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※崩れ落ちる氷 現れる蛇

「ありがと、ソアラ。氷つけぇぇぇー!」


ソアラに回復されて体力が若干戻ったエミリアは、さらに冷気を強めてモンストゥル達を完全に凍結させようとした。


『甘い!』

『我等が火や冷気の対策をしていないと思うなよ!』


それに対してモンストゥル達は、全身に生えているキノコから赤い胞子を周囲にばらまいた。

それは放たれた瞬間から熱を持ち、モンストゥルの周囲に広がると今度は赤く発光して冷気を相殺するだけの熱を放射し始めた。


「なっ!なんでキノコが私の冷気を相殺出来るだけの熱を生み出せるのよ!?」

『馬鹿め!弱点や苦手なものがわかっていれば当然対策ぐらいするわ!』

『爆裂ダケや発熱を促すキノコを我等のネットワークで交配させて産み出した炎熱ダケ!』

『その胞子は冷気に反応し、その冷気を相殺する熱を生み出す』

『胞子さえ放出出来ればご覧のとおりだ!』


モンストゥル達の言葉を証明するように、モンストゥル達の表面の氷が少しずつ溶け出していた。


「くっ!ならもう一つの手を使うまでよ!」

「!止めろエミリア!」

「《時よ 遅延せよ! 流れに抵抗し 彼の者達の歩みを抑え込め!〔スロー〕!》」


エミリアはモンストゥルの言葉で次の手を打つことにした。

それを聞いたライハルトは慌ててエミリアに呼びかけたが、エミリアはそれを無視して次の手。新たな時の神術を発動させた。


『『『『『・ぬ・・ぅ』』』』』


すると動きが凍る前に戻りかけていたモンストゥル達の動きが再び鈍くなった。


「ゴォフッ」

「エミリア!」「エミリアさん!」


だがそれと同時にエミリアが吐血した。そして身体が傾き、それをソアラが慌てて支えた。

ソアラはエミリアの背中を擦りながら回復の神術を重ねがけしたが、エミリアの口の端からは血が垂れ続けた。


「エミリア無茶し過ぎだ!進めるならともかく、遅延や停滞は君への負荷が大きすぎる!」

「それ、でも、・・やらない、と、・いけない、の、・・よ」

「くっ!もう少しだ!もう少しでチャージが終わる!後もう少しだけもたせてくれ!」

「「「おう!」」」


エミリアの途切れ途切れの言葉にライハルトは沈痛な顔になったが、彼女の献身に報いる為に自分の成さねばならないことに集中した。

そんなライハルトを守る為にガイ達は攻勢の手を強め、少しでも時間を稼ごうとした。


『・愚、か』


モンストゥル達はガイ達の相手をしつつ、エミリアが動けなくなったことを好機と捉えた。


『吹き飛ぶがいい!!』


インファスは空を旋回させていたハンターホーク達をエミリアとライハルト目掛けて急降下させた。

そのハンターホーク達の身体からは無数の爆裂ダケが生え出しており、ハンターホーク達の身体も内側から膨れ出していた。


「させません!」


今日だけでさんざん爆破されそうになったソアラは、インファスが何をしようとしているのかインファスの言葉とハンターホークに生えてきている爆裂ダケから察し、エミリアを庇うように前に出て防御の神術を展開した。


「「「「ソアラ!」」」」


ライハルトはチャージ中で動けず、ガイ達もライハルトを守らなくてはいけないのでソアラ達を助けに動くことが出来なかった。


【それは困るな】


ドオォォォォォーーン!!!


ライハルトに向かっていたハンターホーク達はローザの魔法により空中で爆発したが、ソアラ達の方のハンターホーク達はそのまま地面に到達して大爆発を起こした。


「「「「ソアラァァァー!エミリアァァァー!」」」」


ライハルト達は大爆発の跡。その中に必死にソアラとエミリアの姿を捜した。


『無駄なことを』

『火力は十分だ』

『跡形もないわ!』

「・・・!いたわ!」

『『『『『ぬぁにぃぃぃー!!?』』』』』


そんなライハルト達を嘲る時の神術から解放されたらしいモンストゥル達は、ローザのあり得ない言葉に驚愕することになった。


「本当だ!」「いた!」「ソアラも!」「エミリアも!」

『『『『馬鹿な!あり得ん!』』』』


そしてライハルトはローザの指差す先。そこに血塗れで横たわるソアラとエミリアの姿を見つけた。


『あり得ん!大地からの追加はなかったとはいえ火力は十分のはずだ!』

『あの女は動けなかった!』

『もう一人の女だけで防ぐことなど不可能だ!』

『だが原型どころか五体満足で存在している!』

『『『『何故だ!?』』』』


その姿を認めたインファスは、あり得ない状況に混乱した。


「アイン!」

「おう!」


インファスが混乱して動けない隙をつき、アインが二人の保護に向かった。

遠目では二人が生きているのかわからないが、それでも五体満足ではいるのだ。二人が生存している可能性は高く、ライハルト達は二人が生きているのか確かめずにはいられなかった。 


「ソアラ!エミリア!生きてるか!?」

「「うっ、ううっ・・・」」


二人のそばまで来たアインが声をかけると、僅かながら二人からうめき声がした。


「生きてる!みんな!二人とも生きてるぞ!!」

「本当か!」「良かった!」「ああ!」

『そんな馬鹿な!?』


アインの報告に喜ぶライハルト達に対し、インファスは五体満足どころか生存していることでさらに混乱を極めた。


『何故だ!何故?今度はいったい誰の邪魔が入った!?』


インファスは一度エミリアの邪魔によってライハルト達を始末し損ねている為、すぐに第三者の関与を疑った。


『俺『我』だ』

「「「「『!?』」」」」


そんな時、二つの『声』がその場にいた四人と一体に等しく降りて来た。

そう、まるで天から直接自分達に届けられたような音ではなく言葉の声がしたのだ。


『『その女の持つ珠を傷つけるわけにはいかなかったからな』』


「双頭の、蛇?」

『貴方は!』『何故?』『お目覚めに?』


ライハルト達とインファスは声の出所を探して周囲を見回し、アインが最初に先程までいなかったものを見つけた。

それは血塗れのエミリアの杖。その先端の宝玉を咥えている頭が二つある青い蛇だった。

その蛇を見て驚いたのは、ライハルト達よりもインファスの方だった。


自分の邪魔をした相手が信じられなかった。

その相手が何故ここにいるのかがわからなかった。

進化の眠りについていたはずなのにいつ目覚めたのか知らなかった。

インファスのキノコネットワークの中で同じ疑問が行ったり来たりした。


『横やりを入れて悪かったな』

『だがこいつらの生死よりもこれを回収する必要があった』

『あいつ『あの子』に頼まれたからな』』

「「「「『!?』」」」」 


四人と一体が見ている中、双頭の蛇の姿は最初からそこにいなかったかのように忽然と消えた。

そして次の瞬間には、ライハルト達に一番近いモンストゥルの首元に巻き付きライハルト達を見ていた。


これにはライハルト達だけではなく、インファスの方がより驚いていた。




        接触を確認   

  宝玉を確保         神威検知




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