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第8話「ステータス」

 四本脚の機甲兵器<ガーダー>が膝を付く。ガシャン、と音を立てて脚が崩れるとポリゴンの欠片になって四散した。

 レベルアップのシステム音が鳴り響く。

 僕は視界の端のミニマップに目をやった。索敵範囲には敵の姿はない。少し休憩をすることにして、俺は熱線銃(ブラスター)とナイフをホルスターにしまった。


 狩場は先日から<ガーダー>が大量に徘徊する<マルオカ機械研究所>に移っている。はじめのダンジョンではボスとして登場した<ガーダー>が、ここでは雑魚扱いで出現するのだ。安定して倒せるようになってきているので、強くなっている実感がある。


「ナイス! ユニくん!」

「シャルケ、援護ありがとう」


 シャルケが巨大な武器を振り回しながら駆け寄ってくる。ちょっと怖い。

 シャルケが手に持っているのは、メカメカしたデザインの両手持ち武器。先端が二股に分かれており、そこから高エネルギーの砲弾が打ち出される。【機甲兵(パンツァー)】専用武器エネルギーキャノンだ。

 高防御力から繰り出される、高威力の弾丸。正面から敵を粉砕するパワータンクがそこに存在した。


 僕とシャルケが組むと、かなりの戦闘力になることが最近判明した。

 機甲兵器は基本的に近い距離の者をターゲットにするらしく、自然と敵に接近する僕を狙ってくる。その隙に遠距離からシャルケの高威力弾をぶち込むのだ。

 しかも僕の【修理(リペア)】は【機甲兵(パンツァー)】の機甲装甲の耐久力を回復できることに気が付いたのだ。時にはシャルケを盾にしつつ、時には囮になりつつ、高時給を叩きだすことに成功していたのだ。

 もちろん、それができる背景には、僕とシャルケが長いことティターニアオンラインで組んでいて、戦い方や性格を熟知しているから、というのもあるだろう。


「うーん……どうしようか」


 僕は座り込むとステータスウィンドウを開いた。表示される僕のステータス。レベルアップするとステータスをあげるステータスポイントが取得できる。それを振ることでキャラクターを成長させるのだ。

 

 僕のレベルは34になっている。そろそろ必要なステータスを絞っていきたいところなのだ。

 ちなみに、バレットパンツァーオンラインのステータスというのは以下のとおりになる。


 筋力(STR)。持てるアイテムの数が増えたり、重い銃を取り回す。

 生命力(VIT)。HPをあげて死ににくくなったり、機甲装甲の装備ボーナスが付く。

 素早さ(AGI)。移動速度の上昇。装備持ち換え速度の上昇。弾薬交換速度ボーナス。

 跳躍力(JPG)。上方向への移動、跳躍の高さが上がる。

 集中力(CCR)。照準のブレの減少。命中率の上昇。索敵ボーナス。

 器用さ(DEX)。機甲兵器の操縦、最大、最小ダメージの幅を狭める。

 幸運(LUK)。運がよくなる。


 この七つのステータスの中から選択してポイントを割り振っていくのだ。同じジョブ、同じスキルをとっていても、ステータスが違えば、キャラの特徴は変わる。人の数だけキャラクターが出来る。そんな楽しさがあるのだ。 


「何を迷ってるの?」


 ステータスウィンドウを見ながら唸る僕の隣にシャルケが座った。何か操作をしたのか、シャルケの身体を包んでいた機甲装甲が花開くようにして背中側の空間に収納されていく。

 シャルケの機甲装甲は装備しっぱなしのタイプではなく、必要な時に操作して展開するボディアーマータイプの装甲を使っていた。防御力は全身ロボタイプには少し負けるが、そのかわり任意の方向に突き進む【瞬発】というスキルを持っている。

 僕は跳躍力を活かして道なき道を進むこともあるため、それに合わせてくれているのだ。


「いや、ステ振りなんだけどね。CCRに振るべきか、DEXに振るべきか……」


 僕はこれまで素早さ(AGI)跳躍力(JPG)を中心に上げてきた。ある程度思い通り……というかティターニアオンラインでの挙動ができるようになってきたので、次に上げていくステータスに悩んでいるのだ。


 高速挙動の最中でも当てられるよう集中力(CCR)を上げるか、あのあと悔しくて取得した【操縦手(パイロット)】のために器用さ(DEX)を上げていくか。


「シャルケはどんなステ振りしてるの?」

「私? んーとね……、筋力(STR)生命力(VIT)にかなり振ってる。あとはちょっとだけ素早さ(AGI)かな」

「ふぅむ」


 基本的なタンク構成(ビルド)だ。そりゃそうだよね。

 ううむ。とりあえずポイントはとっておくか。レベルが上がったらすぐ振らないといけないものでもないしね。


「よし、狩りを再開しようか!」

「いえっさー!」


 僕が声をかけると、シャルケが嬉しそうに立ち上がる。再び機甲装甲が展開し、包み込むようにしてシャルケの身体を包む。

 僕はスキルウィンドウを操作すると、ドローンのスキルを呼び出した。あれからドローンのスキルを伸ばし、いろいろなことができるようになっている。

 ドローンの基本的機能である敵モンスターをミニマップに表示させたり、状況をカメラで撮影できる【無人機索敵ドローンスカウティング】と、エネルギーシールドを展開して弾丸を防御してくれる【無人機防御(ドローンブロック)】を取得していた。

 もうすこしスキルレベルを上げると機甲兵器のレーダー機能や一部兵装を阻害する【無人機EMP(ドローンジャミング)】がスキルツリーで解放されるので、そこを目指していくつもりだ。


 さっそく僕はドローンを偵察に飛ばす。ちょっと高級になっている。見た目はかわいらしく、でっかいドーナツか、浮き輪が飛んでいるようにしか見えないが。

 ドローンからの情報だと、このあたりには機甲兵器がいないことが示されていた。


「この近くにはあまりいないみたいだね。次の推奨マップにでも行ってみる?」

「なかなかそそるアイデアだね。ユニくん」

「言い方が気持ち悪いよ、シャルケ」


 シャルケはにんまりとした、なんだか意地の悪い笑みを浮かべている。


「次の推奨マップはPKが解禁されたPK許可区域(キルゾーン)だよ!」

「帰ろっか」

「待って待って待って! 一回くらいは行きたいじゃない? だめ?」

「うーん……。距離を取って連射されると勝てる気がしないんだよね」


 ただ、散歩にいけなかった犬のようなしょんぼり顔をしたシャルケを見ると、まあちょっとくらいはいいかな、と思えてしまうから不思議だ。


「まあ、話のタネに一回行ってみようか」

「おお! さすがユニくん! 愛してるよ!!」

「はいはい」


 シャルケの冗談を受け流して、僕はドローンを呼び戻した。


 まあ、まさか初心者っぽい僕らが狙われることはないだろうし、大丈夫だろう。


 僕とシャルケはすぐに移動を開始した。


<ステータス・スキル>


 名前:ユニオン

ジョブ:【工兵(エンジニア)

 勢力:なし

レベル:20>34

スキル:【片手銃マスタリー】10 【近接武器マスタリー】10

     【二丁拳銃】10 【装備重量軽減】4

     【修理】1 【操縦手】0>1

     【観測手】3>5

     【無人機マスタリー】1>7 【無人機防御】0>4 【無人機索敵】0>1


 


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