第13話
奥の部屋にはぐるぐるの階段と……壁のない場所がありました。
あそこからお外を見ることができます。
だけど、そのお外の様子が少し変です。
恐る恐る、近づいてみます。
お外からはとても冷たい風が流れ込んできて、じくじくと痛む傷を少しだけ和らげてくれます。
私は風の向こう側へ、片方だけになったお目目を向けました。
そこに広がっていたのは――暗い場所。暗いお空。
だけど、暗いお空の先には、たくさんの光があります。
顔を少し下げて、遠くを見ました。
遠い遠い向こうにまで灰色の雲が広がっています。
雲はゆるやかに曲がって見えて、遠い場所では青と暗いお空が混じり合っていました。
不思議なお空を見ながら、考えます。
「お空は、灰色と青色と暗いところがあるんだ」
私がいつも見上げていた空は灰色の雲。
塔の途中に見た空は青色。
そして、もっと高い場所にある空は暗くて光がたくさん。
青い空を見つめすぎた時は気持ち悪くなりましたが、暗い空を見ているとちょっぴりだけ胸がドキドキします。
真っ暗なお空。
光がいっぱい広がって、にぎやかで、とても……とても……とても、なんでしょうか?
その気持ちを知っていると思うのですが、思い出すことはできませんでした。




