436食目 ぽっちゃり機体会議 そのに
「おんどるるぁ焼きそば、お待ちぃ!」
「「「にゃ~ん!」」」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!」
「おっ、いいねぇ。肉多めは正解だぜ」
よし、これで獣たちは黙らせた。取り敢えずは話を進めないと。
制限時間は発生してないけど時間は有限なのです。
「んじゃ、次の案、出してっ」
「はい」
「ほいっ、ユウユウ閣下」
おっと、ユウユウ閣下には少し期待。
妖艶な赤いドレス姿で足を組み、赤ワインで口を湿らす姿はセクスィ~。
「第六精霊界の土で巨大土人形を作ればいいのじゃないのかしら?」
「あー、それかぁ。実はそれ、俺も考えたんだ」
「あら? そうなの?」
きょとん、としたユウユウ勝った可愛い。
「うん、でもマザーとおやっさんたちに却下された」
「どうしてかしら?」
「単純にデカくなりすぎて船に搭載できない。それくらいの土が無いとぽっちゃり姉貴も力を発揮できないって」
「んもう、我儘な娘ねぇ」
尚、その土人形、頭長1580メートル、重量推定23900トン。
こんなの宇宙に運べるわけないだろ、いい加減にしろ。
「でもそうなると、根本的な見直しになるね」
「あっ、レオンさん。身体の方は大丈夫?」
「うん、さっきもヤーダンさんに治療を受けたからね」
「……色々触られなかった?」
「触られた」
「あー」
レオンさん、色男で身体も引き締まってるからなぁ。
ガチムチの虎熊に、細マッチョのレオンさんか。
選り取り見取りで痴女がヤヴァイことに。
でも、ここのヒーラーは彼女だけなので逆らえない逆らい難いっ。
俺にも治癒の精霊が宿っていたらっ。
「うん? ぽっちゃり姉貴に大量の土の精霊を宿らせることはできないのかな?」
「産みたてほやほやや」
「ばぶー」
あら、ぽちゃり姉貴によく似た可愛らしい女の子。
「……宿ったら、出ちゃうパターンね」
「なんてこったい」
産めや増やせや豊かな大地。
それが土の精霊の使命とか勝負になんないよー。
「んで、なんか良いアイデア出たん?」
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」
そしてこの貫禄よ。
最早、恥じらいというものが消失しているぽっちゃり姉貴は人前で授乳。
貫禄の【おかん力】をまざまざと見せつける。
それを食い入るように見つめる乙女たち。
未来の自分の子を思い描いてキャッキャウフフする。
「レオンも、そろそろ良い人を見つけないとね」
「母さん、この戦いをまず終わらせてからだよ」
「うむ、強い女が良いな。母さんみたいに」
「やだ、貴方ったら」
あのぉ、話が進まないんですが?
「お待たせ~。あっ、赤ちゃんだ~」
「おっと、ニューパやん。授乳させる?」
「させる~」
「あんたが出るわけないや~ん」
「きゃ~」
ここでニューパさんが会議という何かに参戦。
早速、おつまみを、むしゃあ、して乳袋の肥やしにする。
この人の栄養は全て、その巨大なおっぱぉに蓄えられるのだっ。
「な、なんでもいい……酒以外の水分を……」
「おっと、ミイラを忘れていた。ほれ、飲むカレールー」
「おまえ、悪魔だろ」
失敬な。これはちゃんと栄養豊富で飲みやすくしてあるから。
「いいから飲め、おらぁん!」
「がぼぼぼぼぼっ!?」
はい、工事完了です。
「鬼だっ、鬼がいるっ! ぎゃははははははははっ! ひっく」
「割とこの子、鬼だよねぇ」
「こっち側に生まれてたら、もっと気ままに生きてたかもしれないねぇ」
「くすくす、それは無いわ。この子は陰だろうと陽だろうと行動原理は同じだもの」
鬼のお姉さんたちが色々と仰っておりますが俺は元気です。
「ぶはぁっ、糞ったれが。固形物を寄こせっ」
「こちらが【海鮮カオス丼】になります」
「ふっ……冗談は止せ」
「虎熊もお甘いようで」
むしゃあっ!
「さて、マジに話を進めようか」
「……そうね。まだ、これはという意見が出てないわ」
その後、三十分程、意見を出し合ったけど使えそうなアイデアは出てきませんでした。
代わり出たのは数多の酒の友。
自家製塩辛や、酒盗、ホヤの酢の物が実に清酒に合うようで。
「うおぉ……未来の俺よ、許せっ」
「……エルティナも、お酒に興味津々だったわね」
尚、お母んはお酒解禁と同時に飲みまくっていたもよう。
でも、免疫システムのせいで酔っぱらう事ができなかったそうだ。可愛そう。
「俺は酔えるのかな?」
「……確実に酔うわね。酔いを食べちゃえば二日酔いは無いだろうけど……それをやるとシグルドたちが酔っぱらうわ」
「世界が割と危なさそう」
二日酔いになったらライフで受けるしかない。
飲みすぎダメ、絶対。
「へいへ~い、なんか面白い事やってるぅ」
「あ、お帰り、エリンちゃん。訓練終わったの?」
「うん。ピカピカスパークしてきた」
「一人でそれを使うんじゃない」
「大丈夫、精霊王と百果実も一緒だよっ」
お胸に手を当てて、にっこりするエリンちゃん。
確かに、そこから精霊王と百果実の精霊力が感じられる。
「マジか」
「あ、でもでも、無人の星が一個粉々に……」
「おいばかやめろ。早くも事実をもみ消さないといけませんね分かります」
もしかしたら遠い未来に命が生まれるかもしれないだろ。
しょうがないので、砕けた、という結果を食べます。
はい、これで証拠隠滅。でも、シグルドにどちゃくそ怒られました。
俺が悪いわけじゃないのにっ。おぉんっ!
エリンちゃんに、もう少し控えるようお説教。
どうやら自分の力に振り回されている上に精霊王がやんちゃしているようだ。
「ごめんなさい」
「分かればよろしい。罰としてぽっちゃり姉貴の機体の改造案を」
「ほえ~」
ホワイドボードが黒くなっちゃうくらいのアイデアの数に、エリンちゃんは目を真ん丸にした。
「大地の力が使えればいいんだよね?」
「うん。とにかく精霊と土が無いと話にならない」
「動く星を作っちゃえばいいんだよ」
「あいたたたたっ、エリンちゃんもそっち系か」
なんてこったい。ここに集う者たちは無茶を通り越した者ばかりだった?
こんなんじゃ……あ、いや、待て。
「あっ! そうかっ! できるじゃないかっ!」
「うん、私とエルちゃんならできるよ~」
エリンちゃんの中には精霊王がいる。
彼女は精霊を産みだすことができるのだ。
そして俺は無限の光素を行使できる。
この二つを組み合わせれば、惑星を生み出すことも不可能ではない。
「第六精霊界くらい大きくなくてもいいんでしょ?」
「そうなんだぜ。エリンちゃんたちが壊した星くらいで良いと思う」
「じゃあ、それを使っちゃおうよ」
「おっ、そうだな」
俺自身の力、そしてエリンちゃんの特異性をすっかり忘れていた。
大地の力を活かせない場所なら、大地そのものを作ってしまえばいいという宇宙規模の発想はしかし間違いではなく。
「新しく作っちゃえば壊されても心配いらないしね」
「とんでもないロボットができそうなんだぜ」
「なんか、とんでもない事になってきたなぁ」
「けぷっ。ばぶー!」
でも、ぽっちゃり姉貴とベビーは興味津々。
惑星規模のロボットとかロマンの塊だ。
こうして、ぽっちゃり姉貴の機体の方針は定まった。
まずは色々と準備をして小惑星へと向かう。
「見事に何も無いんだぜ」
『つるピカ禿げ星ぃっ!』
「それ以上はいけない。いいね?」
『あっはい』
既にいろいろとNGだが、俺たちは耐える事を強いられているんだっ。
星を改造するのはルナ・エルティナイトに乗り込んだチームエルフ娘と、精霊戦機エリンのエリンちゃんズだ。
でも、エルティナイトさんや。
その手の園芸用のスコップに出番はないから。
「さて、それじゃあ一丁、やってみますか」
まずは耕すところから始めないといけない。
さぁ、大宇宙畑仕事、は~じま~るよ~。
前代未聞の機体製作に挑む俺たちは、果たして上手く事を成し遂げる事ができるのであろうか。




