402食目 取り敢えず、飯だっ! 飯っ!
はい、完全復活の珍獣でございます。今はアストロイの中にいる。
いや~、今回はマジでちかれました。でも、取り敢えずの憂いは無くなった感。
そして完全復活、というからにはもうやりたい放題でございまして。
「ふきゅ~ん! ふきゅ~ん! ふきゅ~ん!」
「おらっ、ダーリン出せ、ダーリンっ」
そんな事は無かった。
寧ろやりたい放題は別に居らっしゃいました。
今まで裏方に回っていたのはこのためだ、と言わんばかりに幼女な俺をぷに混ぜ返す邪悪なお姉様。
これにはシグルドもニッコリである。早く助けてっ。
「せっつくな、ユウユウ」
「いや~ん、マイ、ダーリンっ」
にゅるんと出てきた黄金竜さん。
アストロイの中なので、かなりのサイズダウン状態で出てこられました。
それでも3メートルくらいはあるもよう。デカい。
「まったく……どれだけ年月を重ねようとも変わらぬな」
「寧ろ、ゆっくりできた試しがないじゃない。この機会を逃がして堪るものですかっ」
竜と鬼とのイチャイチャが始まりました、何これ。
なので、俺の選択肢は【そっとしておこう】になるだろうな。
そんなことよりも、エリンちゃんと精霊王だっ。
アダルトモードは映像的に危険物質。なので俺は幼女形態を選択しているのだ。
この中間が欲しいのだが、どうやら無駄に強化し過ぎて調整が利かないもよう。
おめぇ、やりすぎだって言ってんだろ、おぉん?
「エリンちゃんはいずこっ!? おらっ、吐けぇ!」
「我が主っ、今回はマジで死にそうでっす!」
H・モンゴー君を襲う理不尽な揺さぶりっ!
そんなところでケツプリ沈没している方が悪いのだよっ!
取り敢えず光素で【ウルトラクソ甘いハニートースト・ちょっぴりレモン風味】をご褒美に進呈。
「もう死んでもいいかもっ!」
「生きたいのか、死にたいのか、これが分からない」
そんなH・モンゴー君はエリンちゃんが医務室にいる事をゲロリンチョ。
釈放の身になった彼はハニートーストを堪能することに余念がない。
というわけで医務室へダッシュ。
アダルトモードだと、おっぱいブルぅンブルぅンしちゃうからね。幼女万歳。
「白エルフ警察だっ。神妙にしろぉ!」
「おう、お疲れさん」
「お帰り……」
医務室のベッドの上、そこにはエリンちゃんの姿。
そしてその隣にはマーカスさんが。
エリンちゃんが白目痙攣状態なのは、間違いなく頭の上のでっかいタンコブが原因。
もうちょっと手加減してあげてどうぞ。
「エリンちゃん、復活できたんだな?」
「お陰様で。もう意識跳びそうだけど」
「寝覚めの一発だったのかぁ」
「酷いよぉ」
「うるせぇ、親を心配させるからだ」
理不尽を訴えるエリンちゃんは、ベッドの中心でほっぺを膨らせました。ぷくっ。
「精霊王は?」
「拳骨でノックダウンしちゃった」
「弱い」
精霊の王とはいったい……? そんなんじゃ甘いよ?
「まったく……甘やかして育てた覚えはないんだかがな。そういや、時折、悪さをしていた時は感じが違っていたが……あいつの方だったのか」
「う~、知らない間にタンコブができていたのって……」
「知らない方が良かった新事実っ」
どんどん明らかになる精霊王のダメっぷり!
これには流石の俺もニッコリですぞ!
そのように俺が生暖かい微笑をエリンちゃんに送っている、とドアが開きヒュリティアとザインちゃんが入って来ました。
「……エルドティーネ、お帰り」
「お帰りでござる。ママ上」
「ただいまなんだぜ、ヒュリティア、ザインちゃん。というか、想いの中で会ったばかりだけどな」
「……ま、そうなんだけど」
「でござるな」
二人がここに来たのは言うまでもなく、俺と精霊王に用があるからだ。
ザインちゃんの場合は俺の様子を伺いに来たのだろう。
でも、ヒュリティアは別件だ。
「さて、それじゃ、俺は行くんだぜ。ザインちゃんも」
「承知」
「ん? 俺も席を外した方がいいのか?」
「……マーカスさんは居てちょうだい。精霊王のパパでしょ?」
そう、これからマーカスさんちの家族会議なのだ。
これに俺がいては大混乱に陥るので、珍獣はクールに去るぜ。
伝えたいことは戦いの中で十分に伝えた。
これ以上はくどいというものである。
さて、どこへ向かうかと言えば一つしか無い。
ずばり、キッチンである。
戦いの事後処理はぜ~んぶフルベルト王に丸投げ。
それは即ち、マックロイ宰相行きになる。
君には悪いが……犠牲になってもらうっ!
「というわけで、まずはマックロイ宰相に捧げる激烈スタミナ料理に取り掛かる」
「委細承知っ! 成長した拙者の包丁裁き、ご覧に入れて見せましょうぞ!」
「助かるわ~」
料理の際はアダルトモード。こっちの方が色々と楽。
マックロイ宰相には牛、豚、鶏の肉を使った丼を作る。
と言ってもこれを炒めたりするとくどくて完食は無理。
なので調理方法は薄くスライスして湯引き。しゃぶしゃぶ。
それを丼のホカホカご飯の上に載せる。
たれは大根おろしに醤油、みりん、砂糖、を加えた物をドバー。
その上にごま油で炒めたネギのスライスをドバーっとぶっかける。
芳ばしさはこいつに担ってもらうという寸法だ。
栄養バランスを考慮し、余った鶏胸肉を茹でて解した物を、茹でたほうれん草と和える。
味付けは醤油マヨネーズ。
あ、ほうれん草の根元の赤い部分は決して捨てちゃわないように。
そこが、一番おいしいし栄養もある。
あとは神桃の実を切って小皿に載せれば、【激烈お肉丼、さっぱりスタミナスペシャル】の完成。
ボリュームが半端ないが胃もたれし難いガッツリ系に仕上げた。
ごま油で炒めたネギがポイント。追い掛けたれも用意しておく。
「よし、完成。やはり、料理は良いなぁ」
「拙者は物が切れれば、それでいいでござるぅ」
ザインちゃんが危ない子になってしまっている。
まぁ、食材を切るのであればいいのであるが。
「ふっきゅんきゅんきゅん。勝利の宴の準備はたぶん、フルベルト王の方でやってるだろうから、俺たちはそれまでの賄いでも作っておくか」
「そうでござるな。案外早く決着が付いたでござるし」
宴は晩になるとのこと。
なので、そこそこ満足して、消化が早い物がいいだろう。
「よし、それなら【雷蕎麦のカレー南蛮】だな」
がたっ。
「落ち着きたまへ」
「落ち着いたでござる。物凄く落ち着いたでござる」
蕎麦ならそこまで腹に溜まらない。
そして、カレールーのボリュームは心を満足させてくれるはず。
問題はカレーで食欲が暴走することだが……まぁ、量を調整すればいいだろう。
一杯を少なくし、お代わりをしたら一人前半くらいに、という感じで。
まぁ、戦機乗りだったら二人前くらい余裕かもだけど。
「はい、ここにカレールーがございます!」
「フリースペース、万歳でござるっ!」
カレーは万能調味料だからね。作っておくでしょ。
異空間から出来立てのカレールーが入った寸胴を取り出す。
幼女形態だと独りで出し入れ出来ないが、アダルトモードなら楽々ですぞっ。
「ザインちゃん、お蕎麦の方はどうかね?」
「バッチリでござるっ!」
ご覧ください、我が娘の溌溂とした笑顔っ。
おめぇ、蕎麦を食うためだけに生まれた機械かよぉっ!?
「さぁて、問題は蕎麦を水でしめるべきか、そのままで行くべきか」
「むむむ、永遠の命題でござる」
水でしめると噛み応え、のど越しが格段に増す。しかし、料理が全体的に冷えてしまう。
水でしめない場合は熱さが堪らない至福の一品に。
ただし、噛み応え、喉越しでは一歩及ばなくなる。
でも今の時期はやはり、熱い方が良いだろう。
「そのままでいくか。熱々が良いと思う」
「そうでござるなぁ」
汗で身体も冷えているだろうし、これで行く。
本当はこの戦いに参加した全員に配りたいところだが、流石にそれはむ~り~。
なので精霊戦隊所属にだけは感謝の気持ちを籠めて進呈。
さて、モモガーディアンズの被害だが、桃結界陣が仕事をしてくれ、両陣営ともに死者0という空前絶後の大成果を上げました。やったぜ。
でも、戦機はかなりぶっ壊れたけどね。こればかりは仕方がない。
だが、それも精霊王がこちらに戻ってきたならどうとでもできよう。
ぐふふ、こき使ってやるぞぉあっ。
「……ザインちゃんや」
「何でござるかな?」
「何か足りねぇよなぁ?」
「そうでござるなぁ」
作ったからには味見をせねば。
しかし、何かが足りない。そう感じた。
「これが、勝利の鍵だっ!」
「ママ上っ! それは禁忌を犯しているで候っ!」
『然りっ!』
おっと、いよいよマサガト公もお出ましか。
あっ、きみが切るのかぁ。食べる気満々でニッコリだよ。
「トンカツっ! スクランブル・ヒュージョンっ!」
「『きゃぁぁぁぁぁぁっ! 素敵っ』」
はい、完成。【雷蕎麦のカレー南蛮・トンカツを添えて】でございます。
ただし、これは料理を作った俺たちへのご褒美。
がしかしっ。
「「『気配っ!』」」
ゴゴゴゴゴゴゴ……という荒ぶる腹ペコオーラを解き放つ、チームハングリーにゃんこの姿っ!
危険っ! 極めて……危険っ!
結局、水豚の肉を使ってトンカツを何百枚も揚げる羽目になりました。
いやぁ、こっそり悪事はいけませんねぇ。ふっきゅん。




