第05話『指輪の意味』(2)
「到着しました! 入り口です!」
ようやく外だ。ずっと薄暗い空間にいたので、陽の光をより眩しく感じる……いや、引きこもりだった頃に戻ったような少し懐かしい感覚だ。
「ああ、おかえりなさい。待ちくたびれましたよ……」
ルミネルの声が聞こえたがどこにいるかわからない。
「どこにいるんだ?」
レイも横でキョロキョロと辺りを見回している。
「ここですよ! 今、タイガの目の前にいるじゃないですか!」
そこにあるのは空気だけだ。
「おい、まじでどこにいるんだ!?」
「あの……」
モルティナが恐る恐ると言った。
「認識阻害の魔法かけたままでした――」
「「「あ……」」」
ルミネルに認識阻害をモルティナがかけたのを、すっかり忘れていた。
「解除!」
すると、目の前にルミネルが現れた。
「忘れるなんて、酷いじゃないですか! それでもパーティーメンバーですか!?」
ルミネルはプンスカと怒っている……が、そこまで怖くはない。
「悪い悪い。すっかり忘れてたよ。」
「ま、まあ無事に帰ってきてくれたので許してあげてもいいですよ?」
何この子……もしかしてツンデレか!?
「あ、そうだった! はい、お土産だ。」
俺は宝物庫でルミネルへのお土産として取ってきた紫に耀く宝石の指輪を手渡した。
「……え!? ま、まだ私たち、出会って間もないですよ!? ま、まあ、もうできない年齢では……ないのですが……で、でも私、まだそういうつもりじゃ……! あわわ、わ、私の初めての……! あああ、私、まだ心の準備が……! い、いや、で、でも…嬉しい…けど…! ど、どうしよう、私、こんな気持ち初めて…!」
ルミネルは紫の瞳を輝かせ、顔を真っ赤にしている。もしかして、照れているのだろうか。かわいいところあるじゃないか、たまにはプレゼントするのも悪くはないな…と思っていると
「ルミネル、タイガはこの世界の常識を知らないから気にしないであげてね?」
うん? 何かやってしまったのか?
「そ、そういうことですか!? ……な、なら、気にしないでおきます――あああ、びっくりした。」
そして、ルミネルは大事そうに指輪を胸に抱えた。
俺はこっそりとモルティナに聞いてみた。
「なあ、モルティナ。なんか俺やっちゃった?」
「えっと……この世界では男性からプレゼントされた指輪はこん――いえ、なんでもありません。」
「え?」
まじでなんかごめんなさい。
レイが俺に近づいてきて、ひとこと――
「タイガさん。おめでとう! 女神として祝福してあげるわ! どうぞ末永く爆発なさいな!」
「――え、え、俺…なにやらかしたんだ!?」
俺まじでなにやらかしたんだ!?
「(タイガさん……知らないのだろうけど、この指輪は…ちょっと特別な意味があるんですよ…)」
と、モルティナは心の中で囁いた。
「ま、まあ、よくわかんないけど……帰ろうか。」
「そ、そうですね!」
「ええ、もうちょっと揶揄いたかったのにー!」
「ふふふ、タイガさん。少しは常識勉強したほうがいいかもですよ?」
【あとがき】
…皆さん! ルミネルがすごくかわいくないですか!?
もちろんかわいいですよね!?
言いたいことは以上です。笑
では、また次回!




