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屍食い少女は永遠の塔を登る  作者: 雪野湯


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第11話

 ぐるぐるの階段丸い部屋。ぐるぐるの階段丸い部屋。

 ぐるぐるの階段、そして……四角の部屋?



 私は部屋の前で立ち止まります。

 先にあるのは、初めて見る形の部屋。

 今までの丸い部屋よりも、少し狭い気がします。


 足を踏み入れます。

 固くて真っ白な地面……だけど、草履越しにほんのりと温かさが伝わってきます。

 それに、どこからか妙な匂いが漂っています。

 鼻をツーンと突く、生ぬるくて、腐りかけたお肉のような匂い。

 どこから匂ってくるのでしょうか?


 顔を奥へと向けます。入り口があります。どうやら、もう一つ部屋があるみたいです。

「部屋が狭いのは、二つに分けてるからかな?」


 手前の部屋にはぐるぐるの階段は見当たりません。きっと、奥の部屋にあるのでしょう。

 そう思い、部屋を歩き、中央に来たところで、固い地面がぐにゃりと歪みました。

「え?」


 地面だけではありません。壁も天井も歪んで、そこから鼻の突く匂いを纏った液体がしたたり落ちてくるのです。

 それが私の体に触れると、ジュウという音を立て、皮膚の表面のお肉がどろりとなり、ずるりと剥けます。



――ここにいてはダメ!



 そう思い、奥の入り口に向かって駆け出すのですが、地面が柔らかく、さらに地面からも液体が溢れ出し、草履をぐちゃぐちゃにして、足の裏をどろどろにしていきます。



 そのせいで、倒れ込みそうになりました。でも、しっかりと踏ん張り耐えます。もし、倒れたら、全身がどろどろになってしまうでしょうから。


――ビュッ!


 突然、地面から液体が噴射して、それが右のお目目に当たりました。

 皮膚と触れた時と同じくジュウという音が響いて、今まで味わったことのない恐ろしい痛みを感じます。



 そうであっても、私は倒れることなく必死の思いで走り、最後の力を振り絞って奥の入り口へ頭から飛び込みました。


「うが、うぐぅぅぅ」


 奥の入り口の先は、普通の固くて白い地面に壁と天井。

 私は息を荒げながら、自分の体の状態を確かめます。


 着ていた服のあちこちに穴が空いて、手足の皮膚はどろどろで真っ赤なお肉がむき出しになっていました。


 ひりひりと痛む右のお目目に、そっと触れます。

 ずきりとした痛みの後に、ナニカが零れ落ちました。

 それは…………私の右のお目目。

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