表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆ハーエンドかと思いきや『魅了』は解けて~5年後、婚約者だった君と再会する  作者: 志熊みゅう
家族になる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/59

26. 殿下の気持ちとエリカの気持ち

「つまり殿下はまだ王太子の座を狙っているから、エリカには本気になれないってこと?」


 アベルからの報告を一通り聞いて、なんか呆れてしまった。


 ファム・ファタール―男を破滅に向かわせる魔性の女


 とはよく言ったものだ。正直、ヴィクトル殿下が王太子に返り咲くのは難しい。まず決闘を申し込んだとしても、アレクサンドル殿下の方が実力が上だ。それにもし勝ったとしても、一度地に落ちた評価をもとに戻すのは難しい。そもそも王宮での評価を少しでもあげたいなら、今辺境にいるべきではない。早く王都に帰るべきだ。


「でも俺は、殿下が完全にエリカ嬢に絆されるのは時間の問題な気がする。それに大丈夫だよ。エリカ嬢はああ見えて結構ちゃっかりしているだろう?本当に殿下に脈がないと分かったら、すぐ割り切って次の婿を探すだろう。それに辺境とはいえ次期侯爵だ。貴族の次男坊、三男坊からしたら、これ以上ない優良物件さ。」


「そうかしら?」


 エリカの話では私が失踪したあと、隣国との抗争が激化し、"婿探し"の方は困難を極めたそう。ようやく見つけた子爵令息の婚約者にも学園時代に浮気された。婚約解消について『私がわがままだったのよ』と彼女は言うが、浮気した彼からは『王都を離れたくない』と言われたらしい。ただでさえ辺境だ。王都周辺で育った貴族の令息からしたら、こんな辺鄙なところに閉じ込められたくはないだろう。


「ならいいんだけど。心配ごとが増えたわ。」


 そういうと深いため息をついた。


 ***

 今日も父のもとに顔を出す。アベルとシモンも一緒だ。


 寝ているのかな?目を閉じている。一応声をかけてみたけどだめそうだ。


「シモン、アベル、ありがとうね。」


「問題ないよ。だってこれが今回の旅の目的だろ。」


「うん。」


 父の部屋を出て離れに戻ろうとすると、ガゼボに異母妹のエリカがいるのを見つけた。そういえば、この前はドラゴン討伐から殿下が戻られて、話が途中になっていたんだ。アベルに事情を伝えて、またシモンを預かってもらう。


「エリカ、今大丈夫かしら?」


 エリカは領地経営に関する本を読んでいるようだった。


「あら、お姉様。」


「この前の話の続きをしようかと思って。」


 それから私たちはお互いの近況報告をした。


「そういえば、殿下のこと、あなたはどう考えているの?あんな形で家を飛び出した私が言うことでもないけど、嫡子になっているのなら、あなたはいつか婿を取らないといけないでしょう?」


 少し核心をついた質問をしてみる。


「うふふ。心配はいらなくってよ。殿下はもう私から離れられないわ。実際遊びのつもりならとっくに王都に戻っているでしょ?それにしても、王位を完全に諦めてもらうには、どうしたらいいかしらね。――私にも赤ちゃんができたら、真剣に婿入りを考えてくれるかしら?とにかく、結婚式にはお姉様たちも招待するから、必ず来てちょうだいね。」


 天真爛漫そうに見えて、したたかなエリカに少し驚いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
中盤のエリカとの会話内で、突然前半のアベルとの会話が繰り返されています。重複してる文章の削除が誤字脱字報告機能ではできないため、感想機能でお知らせします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ