第06話『新居とお化け騒動』(2)
「ぎゃああああああ!」
「きゃああああああ!」
建物内に悲鳴が響き渡る。
「な、なんだ! ルミネルか!」
「わっ! タ、タイガでしたか!? 驚かせないでくださいよ!」
この豪邸……出ます。そう出るんですよ――お化けが!!
モルティナさん!? 除霊したんじゃなかったのかよ!?
「――――――!」
廊下の奥から甲高い声が聞こえてきた……心臓がバクバクと鳴る。
「ル、ルミネル! に、逃げるぞ!」
「は、はい!」
「タ――どこ――!?」
あれ? この声ってレイじゃないか?
「ルミネル! この声の主はたぶんレイだ!」
「そ、そうですか!? なら、安心ですね!」
ふう、とても安心した。仮にも女神で最上級職である《プロフェット》なのだ、お化け相手ならこれ以上に心強い奴はいない。
「あ! 見つけた! どこ行ってたのよ!」
「えっと、俺は――」
寝ようとして、布団に入ったら部屋が異常に寒かった。ふと窓の外を見ると……人魂みたいなのが見えた。気づいた俺は、不意に目を逸らして、横を見たら……日本人形やロシアン人形みたいな奴がいたのだ。そして、部屋から逃げてきた。
「ルミネルはどうなんだ?」
「わ、私ですか!? 私もタイガと一緒ですよ?」
「どうする……逃げるか、立てこもるか……」
「立てこもったほう……が――ッ!?」
ルミネルの目線の先を見ると……何かが来ている廊下の奥からだ。廊下の灯が揺れ、空気が冷たくなる。
全員、息を呑み……周囲に静寂が広がる。
ヒュンッ! 白く丸い物体が飛んできた。
「危ないっ!」
とっさに身をひるがえした俺の横で、物体は――レイの顔面に直撃した。
「痛っ! しかも、これ生卵!? もう許さないわ! ここら辺の幽霊全員、この世から消してあげるわ!」
あの発言! ほんとに女神か!?
そして、レイに生卵が当たったのを見て、幽霊たちはどこか笑っているように見えた。
「……えっと、レイが暴れてくれてるうちに立てこもっておきませんか?」




