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487食目 始まりと終わりの女神マイアス

 なんだか兎に角わけが分からないが、もの凄いパワーを発揮する怒鬼に対し、俺たちは交戦状態に陥る。

 正直な話、一々こういった強力な鬼を撃破していたらキリがないんですわ。どうせ、直ぐに復活しちゃうから。

 頑張って倒したのに、直ぐ「やっほ」とにこやかに復活して来たら、猛烈にがっかりですぞっ


『エルドティーネさんっ、ここは俺がっ!』

「レギガンダー君っ! やれるのかっ!?」


 決して良いところを見せたいわけではないだろう。

 レギガンター君もまた、為すべきことを理解しているはずだ。


『俺だって桃使いですっ! やります! やって見せます!』


 高火力、重装甲のブシンオーなら耐える事ができる、そう確信しているのか。

 加えて、レギガンター君はコツコツと桃使いとしての修業を重ね、一人前にあと一歩のところにまで来ている。


 ガンテツ爺さんにも「褒め過ぎるな」と口止めされていることから、彼には並の戦士以上の能力は備わっていることは間違いないはず。


 よし、決めたっ。


「じゃあ任せるっ! あれは退治しないで封じ込めに専念してくれっ!」

『やってみます!』


 まずは鬼ヶ島をぶっ壊さないと何も始まらない。

 兎にも角にもガンガン進んで鬼ヶ島の核を破壊し、鬼を退治できるようにしないと。


「エルティナイトっ! 怒鬼にお土産を置いてゆくぞっ!」

『ナイトの超一流の嫌がらせを見せてやるぅ!』


 魔法障壁を生み出して捏ね捏ね。エルティナイトお得意の加工でございます。


「地味に美味しそうなんだよな」

『食うなよ? あ、そ~れっ!』


 ぷよんぷよんになった魔法障壁を怒鬼に投げつける。

 それは途中で弾けて怒鬼に纏わり付いた。


「ふっきゅんきゅんきゅんっ!【魔法トリモチ爆弾】だっ!」

『効果っ! べたべたして鬱陶しい!』

『酷い嫌がらせを見た気がするね』


 レオンさんにもそう突っ込まれた魔法トリモチ爆弾ですが、こいつがなかなかいやらしい。

 べたべたする上に石ころや砂といったものをくっ付けるので地味に身体が重くなるのである。


「おんの~れ! おでを馬鹿にするなっ!」

『行ってくださいっ!』

「レギガンダー君っ! 健闘を祈るっ!」


 憤慨する怒鬼は更に鬼力を増大させてゆく。

 正直な話、レギガンター君一人に任せるには心配な相手だ。


 だが、こんなところでもたもたしていたら外で戦っている者たちの被害は増すばかり。

 俺には進むしか選択肢が無いのだ。


 ブシンオーの火力を失い、進行に少しばかり支障が。

 流石に【ファイアーボール】の火力だけでは鬼の肉壁を突破できなくなってきた。


「こいつら湧き過ぎぃ!」

『自重しない肉壁凄いですね』


 取り敢えず【ファイアーボール】をボンガボンガと叩き込むも、灰になった瞬間にその場で復活しているもよう。

 ということは、そろそろ鬼ヶ島の中心部分に近付いている、という事だろうか。


 そうなると、だ。ヤツも近くにいるという事か。


「……エルっ!」

「来たかっ!」


 鬼の肉壁が一斉に割れた。

 その奥から禍々しい陰の力を隠すことなく放ち続ける、一機の人型兵器の姿。


「「「遂にここまで来たか……最後の真なる約束の子」」」


 幾重にも重なる声は全て同一人物の声か。

 不協和音のように響く女性の声。

 始まりの鬼にして、ぐちゃぐちゃになった因果の創造主。


「女神マイアス!」

「「「待ちわびたぞ―――終わりの桃使い。今こそ、全てに終焉を」」」


 女神マイアスが乗る機体は女神と鬼と悪魔が融合したかのようなデザインだった。

 ベースは女神。恐らくは女神マイアス本人の姿を模したものだろう。それに六枚の蝙蝠の翼が背より伸びる。

 頭には八本の鬼の角。手に持っているのは剣だか、斧だか、金棒だか良く分からん鉄の塊。

 恐らく、ぶん殴れればどうでもいいのだろう。


『―――っ! こ、これほどまでとはっ!』


 レオンさんが悲鳴を上げる。当然だろう。

 正直な話、俺も悲鳴を上げそうになるほどのとんでもない憎悪と殺意なのだから。


「レオンさんっ! こいつは俺がっ!」

『しかしっ』

「俺じゃなければ、こいつは押さえられないっ! それに今はまだ全力を出すわけにはいかないんだっ!」

『くっ……任せてくれっ』


 鬼ヶ島の破壊はレオンさん一人に任せるしかない。

 早く増援が来てくれればいいのだが―――っ!?


「多重魔法障壁っ! 二百連っ!」

『それじゃあ、持たないっ! 闇の枝っ!』

「フキュオォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!」


 一瞬にして魔法障壁が消し飛んだ。

 エルティナイトが咄嗟の判断で闇の枝を召喚していなければ終わっていただろう。


「いったい何をしたっ!? 何をされたっ!?」

「……殺気よ。殺気を飛ばしただけ」

「ヒーちゃん、それって冗談だよな?」

「……冗談だったらよかったわね」


 ヒュリティアの掠れ声は、なんとか声を絞り出したことを意味していた。


 女神マイアスの殺気は仲間である筈の鬼たちすら死滅させてしまっていたのだ。

 死んでいるのに復活する兆しを見せない。それは生き返ることを魂レベルで拒絶しているからだ。


 いや―――強制力ですら死んでしまっているのか。


「レオンさんっ!?」

『だ、大丈夫だっ。一瞬、意識が飛びかけたけどね』


 長時間、女神マイアスと対峙するのは得策ではない。

 鬼たちの肉壁が消失した。鬼ヶ島の核を叩くのは今を以って他にないだろう。


「行ってくれっ!」

『分かった!』


 レオンさんのホワイトプリンスが飛び出す。


「「「全ての命に絶望と死を」」」


 女神マイアスが動いた。振り上がるは禍々しい塊。それがグネグネと蠢き無数の大蛇が生れ出る。


 その姿はまるで――――。


「闇の枝だとっ!?」

「……冗談でしょっ!? オリジナルと遜色が無いレベルっ!」


 おびただしい漆黒の大蛇が白い王子に襲い掛かる。回避は不可能なレベルだ。


『舐めてもらっては困るっ! 僕はチャンピオンなんだよっ!』


 そんな攻撃を気合で避けるレオンさんマジパネェっす。

 でも、いつまでも回避できるわけがない。


「来れ、シグルドっ!」

「応! おまえの能力、借り受けるぞ!【思念創世器・竜咆壁】!」


 シグルドが生み出したのは想いを乗せた声の壁だ。

 それは全てを喰らう者の【想い】だけは喰らう事ができないという弱点を突いたもの。

 竜咆壁は漆黒の大蛇の嚙みつきを弾き飛ばすことに成功。レオンさんを護り切る事ができた。


「結構、きついっ!」

「何度も連発はできぬな」


 思念創世器・カーンテヒルだって常時出しては置けないのだから当然だ。

 しかも、カーンテヒルよりも大きいんだから尚の事。


「竜信変化! ドラゴンエルティナイト! 転生降臨!」


 まずはドラゴンエルティナイトに。

 もうルナ・エルティナイトでどうにかできる相手ではない。

 カオス・エルティナイトは切り札的なヤツなので【まだ】出せないぞ。


「エルティナ! 眷属たちを呼び寄せれないのか!?」

「ダメだ、シグルド! 今、即座に召喚したら戦力バランスが崩れちまうっ。自力でここまで来てくれれば……」


 或いはレオンさんが鬼ヶ島の能力を沈黙させてくれれば、一気に鬼を壊滅させる方法も。

 できる事なら、後者が一番喜ばしい。


 でも―――彼一人でなんとかなるのか?


 女神マイアスは確かにここにはいる。

 だが……彼女が【全ての命の悪意】であるという確証はない。


 ここに来て、それに気付いてしまうとはっ。


「ママ上」

「分かってる。今は余計な事を考えないっ。行くぞっ、エルティナイト!」

『ナイトのメガトンパンチは今日もヒュンとするっ!』


 遂に女神マイアスと対峙した俺たち。


 彼女こそ正真正銘のラスボス足り得るのか。

 だがしかし、俺はどこかで女神マイアスを最後の敵として見る事ができないでいる。


 本当に彼女を退治して終わるのか。

 嫌な予感は俺の心に纏わり付き冷静さを奪っていった。


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― 新着の感想 ―
[一言] なに?目の前のヤバい敵がラスボスなのか解らないことに気づいてしまった? 逆に考えるんだ珍獣。 ヤバい山を越えて油断したところで背中からバッサリやられる可能性が減ったと考えるんだ。
[一言] まさかの「トリモチ」!
[一言] 本当にマイアスはラスボスか?… 虎熊「ラスボスぶっても前座ってのもあるしな」 珍獣「説得力がダンチだぜ」 トウキチロウ「味方と思ってたのが ラスボスってのも有りだな」 虎熊「勝手に湧くな!叩…
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