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馬面彼女~チェンジ可能!~  作者: 蛇真谷 駿一


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62/62

62 M君

最終回にして、初のT君以外の男子視点。


 テスト期間が近づいてきたある日、さっさと帰って勉強しなくてはと肩を落とす俺に、目につく二人が見えた。


「お……あれは」

「およ……およおよ、村木。今帰り? 何見てんの?」


 唐突に後ろから声をかけられたが、声、というか口癖で誰かはすぐわかった。


「おお生島さん、そうだよ。テスト期間だしさっさと帰ろうとしてるとこ…………で、見てるのはあれ……」

 俺は見ていたものを軽く指さす。


「ん……ほむほむ、カシカシカシカシカシカシカシカシと櫻井さんだね」

「……ツッコミ待ち? まあいいや。…………はぁあ! しっかし、まさか鹿島の彼女があの櫻井さんだったなんてな……!」


 若干言動は気になったものの、とりあえずスルーして大きく息を吐く。

 その様子を見ていた生島さんは意外そうな声で俺に尋ねてきた。


「およよ、狙ってた感じ?」

「いーや、夢見てた感じ」


「あはは、なるほろなるほろ。村木はカシカシから事前に彼女が出来たこと聞いてたんだっけ?」

「おう。こっぱずかしいセリフとともに教えてくれたよ」


「カシカシの事だから。めちゃめちゃ真面目な顔して「村木だから話したとこある」とか言った感じかな」

「なんでわかんの……? 完全に同じだったわ……ま、そん時は誰かまでは教えてくれなかったけどさ」


「ふーん……カシカシにもなんか事情があった感じなのかねぇ」

「あー……そうかも。というか、もう完全にカシカシで固定になってるのな、生島さん」


 さっきのは無駄にカシが多かったけど。

「うん、意外と私が気に入っちゃってねー」

「そんな感じはしてる」


 とはいえ生島さんは唐突にあだ名を変えてくることもあるから油断できないけどな。

 生島さん基本的に男子は苗字呼び捨てなのに何基準であだ名になるんだか。


 そんなことを考えてる俺に、党の生島さんはニヤニヤした顔でまた突拍子もないことを言ってくる。

「ふっふっふー……まー、そんなことより、あれはどう見ても村木の入る余地はないにぇー」


「いや、流石に友達の彼女とどうこうとかは考えないわい。つかホントに、誰とも付き合ってなかったら~みたいな淡い夢でしかなかったって事よ。若気の至りさ若気の至り」

「わき毛の左?」

「……なんか古いマンガかなんかで読んだなそのネタ……変に小ボケかまさないでくれる?」


「楽しいのに……。しかし、あの二人はほんとにお似合いカップルだねぇい」


「いや、お似合いカップルっていうか……バカップル……だな」


 俺の返しにきょとんとした生島さんは、数秒後大きく笑い出す。



「ふふ……あははっ! まさしくその名にふさわしく馬鹿(、、)ップルだね!」



 俺と生島さんの目線の先には、馬の面を被って歩く女子と――鹿の面を被って歩く男子がいた。


 あいつが教室でお面見せてきた時は何事かと思ったわ。


「あのお面、櫻井さんの趣味なんだって?」

「およ? うん。で、カシカシもそれに影響されてちょっとお面集めにハマりかけてるんだって」


「なんというか……変わった趣味だよな」

「そんなことないよ? ああやって楽しそうにお面被ってはしゃぐ二人を見て、学校でちょっとブームになりつつあるのです」


「そうなの!?」

「お面はバラエティに富んでる上に、意外と高性能で使用感もいい……あれは流行るよ」


「はー……あの二人は火付け役ってか?」

「そだね。普段からお面を被ってる訳じゃなくて、たまにああやって楽しそうにしてるのが、皆の興味をそそったんじゃないかなぁ」


「いや、そりゃ流石に一緒にいる間ずっとお面被ってるのは変だし……まー何にせよ、二人とも楽しそうで何よりだわ……」

「だねー」



 表情こそ見えないが、二人とも雰囲気で楽しそうにしているのはわかる。

 幸せそうで何よりですわ。





「でも鹿島は鹿の面被らなくても頭は鹿だろ」


「はっ、鹿島だけに! や、山田君! 村木に座布団の角のフサフサ一つ持ってきて!」


「いらない」



まずは、ここまで『馬面彼女~チェンジ可能~』を読んでくださり、本当にありがとうございました!!


一応、書きたかった終わり方には出来たかなと思います。


最初にヒロインに何となく馬のお面を被せ、その後にふとバカップルという言葉が頭に浮かんだ時、すぐにこの終わり方にしようと思いました。

そんな訳で、書いてる時は全然違う名字の主人公を慌てて「鹿島」に変えました。(最初は一宮とかそんな)


その辺のこだわりとして、一応最後の描写まで作中ではバカップルという言葉を使わないようにしたのと、最後の会話の為に、作中何度か使われた『ばか』という言葉に、意図的に漢字を使用しないようにしてたりしました。(馬と鹿を連想させないようにという細かな努力……)


後は、お面の種類の設定と帰宅部の設定を考えるのは楽しくなってしまったところはあります。


本当はタイトル通り、頻繁にお面をチェンジしてもらうはずだったのですが、ことのほか馬面の出番が多くて、少々タイトルが迷子状態だったように思えます。



さて、物語はとりあえずここで完結とさせていただきます。


プロットではまあ一章、完といったところなんですが、現状続きは書いていないので完結ですね。

もしかしたら軽く補足的なおまけはあるかもしれませんが、そちらは未定です。



最後に、改めて読んでくださった皆様にお礼申し上げます!


読んでくださり、ブクマ評価感想をくださった皆様には本当に感謝しています!!

特に、たくさん感想をくださった上に、レビューまで書いてくださった、くまさん963様 と 零崎 飛識様 の両名には感謝の言葉が尽きません!!


何度も重ねてにはなりますが!


『馬面彼女~チェンジ可能~』を読んでくださり、本当に、本当に!


ありがとうございました!!!!!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読了です! のんびり読み進めていましたが、終盤続きが気になりすぎて一気に駆け足で読み切ってしまいました。 まさかオチがそこに来るとは(笑) そして帰宅部www なんとなくヒロインにお面をか…
[良い点] どちゃくそ面白かったです!!!!! [気になる点] なんで、人気にならないのでしょう...なろうの闇...... [一言] キャラ一人に一人に押し付けではない個性があり、かつラブコメの王道…
[一言] 完結、おめでとうございます。 マスクした彼女、、、笑ってしまいました。 楽しかったですし、告白はドキドキしました。 ありがとうございました。
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