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473食目 南エリア攻略戦 決着

 ◆◆◆ エルドティーネ ◆◆◆




 背後からの圧迫感が消えた。それは結界の消滅を意味している。


「ふきゅんっ、ヒーちゃんがやったか。むしゃむしゃ」

「どうやら、そのようでござる」


 ただいま、敵の攻撃が緩いとあって、俺は一足早く休憩中。

 現在エルティナイトを操縦しているのは、ザインちゃんです。


 彼女がメインパイロットになるとナイトもサムライにジョブチェンジするという。

 つまり、今のエルティナイトは、【武者エルティナイト】。


 武者だか、ナイトだか、これもうわっかんねぇなぁ?


 雷を太刀に具現化させて、雷光のごとく切り捨てる武者エルティナイトはなかなかやるじゃない。

 ちょっぴりこっちが真の姿なんじゃないの、と危機感を抱きつつ【ビビンバ丼】をむしゃむしゃしております。


 ピリ辛でちょっと甘じょっぱいそれは野菜のシャキシャキ感とお肉のむっちり感と合わさり、俺をそこはかとなく至福に浸らせる。そこに止めとばかりに白米が押し寄せてきてさぁ大変。

 みんなで幸せになろうよ、と家族感を出してお口の中でファイナルフュージョン。僕らの家族王となり胃袋へと挑む。


「うぉん! 俺のお口は幸せ生産工場だっ!」

「……それはホットドッグにも使えそうね」

「でたな! ホットドッグ魔人っ!」

「……ふぁっふぁっふぁっ、この世の全てをホットドッグに変えてやろうか」

『レディ』


 ヒュリティアさんたちが帰ってきました。首尾は上々だったようで。

 そうなれば休憩は終わりだ。ガツガツとビビンバ丼を掻き込んで、ごちそうさま。


「よし、ザインちゃん交代だっ!」

「承知っ」


 今度はザインちゃんとヒュリティアが休憩。

 ザインちゃんはいつもの雷蕎麦In海老天。

 黒エルフさんは……えぇ? ここで調理するの?


『おいばかやめろ。臭いが籠るだるるぉ!?』

「……あなたの邪悪な行為、忘れたとは言わさない」

『ぬわぁぁぁぁっ!? しかもキムチだっ!』

「……ふはは、怖かろう」

「ぶろろ~ん」


 黒エルフさんはキムチとソーセージをフライパンで炒めてコッペパンに挟むもよう。

 しかし、この行為は俺たちの鼻をも破壊する行為っ。


「くっ、こうなれば拙者も対抗するで候っ」

「な、なにぃ……!? 海老天蕎麦に納豆キムチをトッピングだとぉ!?」


 なんという決断っ! 臭い者同士をコラボレーションし、その臭いを更に高めるという暴挙っ。

 しかし、臭い者同士が手を取り合う時、臭いはともかくとして、とにかく凄い美味しさへと昇華されるっ。


『ぬ、ぬわぁぁぁぁっ!? えげつない匂いが俺のコクピットをズキュンズキュンと走り出すっ!?』


 これにエルティナイトは悶絶。

 矢鱈と賑やかだけど鬼退治はやってます。主にエルティナイトの顔が酷く歪んでるけど。


「いあ~ん」

「しっかしまぁ、ひっでぇ臭いだな」

「……とんこつラーメン、追加よ」


 止めを刺してきたな。


 くっさい三種の神器が揃ったところでエルティナイトが降参しました。


 おまえ、調子ぶっこき過ぎた結果だよ?


『んじゃ、排気』


 ただし、排気は尻から出る。ただの【おっぷぅ】じゃないですかやだー。


「ああっ!? 鬼たちが全滅したっ!?」

「これは酷いでござる」

「いあ~ん」


 なんという事でしょう。ちょっぴりシリアス気味に頑張っていた雑魚鬼たちがエルティナイトの屁に屈してしまったのです馬鹿野郎。


『せ、精霊王っ!?』


 しかも、エリンちゃんまでもがダウンしてるじゃないですかやだー。


「……色々と台無しね」

「元凶っ」


 そして、この黒エルフである。


 取り敢えずは結界装置を完全破壊。これでひとまずは安心だろう。


「……エル、素敵なアイデアがあるのだけど」

「聞くます!」


 ヒュリティアが提示した案は、重力の牢獄を作る、といったものだった。

 なるほど、それならば何度でも復活する鬼を戦力外にすることも可能か。


「……この南エリアを完全破壊して、重力の牢獄を作るわ」

「なら、色鬼には退場願わないとな」


 あいつは重力使いだ。なので重力の檻に送り込めばそれをなんやかんやで解除してしまうかも。

 なので、俺がやることは一つ。あのおっさんを行動不能な状態にまで弱くする、だ。


「ヒーちゃん、お耳貸して」

「……舐めちゃいやよ」


 わんこじゃないんだから、そんな事はしないぞ。甘かったら舐めるかもだけど。


「―――というのは?」

「……邪悪ね。でも、嫌いじゃないわ」


 暗黒微笑を浮かべる白と黒。これにて色鬼抑え込み作戦は完成する。


「エルティナイトっ! 急いで戻るぞっ!」

『ナイト、ダァァァァァァァッシュ! ダダッダァァァァァァァッ!』


 精霊戦機エリンをお姫様抱っこしながら、くそ喧しいダッシュをするナイト。

 それを追いかけるオ・サーヴァさんは臭いものに抵抗力があった?


 とにかく来た道を引き返す、とそこはとんでもない状況に。

 ぺしゃんこになった雑魚鬼、燃え盛る雑魚鬼の亡骸、ズタズタに切り刻まれた雑魚鬼、干からびた雑魚……全部、雑魚鬼じゃないですかやだー。


 対峙するは色鬼と水と風の精霊戦機だ。

 両者とも激闘を繰り広げていたのだろう。結構にボロボロだった。


「待たせたっ! 結界装置はぶっ壊したぞ!」

『やりましたね』

『そうじゃなきゃ困る』


 これに色鬼は悔しさを滲ませた。


「うぬっ! なんという不覚っ! かくなれば、おまえらの首を取り、御大将に捧げる! おに」


 色鬼の右手が赤に染まる。

 そして、そこから激しい炎が噴き出てきて俺たちに襲い掛かる。


「こいつ、そういうことかっ」

『そうですっ! この鬼は色で属性を表現しているんですっ!』

『どうやら、全属性を操れるみたいだぜ?』


 襲い来る炎をマドカリ君が水の盾で相殺する。

 激しい水蒸気爆発は洞窟に損傷を与えた。


 天井から大きな岩石が降ってくる。このままでは崩落するだろうか。


『ちっ……面倒臭い事をしやがって!』


 その崩落をファケル兄貴が竜巻を生み出し、天井を支え歯止めをかける。

 だが、これは一時凌ぎ。長くは続かない。


 ならば、短期決戦だ!


「ユクゾっ!」

『せっかっこー! はぁん!』


 ただの掛け声です。


 ドタバタと色鬼に突撃。

 俺がメインなので、イカした雷の太刀は「ほなさいなら」してます。


 じゃけん、グーで殴りかかりましょうねぇ。


「そんな単調な攻撃で、俺に当てれるか! おに」


 うおっ、なんだその動きはっ!?

 流水のように流れ、激流のごとく反撃するとか狡いぞっ!


「くっ……拙いぞ! こいつ、鬼だけど忍者だ!」

『きたない、忍者。流石、忍者、きたない』

「忍者ではない、これは武術だ! おに」


 なんてこった。色鬼はモンクタイプだったのだ。

 だから、といって諦めるわけにはいかないんですねぇ。


『ナイトパンチっ』

「そんな単調な攻撃でっ、おに」

『と見せかけてマジックロープ!』

「なっ!?」


 魔法障壁の縄でございます。それをパンチに見せかけて色鬼の腕に巻きつける。

 エルティナイトの意思で自由自在に動くそれは瞬く間に色鬼を縛り上げた。


「この程度の縄などっ!」


 気合を入れて魔法障壁の縄を引き千切ろうと色鬼が気合を入れた。


「今だっ! ヒーちゃんっ!」

「……任せて」


 ひょっこり、とエルティナイトの口から姿を現す黒エルフは、持っていた丸薬を色鬼の大口へと放り投げた。


「んがごっごっ!? き、貴様っ!? 俺に何を食わせたっ!?」

「……人生が素敵になるお薬よ。きっと喜ぶわ」


 にちゃあ……という暗黒微笑は、【全ての命の悪意】でも「ひえっ」となるに違いない。


『あっ……』


 ヤーダン主任の驚きの声。そして色鬼の悲鳴は同時だった。


「な、なんだこれはっ!? お、俺の体がっ!」

「……ね? 素敵になったでしょ?」


 なんという事でしょう。

 そこには黒髪の癖っ毛が可愛らしいむっちりボインの美少女鬼娘が爆誕していたではありませんか、これは我ながら酷い。


「お、おのれっ! 例え女子になろうとも鬼の力は健在よっ! おにぃ」

「無駄でござる!」

「なんだとっ!? おにぃ」


 ここにザインちゃんが満を持して登場。色鬼の心をへし折るのだ。


「それ、慣れるまでに三日は掛かるで候」

「口から出まかせをっ! おにぃ」

「……経験者、でござる」

「マジで?」


 哀愁漂う表情を見せて視線を逸らしたザインちゃんに、色鬼は悟ってしまい、遂には語尾すら忘れるという失態を犯した。これもう駄目かもしれんね。


「い~や~だ~! 俺は男がいいんだ! おっさんボディを返せっ!」

「……ダメよ。あと、小さくなってもらうわ」

「やめろぉぉぉぉぉっ!? どこまで俺を虚仮にするつもりだっ!?」

『飲め、おらぁん!』

「がぼぼぼぼっ!?」


 いやぁ、これ、どっちが鬼なのかわっかんねぇな?


 哀れ、薬漬けされた色鬼さんはレイプ目の役立たず美少女鬼に成り果てました。


「……ユウユウのお土産に丁度いいかしらね?」

「廃鬼になるから勘弁したげて」

「おにぃ、おにぃ……」


 哀れ、いろいろとアレやコレやされて幼児退行してしまった元おっさん鬼の運命はっ!?


「まぁ、それはそれとして……みんな集まれ~」

「「「「わぁい!」」」」


 エルティナイトの下に突入隊を集合させる。

 これでファイアーボールに巻き込まれることはないはずだ。


「エルティナイトっ!」

『範囲設定はしっかりやれよ!』

「任せとけ……よし、いいぞっ!」

『応!【超ファイアーボール】!』


 エルティナイトが両手を天に掲げる、と超巨大な火球が生じた。

 これにはファケル兄貴も割と本気でビビったもよう。


『お、おいおいっ!? まさか……』

「そのまさかで~す。ふぁいあ~」


 その場で大爆発。南エリアを粉砕させる。

 突入口でがんばってくれているキアンカ組を巻き込まないように外周は残して粉々に変えてやりました。


「上手く行ったか?」

『これから毎日、鬼ヶ島を爆破しようぜ』

「……今日限りよ。闇の枝、やりなさい」


 ヒュリティアはこの隙に重力の檻を作るべく、闇の枝に宇宙を貪り食わせる。

 すると宇宙は傷を癒すべく重力の歪みを生成。ブラックホールが出来上がりました。


「……エル、固定できる?」

「シグルドなら」

「……じゃ、お願い」


 こいつをシグルドの桃力の特性【固】で移動しないように固定。

 そうすれば重力の牢獄の完成だ。


「……急ぎましょう。ブラックホールが成長しきったら、吸い込んだ物をバラバラにしてしまうわ」

「あっ、そうか。それじゃあ、牢獄にならなくなるな」

「おにぃ……ゆるちて」


 色鬼を撃破した俺たちは他の結界が破壊されるまで周囲の鬼たちの駆除を開始。

 これで、被害は抑えられるだろう。


 後はエリシュオン軍と宇宙平和機構軍を信じて待つのみ。


「……ここが良いのね?」

「あひぃん、おにぃ」


 でも、それまで時間があるからって色鬼さんを弄らないで上げて。

 彼女のHPはもう0よっ。


「哀れで見ていられないでござる」

「関わっちゃダメなんだぜ」


 相も変わらず、チームエルフは通常運転でしたとさ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] これがエルフのやることかよおぉぉぉおあ! [一言] 色鬼おじさんちゃんはザインちゃんとヤーダン主任を見習って強く生きて
[良い点] 色鬼「(´へ`)」 実況「最後尾、ぽつんとひとり、イロオニサン(字余り)」 解説「賢さと根性が足りないようですねー坂路はキルラーズ一同で満員なので高速犬かきしてスタミナも鍛え直して下さい」…
[一言] うあーっ! まさか… 臭い飯だと!? 素晴らしいじゃないか!
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