60 Hちゃん
「ふーんふふふーんふふふーんふふふーん♪ ただいまー」
「おかえりー」
部活も終わって家に帰ってきたわけですが、今、私は思わず鼻歌が出てしまうくらいご機嫌です。
また大我くんとお付き合いすることが出来て、それになんか美琴に英玲奈、小毬ちゃんとの仲もさらに深まった気がする。
今日は私にとって記念すべき日だね。カレンダーに印でもつけとこうかな。
「……あ、そういえば……大我くんのDOOR非表示のままだった……!」
自分なりにケリをつけようと思っていたはずだけど、どうしても大我くんの連絡先をブロックしたり消したりは出来なかった。
「……消すには、思い出が詰まりすぎてたからね……」
一人誰に言うでもない言い訳をしつつ、非表示を解除する。
「あ……やっぱり結構連絡来てるね……改めてみると、大我くんには申し訳ないことをしちゃ……あれ?」
――数日前に何度か連絡が来ていたのはわかるけど、よく見たら直近で何件か連絡が来てて…………あ! お昼に連絡来てる!!
私は慌てて大我くんに連絡を取る。
SIHK:たいがくん! がめんなさいい!! 連絡着てたのに!!
大鹿:あ、気づいた。
大鹿:というか誤字(笑)
SIHK:だって……とにかく、連絡遅くなってごめんなさい!!
大鹿:まあ、予想はついてたから大丈夫
大鹿:それより、明日……いやもし今暇なら今から会える? ちょっと話したいことがあって。そんなに時間は取らせないんだけど
「今から」
時計を確認すると18時を少し超えたあたり。
大我くんの家はここからそんなに離れてないから大丈夫だと思う。
SIHK:大丈夫でふ!
大鹿:了解、ありがと。じゃあ、場所は……どうしようか
SIHK:だったら大我くんがよくいくスーパーの近くの公園はどうかな?
SIHK:あそこは私の家と大我くんの家のちょうど真ん中くらいだから!
大鹿:ああ、あそこね。わかった、そこ向かうね
SIHK:うん!
「お母さん! ちょっと出かけてくる!!」
「ええ? もうちょっとでご飯できるけど」
「ちょこっとお散歩行って来るだけだから!」
「はいはい。今日はずいぶんとご機嫌ね……風邪治ったからかしら」
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部活終わりで疲れてるはずなんだけど、部活の時と同じくらい全力で走ってしまう。
そんなことしちゃったから、全然早く公園に到着してしまった。
「……早く着きすぎちゃった」
とりあえずブランコに乗りながら待つことにする。
「おー……ブランコに乗るのって久しぶりかも……公園って中々入りづらい」
なんというか、小さい子供と親御さんの場所って感じ。
公共の場だから皆使っていいはずなんだけどね。綺麗に使えばだけど。
座りから立ち漕ぎに切り替えて全力で漕ぐ。
「……子供の頃はっ! ……ブランコで一周出来ないかってっ! ……頑張って漕いでた気がするっ!」
今ならもしかしたら出来るんじゃないかと思って力いっぱい漕いで入るけど、途中でものすごく怖くなってきた。
これは危ない奴だ。
やめよう。
「……ふぅ」
「お疲れ様でーす」
「あ、はーい……って大我くん!?」
気が付けばブランコの横のベンチに大我くんが座ってこっちを見てた。
――いつからいたの!?
「いやなんか、俺から呼んだし一応急ぎ目に来てみたら、これでもかってくらい全力でブランコ漕いでる娘さんがいたものでつい見てました」
「うう……声かけてくれてもいいのに……」
「いや、あれだけ漕いでたら、下手に声かけて集中乱しちゃまずいって思うって」
「ぐう……」
ぐうの音しか出ない。
「まあ、部活終わりにこんなとこまで来てもらって疲れたでしょうし、座った離そうじゃないですか。……ブランコも疲れたでしょうしね?」
「大我くーん……」
ものすごくニコニコしながらここぞとばかりにイジってくる大我くん。
――もう………………楽しいなぁ!
ちなみに口笛のメロディは、某竜玉の映画で、お猿の宇宙人の子供が楽しそうに吹いて、それを聞いた緑色の宇宙人が苦しんだ時のやつです(映画設定)
古いです。割と年齢バレます。
次回更新は一日早めて更新します。




