表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/144

第18話『叡智の輝き』(2)

「ふむ……なるほど、なるほど! 実に興味深い!」


「悪魔にそんなジロジロ見られると気持ち悪いんだけど……」


「失敬失敬。加護のチカラで姿を変えられる……面白い以外ないではあろう!?」


「まあ、言われてみれば……そうだな。」


「その新たなチカラとやらを見せてくれたまえ。」


「いいけど……そんな期待されると緊張するな。」


「緊張など不要だ。吾輩の前で倒れぬ限り、恥ではない。」


「いや、ハードル高すぎるんだけど!?」


 カシオが口元を緩め、手をひらりと上げる。

 すると、訓練場に魔法陣が広がり、三体の木人形が召喚された。


「魔力反応を感知し、回避もする木人形だ。遠慮は無用だぞ。」


「よし……行くか!」


 俺は呼吸を整え、構えを取る。

 ベルトに手をかけ、叫んだ。


「女神・ミリアの叡智、その光を――我に!」


 光の魔法陣が展開し、淡い銀光の装甲が体を包む。

 背中に小さな羽が展開し、視界が一気に冴え渡った。


『――《ソフィアフォーム》、起動!』


「視界が……広い!? 敵の動きが、見える……!」


(ふむ、光のエレメントゆえか……知覚と反応速度の強化型――)


 カシオが興味深そうに目を細める。


「タイガ、光を制する者は戦場を制す。お前の力、試してみるといい。」


「了解――行くぞっ!」


 その瞬間、銀の残光を引いて駆け出した。

 回避行動を取る木人形を先読みして、連撃を叩き込む。

 フォームチェンジによる強化だけじゃない。

 まるで――戦いの流れが“見えている”ようだった。


「……なるほど。知恵と希望、ね。」


「どうだ、カシオ。これが――“光の叡智フォーム”だ!」


「ふふ……上出来だ。だが、希望は光の中にこそある。ならば、闇に立ち向かう覚悟を、そろそろ学ぶべきだな。」


「……闇に?」


「そうだ。お前がその力を得たのは、偶然ではない――必然だ。」


 そのとき、カシオの包帯の下から、わずかに紅い光が漏れた――。


「さて、打ち込み稽古と行こうか。その武器のチカラも使いこなすのだ。」


 俺は右手を前に突き出す。

 ベルトから剣が出て右手に収まった。


「それは貴様の戦闘スタイルを変えられる。タイガ、貴様に問おう。その姿と合いそうな武器はなんだ。」


「相手の行動が先読みできるなら、剣とか……?」


「確かに、その姿は知略に優れる……ただし、肉体的な強さは変わらないみたいだ。そこから考えられるのは――」


「遠距離系?」


「大正解だ。弓での予測撃ちを光のチカラで強化……百発百中の狙撃手となれるやもしれんぞ?」


「めちゃくちゃ強そうじゃねえか!」


「そうであろう? ならば――吾輩との実戦型訓練と行こうか、無論準備はできているな?」


「ああ!」


 銀色の光が走り、オーロギアが弓へと姿を変える。弓を手にし、俺は構えを取る。

 カシオは紅い魔力をまとい、妖しく輝いた。


「行くぞ、タイガ。悪魔相手に怯むなよ?」


「望むところだ……!」


 瞬間、俺とカシオの間に稲妻のような衝撃波が走る。

 光と闇――二つの力がぶつかり合い、訓練場を震わせた。


 その日、俺は初めて“悪魔の力”と本格的に相対した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ