表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/144

第06話『新居とお化け騒動』(1)

ーースウェリア


「ようやく戻ってきた……」


 スウェリアからすぐの森にあるダンジョンに行っただけなのに、ボス討伐にでも出ていた気分だ。


「一旦、私のお店行きますか? ギルドの営業終了時間に間に合わないかもですし、明日ギルドに行きましょ!」


「そうだな……一旦休憩してから――馬小屋に帰るか……」


「あああ、もう馬小屋は嫌ああ――」


「タイガが夜中に何かコソコソしているのが気になって、全然眠りにつけないので私も少し嫌ですね……でも、私たちは借金があるので仕方ないでしょう。」


「し、してねえ!」


 はあ、と二人揃ってため息をつく。たしかに俺も馬小屋生活は嫌だ、干し草のチクチク感だったり、馬のにおいに、小さなハエみたいな虫が多いし……だけども――今の借金生活で宿に泊まるのは最弱職が魔王討伐に行くくらいの勇気が必要だ。しかも、毎日宿に泊まるということは毎日クエストに行かなければいけないし……はあ――


「あの……私の魔道具店の横にある家が空き家なんですけど……住みます?」


「「え?」」


「やたー! 馬小屋暮らし卒業ね!」


「じゃあ、早速行きましょうか!」


「「え?」」


「タイガ! ルミネル! 何ボケっとしてるのよ! 早く行くわよ!」

 


 来てしまった……馬小屋暮らしからの一軒家暮らし。いや、借金あるのに。


「おお! すごいわねえ、この家!」


「タイガ。お金がないのに……来てしまいましたよ。」


 この状況に危機感を持っているのは、俺とルミネルだけみたいだ。


「な、なあ、モルティナ? こんな一軒家……と言うよりも豪邸に住んでいいのか? 俺らは今、借金あるんだぞ?」


「あ、説明してませんでしたね! 実は――」


 モルティナが意味深に笑みを浮かべた……

 


 俺たちはちょっとした豪邸に住むことになった――条件付きで。

 

 この土地はモルティナが営業する魔道具店の土地の一部らしい。そして、この家に住んでいた霊を除霊したお礼にこの土地をもらったそうだ。その上、土地代と建物代は無料になっているのだと。

 規定より土地が大きいために、税金がかかるらしく……俺たちがこの家に住んで、俺名義で土地を管理することで、無駄な出費をなくしたいらしい……つまり、俺は“名義だけ家主”ってやつか。あれ? 俺、完全にモルティナに利用されてないか? いや、でもモルティナは真隣の魔道具店に住むって言ってたし……よくわからなくなってきた。


「まあ、それでもこの家もらえるならいいか。」


「タイガ! タイガ! 見てくださいよ、この家すごく広いうえに、まさかの二階建てですよ!」


「私、一つ部屋もらってもいいかしら!」


「一人一部屋な。」


 ――まあ、生活拠点が手に入ったし……いいか。……たぶん、いいか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ