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かっこいい麻里ちゃんと会長の気持ち 下

二話連続投稿になります。

 って、事で、俺達が向かうのは、生徒会室から少し離れた場所に位置する資料室。

 あの馬鹿会長でも流石に親衛隊二人を生徒会室に呼ぶというのは面倒な事になると理解してくれていたらしい。

 まぁ、俺の場合、下半身会計と毛玉君さえいなければ生徒会室入っても問題ない気するけどね…。

 会長は謝ってくれたし、安住君は真希が大好きだし、隗とは親友だし、渕上弟は隗の弟だし…。

 ま、渕上弟は隗に嫌われたくないから毛玉君に近づいてないけど、いまだに毛玉君に好意はあるらしいからなぁ。

 隗は、”馬鹿な子ほどかわいい”なんて言ってたけど。

 そういえば、俺って会長が謝ってくれた事隗にいってないなぁ…。

 というより、色々隠してた方が断然楽しいし?

 真希には昔からの親友だから結構色々話してるけどさ。

 そんなこんな考えていれば、資料室に到着した。

 愛ちゃんがノックをして、会長の返事の声を聞き、扉を開けた。

 そこには、椅子に腰かけた会長が居る。

 …資料室は沢山の本棚に、びっしりと資料が詰め込まれていた。

 生徒会は書類整理のために資料を使う事が結構あるって、隗が言ってた。

 「…佐原理人、来たか」

 「何の用ですか? 会長。

 俺有意義な時間を会長との会話なんていう無駄な事に使いたくないんですけど?」

 「…貴様っ」

 「会長って、貴様としか言えないんですか?

 というか、貴様って本当、皆言いませんよね。恥ずかしくないんですか」

 「…そ、そんなひどい事言うな!」

 あ、会長が悲しそうな顔してる。

 まぁ、会長が悲しもうが正直どうでもいいけど。

 とりあえず俺は会長に問いかける。

 「で、何の用ですか?」

 「俺様は貴様に興味があって呼んだんだ!」

 「気持ち悪いんで、その興味今すぐ無くしてくれませんか?」

 まぁ、確かに会長が俺に興味持つようにやったのは、俺だけどさ。

 会長が毛玉君から離れたなら興味持ってもらう必要全くないし。

 そんな心情で会長を見つめれば、

 「なっ、そんな事言うな」

 と、悲しそうな顔をされた。

 会長、多分こんな風にあんまり拒絶された事なかったから、悲しくなってんだろうな。…自分は親衛隊の子にひどい態度してたくせにね?

 「あの、会長が悲しそうな顔しようと俺どうでもいいんで、用事がそれだけなら帰っていいですか?」

 会長はこちら側に来たから、潰しはしないけど、それでも…、今まで親衛隊の子にひどい事してたのは事実だし、俺会長の事嫌いだし。

 「り、理人君。

 暁様、話したい事あるみたいだから、聞いてあげて…」

 出ていこうかな、なんて思ってたら、愛ちゃんに引きとめられた。

 制服の裾をぎゅっとつかんで俺を見上げる愛ちゃん。

 会長何かのために必死な愛ちゃん。

 本当、可愛くて守ってあげたくなる、俺のお友達。

 「んー、じゃあ聞くよ。

 愛ちゃんがそう言うなら」

 愛ちゃんに安心させるように笑いかけて、俺は会長の方へと視線を向ける。

 そこで、会長は何故か立ち上がり、こちらに近づいてきた。

 …近寄らないでほしいんだけど。

 そりゃあ、隗とか真希とか、愛ちゃんとか気にいった人とのスキンシップとかは全然いいけど。

 嫌いな人に近づかれると正直不快だよね。

 「佐原理人…」

 会長は近くまで来て、何故か俺の名を呼ぶ。

 「何ですか? 言いたい事があるならさっさと言ってください」

 「……俺様は貴様に興味を持ったといっただろう」

 「あー、非常に不快なのですが、そうらしいですね?で、それが?」

 「…操以外に興味を持ったのは初めてなんだ」

 …え、何いきなり語り出してんの、会長。

 そして、毛玉君以外にはじめて興味持ったって、俺、毛玉君と同等の存在って言われてる…?

 しかも、うわ、これって……。

 何かこの先を想像すると、鳥肌が立ってきた。

 「…どうやら俺様は貴様に惚れてしまったようなんだが」

 ……俺はきっと少し顔を赤くしてそう言った会長をひどく冷たい目で見つめていたと思う。

 会長の言葉に、心が心底ぞっとする。

 気持ち悪い、気持ち悪い、ああ、心底気持ち悪いよ、本当!!

 何この会長、気持ち悪い事言ってんの!?

 俺をどんだけ、不快にさせるんだ、会長よ…。

 「あ…き、様」

 そして、愛ちゃんがいるまででんな戯言いう神経……、愛ちゃんが傷つくとか考えてないのか、会長。

 そして顔を赤くするなぁあ! 気持ち悪いから、心底気持ち悪いから。

 鳥肌でぞっとするから。

 「俺様のモ―――」

 「気持ち悪いんで今すぐ消えてください!!」

 おそらく、”俺様のモノになれ”とでも言いたかったのだろう。

 俺は気持ち悪くてその言葉を言い終わる前に先に告げた。

 「…気持ち悪い、だと?」

 ショックを受けている会長、でもそんなの本当にどうでもいい。

 会長から迫られるなんて気持ち悪すぎて死ねるって、本当。

 「というか、会長マゾですか? 暴言吐かれながら好きとか。

 というか、あの香川君気にいったのも自分に反発するからでしたよね?

 マゾなんですね? Mなんですね? 反発されたり反抗されるからっていう単純な理由で惚れたって馬鹿ですか?

 心底気持ち悪いんですけど。見てください、この鳥肌。会長が気持ち悪い事言うからですよ?

 第一、香川君を好きになった後俺を好きになるって、俺あんな毛玉君と同類視されてんですか?

 死ぬほど気持ち悪いので、今すぐ撤回してください」

 俺様と見せかけて、マゾ会長。

 うわ、考えただけで気持ち悪いよね。

 「な、俺様は―――」

 「俺様俺様って、何様ですか、本当。

 偉そうにしすぎてウザイんですよ。そもそもその権力使って、香川君のために色々やったりしたわけでしょう?

 そもそもですね?

 香川君の事大好きだったくせに、すぐにそれをなくし、俺に興味を持つ神経が疑われます」

 最初から毛玉君が嫌いで、猫かぶってた隗はともかくとして…、会長って毛玉君に惚れてたわけで。

 それが俺が面白い存在だからって、こっちにすぐ寝返るその神経……、俺に興味を持てば香川君への興味をなくすっていうの、軽すぎるだろ?

 香川君を最後まで好きで、香川君と一緒に潰されるとか、途中で香川君に不信感を抱いていって、その中でこっちに来るとかならともかくさ、他に面白い存在が居るからってすぐに離れたんだよ、会長は…。

 それって、本当タチ悪いよね。

 そんなすぐに興味を失うような思いのために、俺の可愛いわんこ達が傷ついたわけで、やっぱり、俺会長嫌いだな、と思う。

 「それは貴様がそれだけ魅力的―――」

 「気持ち悪いから口説かないでください。そんな口説きは他の人にでもしてください。

 俺は会長の口説きなんてされたくないし、そもそも会長の口説きなんて聞きたくもない。

 非常に耳触りなので、消えてください」

 「…そ、そんな」

 「可愛い子の泣き顔ならともかく会長の泣き顔なんて気持ち悪いので見たくありません。

 会長はただ何もしないでいてくれればいいんです。

 俺が香川君をどうにかするまでの間じっとしててくれればいいんです。

 俺を口説くなんて余計な事しないでください。主に俺の精神に危害が加わります」

 「き、貴様…っ」

 「泣かないでください。

 俺が悪い事してるみたいじゃないですか。俺、別に会長みたいな可愛くない奴を苛める趣味はありません」

 というか、ただ言葉で責められたからって泣くって、なんつーか、女々しい。

 愛ちゃんとか春ちゃんとかが泣いてんなら慰めてあげるけど、うん、会長が泣こうがどうでもいいよね!

 「えっと、あ、暁様…」

 俺は、泣いてる会長なんて放置して、愛ちゃんへと近づく。

 戸惑ってる愛ちゃんの耳元で、俺は言った。

 「会長、慰めてあげなよ。

 会長単純だから、結構好印象になると思うよ?」

 俺がそう言えば、愛ちゃんは驚いたような顔で俺を見る。

 まぁ、会長に言った事は紛れもない本心なんだけどね?

 会長単純だし、慰められたらすぐ情わきそうだから、愛ちゃんに慰め役をやってもらおうと思ったんだよね。

 「じゃ、頑張ってね?」

 俺は驚いた愛ちゃんに向かって笑って、資料室を後にした。

 …俺は会長の魅力なんてわからないけど、愛ちゃんが会長を好きなのは確かだから。

 応援しようと思う。

 とはいっても、会長が愛ちゃん泣かせたら許さないけど。

 愛ちゃんの思いが届きますように。

 俺は心の中でそう願った。

 …会長の親衛隊だって、愛ちゃんが会長と付き合うなら文句言わないだろうしね。

 皆仲良いし、愛ちゃん、慕われてるから。



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