第07話『銀髪の盗賊』(1)
俺たちはモルティナの店で一晩を過ごした……
そして、朝。
「さあ、皆さん! ダンジョン攻略報酬を貰いに行きますよ!」
朝日が差し込み、モルティナの店内が金色に染まる。
彼女の一声に起こされ、俺たちは眠い目をこすりながらギルドへと向かった。
「ふわあ、眠いわねえ……」
「そうですね……昨日のことを思い出しただけで……うう」
レイとルミネルが愚痴をこぼしながら、俺たちはギルドへと入った。
「おはようございます! ダンジョン調査報酬ですね! 収集品も含めると――――」
「「「いえーい!! かんぱーいっ!」」」
心地よい音と共に、グラスの中のジュースやお酒がはねる。
「おめでとうございます! 借金なくなってよかったですね!」
「いやあ、モルティナのおかげだな!」
そう、借金がなくなった。ダンジョン調査報酬が五千ペク、そして、スケルトンキング討伐報酬が十万ペク……そして、手に入れたお宝などを売り払って――合計が二百万ペク……つまり、借金である一万メルは軽く超えていた。借金を返済しても百万ペクが余ったので、俺たちはちょっとした小金持ちになったのだ。
だから、借金完済記念にギルドで食べまくっているのだ。
「食え食え! 借金もないし! 俺たちには今そこそこのお金もある!」
「ふん! 言われなくてもそうするわよ!」
女神はお酒を片手にステーキを頬張る。
「……思えば、ここまで長かったな。」
グラスを傾けながら、ふと天井を見上げる。
あの初日、右も左もわからずギルドで頭を下げていた自分が――今はこうして仲間と笑い合っている。
……悪くない。
ギルドのざわめきも、仲間の笑い声も、今だけは心地よかった。
モルティナが俺に言った。
「タイガさん? お酒飲まないんですか?」
「いや、俺はまだ未成年だから。」
「未成年? 何言ってるんですか? この国は、誰でもお酒飲んでもいいんですよ?」
え? そうなの? さすが異世界。
……まあ、親戚の集まりで間違えて飲んでしまったお酒の味を思い出すと――飲む気は湧いてこない。
「ま、まあ、今日は飲まなくてもいいかな……」
――まあ、異世界に来てまで、"酒の失敗"はしたくないからな。




