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356食目 小鬼

 道中、やはり鬼が湧いた。

 地面の闇から染み出るかのように餓鬼や一つ目小僧が実体化してゆく。

 これは召喚者がどこかにいる可能性が高い。


 でも、付近からはそれが感じられないので、恐らくは聖城から遠距離召喚している可能性が高いか。

 だとするなら、強力過ぎる陰の力の持ち主であろう。


「この感じだと、さっきの鬼女じゃなさそうだなぁ」

「やっぱ、もう一体、別の鬼がいるのか?」


 軽く拳を振るって鬼どもを粉砕する獅子の獣人。

 何気ない彼の動作はその全てが一撃必殺となり得た。


「そうだと思うんだけど……」

「ん? 歯切れが悪いな」

「微妙に変なのが混ざっているんだよ、ライオットさん」


 再び遠距離召喚。

 今度は赤ちゃんのような姿をした小鬼が、わらわらと飛び出して来た。

 その手にはトゲトゲ棍棒が握られており、虎柄のパンツを履いている。

 平たいお胸に虎柄の布を巻いている個体は女の子であろうか。


 可愛らしいので、正直、退治に抵抗を覚える。


「今度は妙に可愛らしいのを出してきたな」

「罪悪感を感じさせる悪質な方法なんだぜっ」


 それでも退治しなくてはならない。

 俺たちは戦闘に備える、と何やら様子がおかしい。


「おにぃ! おにぃ! おにぃ!」

「ぎおぉぉぉぉぉぉっ!?」


 なんと、新たに召喚された小鬼たちが餓鬼や一つ目小僧たちを襲っているのだ。

 これがまた、以外にも強い。しかも、やたらと数がいる。


「な、なんだぁ?」

「なきゃまわりぇで、ごじゃりょうきゃ」


 仲間割れ、か。

 確かに下級の鬼は連帯感というか、そういったものは皆無であるが。

 それにしたって明確に鬼だけを狙う、というのは異常だ。


「なんにしたって好都合だ。エルドティーネ、一気に抜けるぞっ!」

「了解なんだぜ、ライオットさん」


 ザインちゃんは俺が抱っこしているので、ライオットさんは完全にフリー。

 そして、ガイリンクードさんもありとあらゆる意味で自由。


 頑張ってくれ、葉っぱ君。

 君の頑張りが世界を救う。


 ああっ!? これは際どいアングルだっ!

 葉っぱ君、辛うじてセービングっ!


 ダイナミックガンアクションは全裸でおこなってはいけないっ!

 こんな事なら、パイパイにも葉っぱを装着させておくべきだった!


 というか、なんで全裸なんだっ!?

 いったい彼女の何が全裸を選択させてしまったのかっ!


 美女であるが故の過ちっ!? それとも、全裸であるかゆえに美女!?


 芋虫の坊やは答えてくれないっ。

 教えてくれ、ザインちゃんっ。


「すぴー」

「寝てる~っ」


 どうやら、浮遊感が心地よかったらしく、戦闘中なのに、お眠な我が娘。

 その体はやたらポカポカしていて、生体湯たんぽで間違いなく。


「ええい、もう考えるのは止めだっ」


 これ以上考えたら頭がおかしくなって死ぬ。

 そう確信した俺は真っ直ぐに飛行。

 ライオットさんと、ガイリンクードさんのおケツを追う。


 うん、凄いなぁ。ガイリンクードさんのお尻。

 たゆんたゆん、ぷりんぷりんと弾む弾む。


 よぉし、俺たちも負けずにたゆんたゆん、ぷりんぷりんするぞっ。


 あっはい、できませんでした。

 取り敢えず、彼女のお尻に合わせて首を振っておきました。

 疲れました。




 再び聖城へと突入。

 やはり、そこには先ほどの小鬼たちが、わっしょい、わっしょいと棍棒を振り回しておりました。


 見た目の可愛らしさからは想像もつかないほど怪力の上に、一切の情け容赦がございません。

 こんな連中が襲い掛かって来たら、おしっこジョバー待った無しだ。


 ぐちゃぐちゃと何かを叩き潰す音をBGMに奥を目指す。

 とここで半開きのドアを発見。


 別に今は関係ない、と思いつつ通過する。

 とそこからとんでもない純度の陰の力を感じ取った。


「っ!? な、なんだぁっ!?」


 流石にこれは見過ごすわけにはゆかず、慌てて止まって部屋の内部を見る。


「どうしたっ!?」

「何かあったのか?」


 これにライオットさんたちも緊急停止。

 俺と共に部屋の内部を用心深く覗き込む。


 果たして、そこにいたのは少女だ。

 絹のごとき滑らかな白髪、そして人形のごとく整った容姿はあまりに美しく、しかし美し過ぎてかえって不自然。

 それを加速させるのが……腕に抱えた酒瓶の山。


 そして、その酒瓶の山に埋もれて、ぐ~すかぴ~、とだらしない表情で爆睡しているという異常事態。

 身に着けている衣服は安っぽいワンピースで胸の辺りに熊さんがプリントされている。

 明らかに、バーゲンセールで購入しました感が拭えない一品だ。


「なんだぁ、あの子は?」

「「っ!?」」


 しかし、ライオットさんとガイリンクードさんは俺とは違う反応を見せた。


 ガイリンクードさんは素早く金と銀の拳銃を抜き、ライオットさんは呆れた表情でガイリンクードさんを制止する。

 でも、その際におっぱいを掴むのはどうなんですかねぇ?


 獅子のラッキースケベさんは中指と人差し指を額に当てた。


「プルルか? どこにいるんだ? ……あぁ、ここにいるぞ。早く回収に来てくれ」

「ほぐぁ~、しおから、さきいか、ぽんしゅ~」


 酷い寝言だ。

 それとも何かの呪文なのであろうか。

 それを納得させるかのように、ぽこじゃかと小鬼たちが「おにぃ」してくる。


「鬱陶しい」


 もうガイリンクードさんが小鬼塗れや。

 明らかにおっぱいに吸い付いている奴もいるし。


 これに呆れていると、ドタバタとプルルさんと、筋肉マッチョなお姉さんがやってきた。


「いたぁぁぁぁぁっ!」

「もう、ちょっと目を離した隙にこれだよっ! すまないねぇ、ライ」


 ぴっちりスーツに身を包んだエロい鬼姉さんズは、くそだらしない少女を回収。


「それが今の酒吞童子か?」

「そうさ。困った大将だよ。星熊、もって頂戴な」

「あいよ……うえっ酒くさっ」

「うぇ~っぷ」


 これが鬼の総大将……俺、桃使い嫌になっちまうよ。


 あまりの情けなさに、これ桃使い要ら無くね、と思うのは当然だと思います。

 でも、彼女から放たれる陰の力はマジでヤヴァイ。


 できるなら今の内に「覚悟~ぬぷぅ」したいところ。


「お宝を物色している途中に姿を眩ませたと思ったら、案の定、酒蔵にいるとはねぇ」

「お礼というわけじゃないけど、プリエナたちなら城の中庭に移動したよ」

「中庭に?」

「あぁ、精霊戦隊もさ。鬼の方も追い詰められているようだったし……たぶん、戦機戦にもつれ込むと思うよ」


 プルルさんの話から、プリエナさんたちは鬼を追い詰めるところにまでもっていったようだ。


「分かった、ありがとなんだぜ」

「お安い御用さ」


 ふふん、と胸を張る熊童子さんは、ちら~りと旦那の顔を窺った。


「あぁ、それで、さ。その……この戦いがひと段落したらさ」

「わかった、わかった。大人しく待ってろ」

「うんっ」


 ぴょこん、と旦那に抱き付く鬼の嫁さんは、彼の唇に自分の唇を躊躇なく重ねました。


「行って来る」

「行ってらっしゃい」


 駆け出したライオットさんに手を振って見送る姿は紛うことなく若奥様。

 でも、くそエロぴっちりスーツのせいで別の何かに感じてしまう不思議。


「いもっ」

「おっと、いもいも坊やじゃないか」


 ここで芋虫の坊ちゃんがプルルさんにご挨拶。

 どうやら二人は知らない仲ではないらしく。


「ふんふん、どうやら順調のようだねぇ」

「いももっ」

「そっか、あとは竜の枝だけなんだね」

「いもぉ」

「うん、分かった。食いしん坊の想いが成就する日は近いんだね」


 芋虫の言葉が分かるとか鬼か。鬼だった。


 芋虫坊やと謎めいた会話を済ませた鬼のエロいお姉さんは、俺に向き直り微笑む。


「これが終わったら、次は確実に竜の枝の試練が来るよ。しっかり努力を重ねることだね」

「ふきゅんっ」

「あいつは情け容赦ないよ。因縁の相手の娘なら尚の事、ね」


 知ってます。考えないようにしてただけです。


 ある意味、全てを喰らう女神よりも、おっかないんですわ。


 お母んは訳の分からない連中ばかり俺に託してプリプリ囚人。

 因縁に囚われた囚人の俺は、ぷりぷりとおこするより他になかった。


「シグルドが容赦ないのは知っているんだぜ。のっけからやらかしてくれたから」

「んふふ、もう洗礼は受けていたのかい。なら、安心だねぇ」

「安心が息をしていないんだぜ」

「さぁ、行った、行った。ガイも、この子をよろしくしておくれじゃないかい」

「言われるまでもない」

「ところで……なんで素っ裸なんだい?」

下僕デビルを召喚したら、全員出てきやがった」

「あぁ……体の各場所に潜んでるもんねぇ」


 ガイリンクードさんの秘密が明らかになる。

 彼女は身体の七か所に悪魔を封じているらしい。


 本人は一体だけ召喚しようとしたらしいのだが、悪魔たちは暫く出番がなく暇をしていたようで、命令を無視して全員が飛び出してしまったもよう。

 それで、服が木っ端ミジンコになってしまったようだ。


 なんともまぁ酷い話だが、相手が悪魔ではなぁ。


「いくぞ、エルドティーネ」

「あっはい」


 やはり全裸のままでライオットさんを追いかける美痴女さん。

 シリアスな展開なのに、彼女が目に映るとシリアスが呼吸困難になるのは悲しいなぁ。


 でも、葉っぱ君も頑張っているから多少はね。


「おにぃ、おにぃ、おにぃ、おにぃ」


 そして、何故か俺たちの後を突いてくる小鬼たち。

 邪魔をしないなら付いてきてもいいけど、邪魔をするなら容赦はしないぞっ。


 向かうは聖城の中庭。

 そこで確実に戦機戦になるであろう。


 エルティナイトも既にスタンバイを始めているもよう。

 でも、うなじが熱くなるからクールダウンさせました。


 俺は悪くない。


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― 新着の感想 ―
[一言] 覚悟~ぬふぅ! ?(難聴) まさかこの小鬼達はバリバリ君の流れをくむ鬼…? いやまさかそんな…鳴き声が「おにぃ」だからって…
[良い点] バリバリ君大量発生! バリバリ君「おにぃ〜(バリバリ君シールド展開!ガイさんの危ない所を隠すんだ!)」 ガイ「鬱陶しいな(ぽいちょ)」 バ「おにぃー!(取っちゃダメェー見えちゃうー!」 […
[一言] 量産型バリバリクン? 元祖「バリバリィ〜(任せたぞ〜)」 量産型「おにぃ〜」(分かった〜) NG「アイツら…立派になって…」 珍獣「倒さないように気をつけなきゃ…」
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