第24話
ブシュっと、ナニカの音が響きました。それは変な男の人がいた会場で響いた、光の粒が人に当たる音。
その音を聞いたおじいさんと男の人は首をひねったと思います。
「ん、いま、ナニカ音がしなかったか?」
「たしかに妙な音が、おっと、各種エラーの原因が特定されたよう―――――えっ!?」
「どうした?」
「ち、地上の管理システムが乗っ取られています!」
「なっ!? 詳しく説明しろ!」
「それが、データの大部分が虫食い状態でして。え~っと、乗っ取りを行ったのは二人の男女? 送り手は……お父さんとお母さん? 娘を連れて――――あ、なんてことだ!」
「何をそんなに驚いている?」
「あの少女は――――生体ドローンだ!」
「ドローン?」
「はい! お父さんとお母さんと呼ばれる者、もしくは別の男女が塔を攻略するために少女を造り、送り込んだ」
「つまり、あの娘は人型を模した探査ユニットか?」
「ええ、人間のDNAデータを元に構成された探査機です! 計画では必要な情報収集のみの予定で、少女は途中で死亡するはずだった。ですが、想定外の問題が生じて、ここまで訪れたしまったようです」
部屋の中のお二人は、パーティーのように賑やかです。
私は部屋のロックを解除して、そのパーティへお邪魔しました。
兵士さんからいただいた銃を手にして……。
「二人とも動かないでください」
「なっ!?」
「へ?」
「あ、よく考えたら、二人ともいらないですね」
ブシュっ、ブシュっと二回音を立てると、二人はお肉になりました。
「兵士のおじさんの血はいまいちでしたけど、二人はどうでしょうか? 上の人は美味しい人ばかりと思っていましたけど、そうでもないのかもしれません。まぁ、あとでお肉としていただくとしましょう」
私は瞳を閉じて、暗闇の世界で見た、もう一人の私の味を思い出し、舌先を唾液に溺れさせます。
「あの人よりも美味しいものはあるのでしょうか? うん、きっとある。だって宇宙は広いんだから。そのためにはまず、この施設を把握して、掌握しないと」
私はラボ内に備え付けれていた生体演算機――ニューロコアさんにアクセスします。
施設内にある物は……。
・バイオラボ・無菌クリーンルーム・インキュベーションルーム。
・マイクロマニピュレーター・DNA抽出と解析装置・SCNT(核移植装置)。
・培養インキュベーター・細胞培養液・電気癒合装置・バイオリアクター。
・そして、タイドリフト=ジェネレーター(時間の波を操る装置)。
「囚人を実験道具に使うため? フフ、おかげさまで助かります。これだけあれば、私を増やすことが可能ですから」
私一人だけでは、宇宙に広がる美味しいを全部見つけることはできません。
ですが、私がたくさんいれば、宇宙にあるすべての美味しいを見つけることができます。
たくさんの私たちの意識を量子のもつれで結んでしまえば、情報は共有できますし。
「あとは……惑星間転送装置。これがあれば、別の惑星へ瞬時に移動できる」




