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第14話「ブラストソード」

 宝箱オブジェクト。

 フィールドやダンジョンなどに設置されている宝箱だ。青色の三角錐の形をしている。触れるだけで開封でき、中身を取得することができる。中身は武器や防具、お金といったものから、素材や武器図面といったレアリティの高いものまでさまざまだ。


 しかし、なんでドームの天井なんかに?


 眼下ではいまだボス戦が繰り広げられている。みんなが鋏を集中狙いしているのがよくわかる。

 僕がFCSのアンテナを壊したからだいぶやりやすくなっているみたいだ。このままだと倒すのも時間の問題だろうね。


 僕はドームの天井に張り付いたままだった。このまま落ちれば落下ダメージで死んでしまいそうだし。それよりなにより、目の前にある宝箱オブジェクトがかなり気になっていた。


「こんなところに隠されているなんて、一体何が……」


 僕は落ちそうになりながら宝箱オブジェクトへとにじりよっていく。


 あと少し……。よし!


 宝箱オブジェクトに手が触れると、淡い音を立てながら宝箱オブジェクトが開いた。何かがインベントリに入ったことがわかった。すかさず確認してみる。


「キャンサーブラスター……!」


 そこにあったのは、蟹の主砲を小型化したかのような熱線銃(ブラスター)のパーツだった。このままでは使えないみたいだが、【武器制作】で使う素材らしい。これを使えばかなり強力な武器ができるはず。

 蟹の背中に乗らないとこれないようなところに宝箱オブジェクトがあるなんて、これを考えたやつはかなりひねくれ者だな。


 そんなことを考えていると、いきなりコンクエストのクリアを知らせるウィンドウが出現した。

 いつのまにか<Gキャンサー>は倒されたらしい。


『無事か?』

「ええ、無事です」

『一体どこにいるんだ。こちらからは場所がつかめない』

「天井ですよ、天井」


 下から見上げる顔と目が合う。とりあえず手を振っておく。


『すごいところにいるね、ユニ君。何とかと煙はって言うもんね』

「うるさいよ」

『とりあえず、クエストクリアでホームタウンまで戻されるはずだ。それまでそこで我慢するんだな』


 うん。サクヤさん、カッコイイこと言ってるけど。笑いこらえきれてませんよ。

 僕も好きでこんなコアラみたいな恰好してるわけじゃないんですからね。




 僕はホームタウンまで戻ってきた。サクヤさんたちは集会があるということでそこで別れた。


 <Gキャンサー>を倒した経験値で、レベルが40まで上がった。クエストクリアの経験値も入っているから、ここまであがったようだ。何にスキルを振ろうか迷うね。


 うーん。今のところ【無人機マスタリー】関連を上げているくらいで、スキルポイントを振らずに余らせている状態なんだよね。

 キャラクターの育成というものは、やはり一点突破というか、万能キャラより何かに偏ったキャラクターのほうが良いことが多い。尖ったキャラクターというのは型にはまった時にはものすごい強さを発揮するからだ。


 それを踏まえると、このままだと【無人機マスタリー】をどんどん強化していくことになるのだけれど……。

 なんだか違うんだよなあ。僕はとりあえず保留にすることにした。今すぐスキルポイントを使い切らなければならないわけではないしね。


 それよりもコンクエストで手に入れた〝キャンサーブラスター”だ。

 あんなところは僕にしか取れない、ということでドロップ権を頂いた。優しい人たちばかりでよかった。パーティ戦とかだとこういうアイテムも共有になることが基本だからね。

 

 なじみの武器屋に入ると、まずは弾薬の補給をする。熱線銃(ブラスター)用のエネルギーパック。

 熱線銃(ブラスター)はお気に入りなんだけど、連射力が低いのが難点だよね。接近戦に持ち込むためにはやはり連射力のあるハンドガンにしたほうがいいか。


「まずは……と」


 僕はさっき<ハインドF>からドロップした近接武器を鑑定することにした。カウンターに未鑑定武器を置いて、NPCの武器屋に鑑定を依頼する。店売りナイフじゃそろそろ攻撃力不足を感じているのでこれには期待だ。

 鑑定すると修理の時と同じく、一度ポリゴンが爆散してから再び収束。一つの武器が姿を現す。

 「イーグルブレード」。少し大き目の短剣と言えるだろう。微妙に湾曲する刀身が鷹の爪を模しているらしい。攻撃力はこれまでの武器よりはるかに上だ。思わずガッツポーズを取る。ドロップ運もあるけど、倒すの大変だったから嬉しさもひとしおだ。


「当たりをひいたなあ。よし、次に作成……と」


 ウィンドウを操作すると、武器作成の欄を呼び出す。

 任意の素材を入れることで新しい武器を作ることができる。同じ武器でも性能が違ったものができたりするから面白いのだ。ただ、本気で極めようとするとものすごくお金がかかる上にコンクエストもたくさんクリア必須な素材もあるらしい。

 僕はレシピを確認した。キャンサーブラスターに店売り最強の熱線銃(ブラスター)、いくつかの作成用パーツで武器が作れる。


「そういや新しく【武器作成】がスキルになるって噂があったなあ……」


 ネットのサイトで見かけた程度だ。信憑性はいまいち薄い。僕は気にしないことにした。


 さて、武器作成しないとね。とりあえずキャンサーブラスターをアイテム欄に放り込むと、いくつかのレシピが現れる。また、インベントリ内の使用可能な素材が青く光る仕様になっている。

 ここで普通なら店売り最強の熱線銃(ブラスター)「BRS-660」を投入するところなのだが、なぜか先ほど鑑定した「イーグルブレード」が青く光っていることに気付いた。

 レシピには無い。だが、気付くと僕は「イーグルブレード」を選択していた。

 豪華な効果音と共に、アイテムが消失。代わりにカウンター上に武器が作られる光が集まる。

 

 「ブラストソード」。


 カウンターの上には、一本の機械的な短剣が置かれていた。かなりレアリティは高い。

 イーグルブレードを素材にしたからか、通常のナイフより大きい。刃は音叉型をしているかなり特殊な近接武器だ。

 僕はブラストソードを手に取った。取得アイコンと共に、説明ウィンドウが開く。近接武器なのになぜか熱線銃(ブラスター)のエネルギーパックが必要らしい。とりあえず予備に購入しておく。


 武器作成失敗とかしなくてよかった。とりあえずこの「ブラストソード」の使い勝手を試しに行くとしようか。

 


<ステータス・スキル>


 名前:ユニオン

ジョブ:【工兵エンジニア】

 勢力:なし

レベル:40 未使用ポイント6

スキル:【片手銃マスタリー】10 【近接武器マスタリー】10

     【二丁拳銃】10 【装備重量軽減】4

     【修理】1 【操縦手】1

     【観測手】5

     【無人機マスタリー】7 【無人機防御】4 【無人機索敵】1

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