽しみです!!ブクマしました!!
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