最終話 そこにナイトは居る
来た……! 食材の想いっ! 来たっ! これで勝つる!
俺たちの内側から、そして外側から集う食材たちの想い。
それは、人間たちの想いと溶け合い、混じり合い、更なる力へと昇華されていった。
それは【命】だ。純然なる命だ。
それは【祈り】だ。未来を信じる命たちの祈りだ。
「この想いっ! 力に変えてっ! 真・身魂融合っ!」
全てを喰らうものにはできない、想いを喰らう、という行為。
【全てを受け入れる者】たる俺だけができる、唯一無二の食事。
莫大な想いが俺の中に入り込んできた。
そこにはもちろん、不純な想いだって入り込んでいる。
でも、それらを含めての命であり、祈りなのだ。
全てを受け入れよう。そして、全てを受け止めよう。
頂点にして、最底辺である俺が。
『エルちゃんっ! 精霊たちの想い……受け取って!』
「エリンちゃんっ! よし来たっ!」
どうやったかは分からないが、エリンちゃんが精霊たちの想いを引っ提げて参陣。
その途方もない想いの量にちょっぴりたまげるけど、やはり彼女は精霊王であり、俺にはできない事をやり遂げたのだ、と素直に尊敬する。
『エルドティーネっ! にゃんか分からにゃいのをいっぱい持ってきたにゃ!』
「えーっと……獣たちの想い? なんか物凄く大雑把」
『珍獣だから仕方がないにゃ』
「お、おうっ」
ミオも獣たちの想いを持って参上。
機体が機体なだけに、より多くの珍獣たちの想いが集ったもようで。
もちろん、これらもいただきます。
「エルティナイトっ!」
『あぁ。やはり、おまえは全てを喰らう者とは違う。彼女らは一人で全てを背負い過ぎた』
鋼鉄の騎士は異形と化した闇の渦を見据える。
悶え苦しむ、かつてジャークと呼ばれし人間はしかし、それでも笑みを見せた。
それは、壮絶な笑顔だった。そして、勝利を確信したかのような、そんな笑顔だった。
「彼に応えよう」
「あい~ん」
『無論だ。その為に、俺はここに居る』
すっと大きく息を吸う。
その何の変哲の無い行為。ただの深呼吸。
それですら、今の俺たちにとっては膨大なエネルギーを生み出す行為になる。
全ては俺の中に、全ては他者のため。
他者は俺の全てであり、他者は全ての俺のため。
―――今ここに、全ての命の意志を集結させん。
ルナ・エルティナイトが右手を掲げる。そこに小さな輝きが生まれた。
白とも、黒とも、金とも銀とも分からない。
目まぐるしく変化するそれは、紛う事なき様々な想いが集いし証明。
どんどんと膨張してゆく想いはやがて、一つの形を成していった。
それは【槍】だ。
想いを貫く決意。全ての命の想いは、その形を選択した。
これからも続く困難を、この日に経験した想いを以って貫いて見せる、という決意表明。
それが、この形を選択したに違いなかった。
「ふははははははははっ! それが、【全ての命の意志】か!」
「そうだ! これが、全ての命がっ! あんたに捧げる!【可能性】だ!」
「是非も無し!」
暗黒の渦がどんどんと膨張してゆく。
それはもう、惑星レベルとかそんな規模ではなかった。
「……銀河レベルかしら? 大きいわね」
「暢気な事を言っている場合ではござらんよ」
「……大きければいい、という段階はもう過ぎてるのよ。あとは、生きよう、という想いが強い方が勝つんだもの」
ヒュリティアが俺の左手を握った。
「そうでござるな。拙者も、生きる、とかつての自分に誓ったでござる」
ザインちゃんが俺の右手を握った。
「侍とは死ぬことと見つけたり……もう侍は名乗れないでござる」
「死ねないもんな」
「およよ……美味しいところは全部、男が持って行くでござるよ」
「あっはっはっ! でも今回ばかりは、うちら女が全部持ってくんやないか! 気にしたらあかん!」
「あい~ん」
「ぶろ~ん」
アイン君とブロン君が、ぽっちゃり姉貴の両肩に。
そして、ぽっちゃり姉貴が俺の両肩に手を置く。
「さぁ、仲間たちが仕上げを送って来とるで」
「うん、感じるよ。みんなの想い」
人間も、獣人も、鬼も悪魔も珍獣も、全てが一つに集う。
それらを全て喰らって、鋼鉄のナイトは想いの槍を完成させた。
それは惑星レベルを超える大きさの槍。しかし、込められた想いはそれを遥かに凌駕するであろう量。
もしかして……いや、二度と作り出せないであろう。
最大、最強の最終決戦武装。
「いくぞっ! みんなっ!」
全ての命の想いを重ねて、今――――!
「エルティナイトっ!」
『応! ここに、全ての決着を!』
『「思念創世器・全命貫槍!」』
エルティナイトが暗黒の渦に輝ける槍を投擲した。
それはゆっくりと動き出し―――気付いた時には暗黒の渦に着弾していた。
いつ、そこに届いたなど分かりはしない。
完全に物理法則など通用しない段階に到達していた。
まるで、投げたら当たる、という馬鹿げた理論が適用されているかのようだった。
「ギオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
それはジャーク十三世の悲鳴であり、そして、彼の悲鳴ではなかった。
全ての悪意の断末魔。
それを裏付けるかのように、ジャーク十三世は満面の笑みを浮かべていたのだから。
「消えてゆく……【全ての命の悪意】が……」
『消えてゆく……【全てを喰らう者】が……』
全ての命の想いによって、呪われし者たちが光の中へと消えてゆく。
多くの悲しみを生み出して来た者たちが、希望を渇望する何の変哲もない人々の想いによって。
何ものにも滅ぼすことができなかった存在たちは、何者でもない人々によって消滅してゆく。
これは正しく、この世に英雄などおらず、誰しもが英雄であることを示すものに違いなかった。
だが、これはその逆もあることを意味しているのだ。
俺たちは、これからも戦い続けるだろう。
俺たちは、これからも悩み続けるだろう。
迷い、苦しみ、そして、答えを探し続ける。
それが命だ、と理解したのだから。
―――ありがとう。未来を行く者たちよ。
最後に、感謝の思念が伝わって来た。
それは、全ての命の悪意、そして、全てを喰らう者の感謝の思念だった。
『終わったな……』
「あぁ。さぁて、こっからどうするかだな」
真っ暗な空間に浮かぶ俺たち。
それもそのはずで、全ての命の悪意に太陽を食べられてしまったのだ。
つまり、この状態はどう足掻いても絶望状態。バッドエンドがアップしている。
ここまで来てGameOverとか許されない。
何がなんでも解決策を見つけ出し、激烈ハッピーエンドを迎えて差し上げろっ。
『俺にいい考えがある』
「おいバカやめろ。絶対にろくでもない考えだろ」
『ナイトは起死回生の打開案を108持っている』
「マジパネェ。期待してないけど、一応聞くます!」
それは【太陽を作り出す】というものだった。
「うん、それができたら苦労はしない」
『おいぃ、ナイトの最高の発案をディスるとか、おまえ忍者だろ』
「残念、珍獣白エルフだぁ」
『きたない、白エルフ。流石、白エルフ、きたない―――というわけで、ムセル』
『レディ』
ムセル兄ちゃんが降着状態になり、コクピットを開放する。
すると突然、俺の身体が幼女形態になり、宙に浮かび上がった。
ザインちゃんも同様に、幼女形態に。
「これはっ!? エルティナイトっ、おまえの仕業かっ!?」
『イグザクトリーっ。ナイトは割と何でもできる。でも、ぽっちゃりネキは自力でネオ・ヴァルハラに戻ってどうぞ』
「あんた、何するつもりや?」
『とってもすんばらしい事だ』
「……分かった」
ぽっちゃり姉貴はどこか悟ったかのような表情を残し、肉体を土へと変えて崩れ去った。
恐らくはネオ・ヴァルハラの花壇辺りに【土渡り】をおこなったのであろう。
『黒エルフもルナティックに行ってもらおうか』
「……あなた、何をするつもり?」
『黄金の鉄の塊のナイト以外にはできない事だ』
「……答えになっていないわ。もっとハッキリと―――」
『時間切れで~す』
ふっ、とヒュリティアの姿が消えた。
そして、少し遅れてヒュリティアの苦情の通信が。
でも、それも切られてしまったという。
『ブロン君も行ってくれ』
「ぶろ~ん……」
『泣くな、笑え。男の子だろ』
「ぶろ~ん!」
ブロン君は泣きながらルナティックのヒュリティアの下へと向かった。
「エルティナイトっ! 何をしようってんだ!? 事と場合によっちゃ許さないぞっ!」
ここまでくると焦燥感しかない。おまえは何をするつもりなんだっ。
『アイン君もだ』
「いあ~んっ!」
『……俺はこのために生まれてきたんだ。エルドティーネを頼む』
「あいあ~んっ!」
アイン君が泣きながら俺たちの下へ。いよいよのっぴきならぬ事態と確信する。
「エルティナイトっ!」
『ナイトはよ、太陽だからよ』
「―――っ!? お、おまえっ!」
常々、エルティナイトはそれを口にしていた。
いや、だからなんだっていうんだっ。
おまえに太陽の代わりなんて――――っ! いや、まさかっ!?
『今の俺には、全ての命の想いという強大な力が宿っている』
「やめろっ! そんなことをしたら、おまえはっ!」
『ナイトは希望でなくてはならない。それが、どんなに辛い選択でもだ』
「ふざけるなっ! おまえがっ、おまえが居たからこそっ! 俺は、俺たちはっ!」
言葉にならない。頭の中がぐちゃぐちゃになって、出てくるのは怒鳴り声だけだ。
「えるてぃないとっ、それいがいに、ないでござるか?」
『今、この状況を逃せば、この世界は凍り付いた世界になってしまう。間違いなく全ての命が死に絶えるだろう』
「……さようでござるか」
諦めんなよ! まだ、別の方法があるはずだろ!
「っ! そうだ! 俺が光素で太陽をっ!」
『無理だ。持続させれるのか? おまえには、おまえの役目があるだろう』
「で、でもっ!」
『エルドティーネ』
今まで聞いたエルティナイトの声で、一番優しい声だった。
それは同時に、男が覚悟を決めた、というものであり、決して覆らないであろうことに気付いてしまった瞬間でもあった。
『ムセル、後の事は任せた』
『マカセテオケ』
ムセル兄ちゃんがコクピットを閉じた。
そして、エルティナイトのコクピットから抜け出る。
離れてゆくエルティナイトの姿。
光り輝く鋼鉄の騎士は微笑を携えていた。
『忘れるな、おまえのその優しさを。もし―――辛くて前に進めなくなったら、その時は天を見上げろ』
「行くなっ! エルティナイトっ!」
『そこに太陽は居る』
エルティナイトが激しい輝きに包まれ、宇宙の彼方へと飛んで行く。
「エルティナイトォォォォォォォォォォォォォッ!」
そして、暫しした後に、宇宙は大いなる輝きに包まれたのだった。
◆◆◆ エピローグ ◆◆◆
【精霊王】エリン
精霊たちの願いを聞き入れ、真なる精霊の王となる。
人間と精霊たちの架け橋となり、人と自然との調和に尽力した。
【精霊王の父】マーカス
今もキアンカの戦機工場で、その腕を振るっている。
実は早く孫の顔を見たいという。
【情報屋】ジェップ
情報屋を引退。今はグルメ雑誌の編集長を務めている。
【戦機同盟長】ルフベル
戦機乗りたちのための法整備に尽力した。
赤ん坊に戻ってしまった一人娘が可愛くて仕方がない。
【特異点を喰らう者】クロヒメ
赤ん坊生活をエンジョイしている。
将来は巨乳を目指し、ミルクの摂取に余念がない。
【天空の剣】ラルク(モヒカン兄貴)
ドワルイン王国エンペラル守備隊長に封じられる。
同時に戦機教導隊にも所属。その操縦技術を後世に伝えた。
【タフガイ】レダム(スキンヘッド兄貴)
ドワルイン王国エンペラル守備隊に所属。後に副官に納まった。
しかし、一年後に除隊。今は戦機乗りとして世界各地の紛争地帯に武力介入している。
彼の活躍により、多くの牙無き者たちが救われたという。
【ミーシャの夫】ロイス(ゴーグル兄貴)
最終決戦時のどさくさに紛れてミーシャに告白。
彼女は呆れたものの、その告白を受け入れる。
最終決戦時に利き腕を失い戦機乗りを引退した。
【ロイスの嫁】ミーシャ(ワイルド姉貴)
最終決戦時、ルビートルのコクピット内にてロイスの告白を受け入れる。
被弾時、コクピットに損傷を受けるもロイスに庇われ九死を脱した。
その後は戦機乗りを引退しロイスと共にパン屋を営む。評判は上々のもよう。
【ミスリルの精霊】ミーちゃん
ロイス夫妻の下に落ち着いた。
ルビートルはもう動かないが、彼らの戦った証として大切に保管されているもよう。
【おぼっちゃま】ロキリズ
有り余る財産で独身生活を満喫している。
時折、ヒュリティアをデートに誘っているが成功した試しは無い。
【メカニック】アナスタシア
戦後、アマネック社に戻る。
ヤーダンと怪しい戦機を作っては叱られているらしい。
【縁の下の力持ち】オースト
アマネック社に残り、アナスタシアを支えた。
【火を宿す者】ガンテツ
モモガーディアンズ二代目代表に就任。
問題児ばかりの構成員に四苦八苦しながらも、第六精霊界の平和に尽力している。
【水を宿す者】ヤーダン
アマネック社に戻り戦機開発スタッフとして活躍中。
虎熊童子と結婚し、そのお腹には新しい命が宿っている。
【水の半精霊】アクア
よちよち歩きができるようになった。
活発に動き回るので虎熊童子は目を離せない。
【風を宿す者】ファケル
戦いの後、誰にも何も告げずに姿を消した。
風の噂では【通りすがりの正義の味方】をしているとか。
【土を宿す者】グリオネ
戦いの後、姿を消した。
風の噂ではファケルと一緒に歩く姿が見かけられたとか。
【ドワルイン王国国王】フルベルト
エンペラル帝国を吸収し巨大王国を統治する。
荒廃したエンペラル地方の復興に人生を捧げた。
【ドワルイン王国王妃】リューテ
フルベルト王を生涯支え続けた。
王子三人、王女五人を設けたという。
趣味で戦機に乗り、アリーナにも出場したという噂がある。
【ドワルイン王国摂政】マックロイ
フルベルト王を良く支えた。
胃薬は彼の永遠のパートナー。半分が優しさが出来ているらしい。
【ドワルイン王国大臣】ゲアルク
マックロイの相棒となる。
彼無くしては仕事が立ち行かぬ、とまでマックロイに言わしめた。
【双子のメイド】マウリとべリアーナ
生涯リューテ王妃に仕えた。
ポンコツぶりは最後まで直らなかったという。
【オカーメ隊隊長】フレア
戦後もオカメインコとしてアリーナで活躍。
またオカーメ隊の隊長としての二束わらじを続けたという。
後にレオンと結婚。二児を設けた。
【アリーナの絶対王者】レオン
戦後、自身を看病したフレアに告白。受け入れられる。
傷が癒えた後、アリーナに復帰。
瞬く間に王者に返り咲き、人々に夢と希望を与え続けた。
その息子の輝かしい姿を、戦機乗りを引退した両親は見守り続けたという。
【夢を育てる者】レフティ
ジュニアリーグチーム【オリオン】のコーチを続ける。
彼が指導した子供たちはやがて、王者に至るまでに成長したという。
【夢を諦めなかった者】アーガス(レッドバレット)
十年越しでアリーナチャンピオンになる。
その試合は絶対王者の引退試合でもあった。
【夢を支えた者】リリラータ(パープリータ)
自分の才能に限界を感じ夢を諦めた。
しかし、夢を諦めなかったアーガスを支え、自分の気持ちにも気付く。
【夢を護る者】レギガンダー
多くの夢が生まれ、散り行く闘技場を桃使いとして守り続けた。
戦いには良くも悪くも、負の感情が生まれるからだ。
また彼の愛機は色々と話題になった。
【変態マスク】トマッシュ
悪事を働けば、どこからともなく現れ悪を滅ぼす。
その地獄のような惨状から、犯罪は割と激減した。
【実況のお姉さん】
今も三人、トリオで活躍中。絶賛恋人募集中。
【解説のお姉さん】
今も三人、トリオで活躍中。婚約者がいる。
【カメラマン】
今も三人、トリオで活躍中。
その背中には多くの悲しみが背負われているという。
【極めし変態】おやっさん
役目は終わった、と書置きを残して姿を消す。
【クロナミの女神】ニューパ
ドープの告白を受け入れた。
今は彼を尻に敷きつつ、熱心に彼を教育中。
【疾風迅雷】ドープ
最高の嫁を手に入れた。今は滅茶苦茶教育されている。
戦機乗りを続け、一応はトップランカーの威厳を見せているとか。
愛妻家となっており、定時には我が家に帰る。子供は百人ほしいとかなんとか。
【ヤーバン共和国・元大統領】マシュー
ヤーバン共和国の法整備を完了した後に引退。
家庭に入り、良き妻、良き母として穏やかな日々を送っている。
【鬼の総大将】酒呑童子
残された鬼たちの纏め役となる。
また、プリエナに代わり、ミリタリル神聖国の王に就任。ただし、あんまり仕事はしない。
時折、大人びた姿を見せるが、その真意のほどは分からない。
【約束された筋肉の鬼】星熊童子
女を磨く日々。ただし、筋肉も育っている。
【邪悪な鬼】金童子
ミリタリル神聖国に自前の工房を持ち、狂気の発明を続けている。
時折、もぎゅー、という珍獣の悲鳴が聞こえるとかなんとか。
【ヤーダンの鬼】虎熊童子
なんやかんやあってヤーダンと籍を入れた。
今は、というか、今も干からびている。
アクアにも懐かれており、良きパパに。世の中は平和だ。
【平穏を掴み取った鬼】熊童子
戦後、キアンカにて住居を構え、夫と穏やかな日々を過ごす。
お腹には待望の我が子が宿ったとか。
イシヅカは彼女のお世話係として大活躍中。
【シグルドに希望を託された鬼】茨木童子
暫し後に人知れず姿を消す。その後、彼女の姿を見た者はいない。
話によれば、時折、優しくお腹を擦っていたという。
【珍・珍獣】モフモフ(分有里小十太)
珍獣はしょせん珍獣であった。
戦後、金童子とモフモフマンジュウモドキ・イケメン化計画を決行するも、美少女になっただけであったという。モフモフは絶望した。もきゅー!
【チーム願野多】
戦いの功績を認められ惑星ティエリにて居住権を得る。
今は傷付いた心を癒しながら、復興を手伝っているようだ。
【因果の終わりを見届けた女神】プリエナ
戦後、役目は終わった、と告げて姿を消す。
【プリエナを護る者】ルバール
戦後、プリエナと共に姿を消す。
【運命を繋ぎ止めし者】ライオット
キアンカにて運搬業を営む。尚、運搬はツツオウで行っている。
妻のプルルと一緒に仕事をしながら事業を軌道に乗せた。
どうやら、息子と娘を授かったようだ。
【影に潜む者】ガイリンクード
ネオ・ヴァルハラと共に姿を消す。
今の時代に我らは不要、という決め台詞を残して。
【にゃんこびとの勇者】ミオ
第六精霊界を離れ、惑星ティエリに赴き復興を手伝う。
その隣には、常にクロエの姿があった。
【ミオの半身】クロエ
ミオと共に惑星ティエリに赴く。
復興を手伝いつつ、後に彼と結婚した。
【時の女神】ミケ
惑星ティエリの女神に復帰した。
だが、しょせん、にゃんこびとなのであまり仕事はしない。
【かつての厄災】祭虎、ドルスト、クロム
惑星ティエリに戻り、それぞれの想いのままに生きた。
もう彼らを縛るものは無い。ただし、祭虎は嫁に怒られた。
【先代精霊王】
エリンの中にて世界を見守り続けた。
また、彼女の相談役としても大いに活躍する。
【精霊の賢者】百果実
母を許し、エリン精霊王のサポートに尽力する。
時折、始まりの大樹の下にこっそり訪れているとかなんとか。
【始まりの大樹】
エルドティーネとの交代の時まで世界を支え続けている。
しかし、今の彼女に不安はない。
【海の精霊】マッソォ
エルドティーネを支え続ける。地味に出番が多い。
【雪の精霊】お雪
出番が少ないとマッソォに八つ当たりをする。
【花の精霊】フロウ
花壇のお手入れに大活躍。
【ぷち鉄の精霊】
全機、最終決戦にて喪失。役目を終える。
自然に還り、再び相棒が見つかる日を待ちわびている。
【永遠の従者】H・モンゴー
エルドティーネに永遠の忠誠を誓う。
機械の体が壊れ、魂が朽ち果てるまで、彼女に忠実に仕え続けた。
【エリシュオンの光】A・ヴァストム中将
エリシュオン軍を大改革し軍縮を進めた。
批判はあったが、その分、市民たちに資金を回し慕われる。
十年後、何者かに暗殺され、その波乱の生涯を終えた。
【エリシュオンを継ぐ者】C・スルト少将
エリシュオン軍【大将】に封じられる。
A・ヴァストム中将の遺志を継ぎ、難題に立ち向かい、これを治める事に成功。
後に続く穏やかなエリシュオンの基盤を作り上げた。
【Dチーム】ルオウ
緑色の輝きに導かれ、モモタロウと共に姿を消す。
穏やかな雰囲気ではなかったので、どうやら喧嘩をしに行った、という推測が濃厚だ。
【Dチーム】ズーイ
文句を言いながらもルオウに付き合う。
【Dチーム】モヴァエ
名残惜しそうにしながらも第六精霊界から姿を消した。
【宇宙平和機構の長】カーマイン
宇宙の平和を維持することに尽力する。
彼の清く正しく公平な姿勢に、多くの星々が恭順したという。
【雷を宿す者】ザイン
母エルドティーネと行動を共にする。
割とふらふらしているエルドティーネに四苦八苦しているらしい。
【青銅の精霊】ブロン
相も変わらずヒュリティアと一緒。
【闇を宿す者】ヒュリティア
エルドティーネの永遠のパートナーとして充実した毎日を過ごす。
ルナティックをまた魔改造して借金が増えた。
【硝煙の香り】TASムセル
エルティナイトの遺志を継ぎ、エルドティーネの愛機となる。
【鉄の精霊】アイン
エルドティーネと共に在る。
その黄金の鉄の塊の魂は永遠に。
【光を受け継ぐ者】エルドティーネ
戦後、モモガーディアンズの代表をガンテツに託し、ヒュリティア、ザイン、H・モンゴーと共に世界を巡っている。
この世界の全てを、その目に焼き付けるかのように。
荒廃した大地に蹲る一人の少女。大きさからして4~5歳であろうか。顔は砂に塗れ、服はボロボロで無残な姿と言っていいだろう。
スン、スン、と鼻をすすっているのは泣いているからだ。
彼女の少し向こうには硝煙と血と死の香り。
あれほどの奇跡を見せつけたというのに、人はいまだ争いを止める事は無かった。
それは、生きるためだからだ。生きるために、人は争い、傷つけあう。
「どうした?」
少女に声を掛ける女がいた。フードを目深に被っていて顔の全容は知れないが、声色からして若いもようだ。
その服装からして戦機乗りのようで、少し離れた位置には戦機らしき機体が見える。
「皆が……みんながっ!」
「こりゃあ、酷いな」
女はこの惨状に憤りを覚える。
しかし、そこまで義憤に燃えているようではなかった。
ただ、静かな怒りのようなものを感じ取れる。
少女はそこに反応したのだろう。
「お願いですっ、なんでもしますから、私に戦う力を教えてください!」
復讐に燃える赤い瞳。それを見た女は首を横に振る。
「馬鹿を言っちゃいけない。その綺麗な手が汚れちまうぜ」
「汚れてもいいっ! この理不尽を砕けるならっ!」
やれやれ、と女は天を仰ぐ。そこには雄々しく輝く太陽の姿。
「おまえの大切な人たちを奪った連中と同じになるってのか?」
「―――っ、そ、それはっ」
「そうだろう? そういうのは俺たち戦機乗りの仕事だ。そんな綺麗な手を汚すだなんてとんでもない」
女は少女の顔をハンカチで拭ってやり、納得がゆくと彼女を抱き上げた。
その際にフードがめくれて素顔が露わになる。
プラチナブロンドの長い髪と空のような青い瞳、そして人間には無い大きく長い耳が露わになった。
「俺に任せておけ。仇を取ってやる」
「ほんと?」
「あぁ、なんてったって、俺は戦機乗りだからな」
女が親指をくい、くい、と示す方向には無骨な戦機の姿。
「お願いしますっ」
「お願いされたんだぜ」
「でも、私、どうしたら。もう、どうすればいいかわからないよ」
少女の目には再び大きな涙が浮かび上がる。
「絶望に押し潰されそうになった時はな、天を見上げろ」
「えっ?」
少女は天を見上げる。澄み渡る空には立派な太陽の姿。
「そこに―――太陽は居る」
「ナイト?」
そこに、銀色に塗装された戦機が急接近からの急停止を行う。
少し遅れて黒い陸上戦艦の姿も。
「……エルっ!」
「ママ上っ! 例の盗賊どもでござるっ!」
『H・モンゴーもおりますぞっ!』
銀の戦機から二人の女の姿。
黒い陸上戦艦からは喧しい声が。
「あい~ん!」
「ぶろ~ん!」
「えっ? おまんじゅう?」
少女のその言葉にプラチナブロンドの女は、にんまりとした笑みを見せた。
「さぁ、精霊戦隊、出撃だっ!」
これは、終わる事なき因果を終わらせた白エルフの少女の物語。
そして、彼女は新たなる物語を紡ぐ。
彼女は、これからも理不尽と戦い続けるだろう。
そこに【黄金の鉄の塊の精神】がある限り。
食いしん坊エルフ2 精霊戦機エルティナイト
~ 全てを喰らう者と精霊王 ~
おしまい。
というわけで最終回です。毎日投稿、いや~きついっす。
でも、続けてこられたのは読んでくださっていた方のお陰ですん。
ものすんごく感謝です。
これで、食いしん坊エルフは一応の完結となります。
次回作はちょっと休んでから、のんびりと書き進めていく予定です。
それでは、ここまでのお付き合い、本当にありがとうございましたっ。
エルドティーネ(*´ω`*)「またなっ」




