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錬金術? いいえ、アイテム合成です!~合成スキルでゴミの山から超アイテムを無限錬成!~  作者: 十一屋 翠
第7章 背徳の廃都編

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第198話 精霊王の頼み事

まさかのミズダ子強制帰還シナリオは不発に終わった。

 今の意味深な流れは何だったの!?


「えっと、すぐに精霊界に行かなくていいんですか?」


「ええよ。人間界に深刻な影響が出るのは数年か数十年かかるからの」


 数年から数十年って凄く感覚が広くない?


「人間達の旅など一瞬の事だからな。少しくらいなら出歩いていても問題ない。まぁ力をやらめったら振り回したら困るがな」


 成程、人間とは色々と感覚が違うんだな。


「でもそれなら何でミズダ子まで身構えたの?」


「その子は人間界で暮らしていた時間が長いからな。そちら側の感覚に馴染んでいるのだ」


 あー、そういうのあるよね。

 都会で働いてて、久しぶりに田舎に帰って来たら都会のあくせくしたスケジュールとあまりにも違い過ぎて感覚バグっちゃうやつ。

知っているか? 本当の田舎には電車なんて通ってないしバスだった一日に三本とかマジであるんだ。お婆ちゃんちがそうだったからびっくりしたよ。

 そしてバスの到着時間も……ってそれは関係ないや。


「そう言う訳だから遅くなりすぎないうちに精霊界に帰ってくるようにな」


「はぁ、分かったわ」


 こうして精霊王達との出会いは肩透かしな程にあっさりと終わった。


「ところでお嬢さん、ちょっと頼みがあるんだが良いかの?」


「え? 私ですか?」


 と思ったらまだ何かイベントがあったようだ。


「うむ、もしかしたら我々の抱えている問題を君なら何とかしてくれるかもしれんのでな」


 私なら何とか? 何だろ私で何とか出来る方法って言うと合成スキルくらいだけど……


「正式に代替わりはしていないが、刺激にはなるじゃろう」


 っていうかさっきから言ってる代替わりってなんなの?


「あの、その代替わりって「お断りだニャ」」


 私の言葉に被せて勝手に断るニャット。


「ちょっ、ニャット!」


「古い精霊に関わるもんじゃネーのニャ。コイツ等自分達の感覚ではニャすから不用意に付き合うと酷い目に遭うのニャ」


「酷い目?」


「精霊の世界は人間の世界に比べると時間の流れが違うのニャ」


「え!? それじゃここに居ると何年も経っちゃうの!?」


 知らない間に浦島太郎状態になっちゃうって事!?


「ここはまだ入り口の近くだから大丈夫よ。精々数時間って程度よ」


 入り口で数時間!?


「だから奥まで入り込むとそれこそ数年経ってもおかしくニャいのニャ」


 あっぶなかったー! 危うくオッケーしちゃうところだったよ。

 精霊王様達には申し訳ないけどここは丁重にお断り……


「引き受けてくれたら礼として人間達にとって貴重な鉱石や薬草などを山ほど用意するんじゃが」


「山ほど!?」


 めっちゃ儲かりそうな話の匂いが!!


「おニャー……」


 はっ! ニャットの心底呆れる視線が痛い!!


「時間のズレに関しては気にしなくて良いわ。私達の力で保護すれば目的の場所まで連れていっても数日程度で済むわ」


 と、肩を出したセクシーな精霊王が私を抱えて微笑む。

 えっと、これ捕獲されてません?


「そもそも何をしてほしいんですか?」


「うむ、ある人物、いや精霊に会ってほしいのじゃ」


「精霊に?」


「それならそいつをここに連れてくるのニャ」


「そうもいかんのじゃ。その者は精霊界の深い場所から動けなくなっておる」


「精霊界の深い場所って、行ったら何年も経っちゃう場所ですよね!?」


「さっきも言ったけど私達が保護すれば大丈夫よ。貴方にはあの人に会ってほしいの」


「会うだけで良いんですか?」


「ああ、それで構わない。それ以上は望まないよ」


 精霊王達が静かに頷く。

 どうも本気で会ってほしいみたいだ。


「分かりました。会うだけなら」


「おお! ありがとうお嬢さん!」


「カコ、おニャー」


「こんな頼み聞く義理なんてないのに」


 ニャットとミズダ子が責めるでもなく呆れた眼差しで見つめてくる。


「いやー、本気で困ってるみたいだし。ミズダ子の親みたいなもんなんでしょ。だったら少しくらい頼みを聞いても良いかなって」


「もう、カコってば優し過ぎよ」


「では行こうか。我等の古き友人の下へ」


 こうして私は精霊界の奥深くへと足を踏み入れることになるのだった。

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